隠レ蓑

お山の記録と、日々の懊悩

中央アルプス 正沢川本谷

7/7 中央アルプス 正沢川本谷 with Sさん、Fさん

 

 

福島Bコース登山口に車を停めて出発。林道の途中で正沢川沿いを進むと思われる「沢登りコース」という登山道の分岐があって「へぇ~」と思ったが、左の「茶臼山コース」に進んだ。徒渉点にあったらしい橋は消失しておりワイヤーのみ残っていた。連日の梅雨模様で、沢はだいぶ増水している雰囲気。平水よりどれくらい多いんだろ。

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増水しており、また本流の下流部ということもあり、小粒ながらも渓谷歩きって感じで楽しめる。徒渉も場所を選らんで行う感じで、それもまたよい。しかしながら、気にならない程度ではあるが予報どおり雨が降ってきた。周囲は霧に包まれ開放的な渓谷歩きとはいかなかったが、梅雨どきの沢はこんなもんだろ。

玉ノ窪沢出合。まだ水量は多い。
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細尾沢出合。水量はこの出合で顕著に減った。
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最初の滝がやーっと出てきた。ゴーロの渓谷歩きも楽しいが、やはり滝場があるとアクセントになってもっと楽しい。右壁を簡単に登った。フリークライマーのFさんは無駄に水流近くをボルダームーブで登っていて、Sさんと顔を合わせて笑った。
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左岸支流の見栄えのする滝を過ぎると、小さいながらもゴルジュになった。増水もあいまって楽しくへつれた。Fさんは安定のボルダームーブ。
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核心の大滝。右壁から登れそうな雰囲気でちょっと触ってみたが、かなり脆くて岩に砂利が乗っていていや~な感じ。君子危うきに近寄らずモードであり、ガイドブックの示すとおり左岸のルンゼ(滝になっていたが)から巻いた。このルンゼも脆いので落石注意である。適当なところから大滝方面にトラバースしたが・・。
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どうやら巻きすぎたようで、大滝上の小滝群ゴルジュすべてを巻ききって沢に戻ったようだった。2俣の直下にたどり着いた。ルート中で滝場はごく短いのですこし残念だが、だからといって戻ってまで登る気にもならない。よしとしましょう。下の写真は巻ききってしまったゴルジュの出口を振り返ったもの。さらにその下の写真は2俣の右俣を見上げているの図。2俣では右俣のほうが水量も多く興味をそそられ、ついつい右俣に進みかけてしまったが、本流は左俣。Fさんに呼び止められ左へ進み直した。
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それからあとはまたぐっと水量も減り、そろそろ終わりですよといった感である。沢全体もそうだが、上流部は特に荒れ気味であり、近年の台風などの災害の影響をかなり受けているものと見受けられる。例えばガイドブックにある2俣上の小滝は埋まったのか同定できなかった。
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思ったより早くに水涸れし、ガレの登高となった。
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一か所CSぽい段差があり、突っ張りムーブを駆使して登るところがあった。クライミング的には大滝よりこれのほうが核心だったかな。
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さらにガレを登ると地肌が露出するようになり、そこからは左岸の草付きから藪に入った。先頭のSさんが踏み跡を見つけてくれた。薄いながらもしっかりついているので、皆こんな感じで登っているのであろう。
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最後はそう長くはないがハイマツの藪漕ぎである。最初は背丈を越えるハイマツでかなりしんどいが、それを抜けると一気に景色が広がり膝丈くらいになる。左側が尾根っぽい形状をしておりそれを直上した。露石も見られるようになり登るほどに登りやすくなる。ところで最近自分自身の劣化が激しく、太ももに攣り癖がついてしまったようで、ハイマツのなかで何度も攣りそうになってしまった。僕はここでストレッチ休憩となり、SさんFさんに先に行ってもらって、ノロノロ運転でなんとか2人を追いかけた。
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頂上から南側すぐのところで登山道に出た。
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展望はないが気持ちのよい天空散歩で数分あるくと山頂に着いた。
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下山は茶臼山経由の登山道を選んだ。5合目までは尾根歩きで気持ちよいものだが、そこからは樹林帯のつづら下りとなる。テープは頻繁に付けられているもののかなりマイナーなようで、藪が濃く石が軽く滑っておりちと歩きにくい。バラも多い。半ズボンのFさんは苦行になったようだ。徒渉点で顔を洗ってすっきりして登山口に戻った。

 

起点・福島Bコース登山口(6:30)~入渓(6:50)~玉ノ窪沢出合(8:15)~細尾沢出合(9:00)~大滝(9:50)~稜線(12:20)~将棊頭山(12:50)~茶臼山(13:50)~起点(16:20)

装備:補助ロープ25m(不使用)

 

岳沢、前穂

2017年5月から今年で丸3年。時が経つのはかくも早いものかと、今更ながら驚く。3年で俺も白髪が増えまくったなぁ。いろいろな愚にもつかぬ想念が湧くけれど、それらは自分の胸にしまっておきたいと思う。

多分これから上高地を歩き出し梓川の向こうに真っすぐに伸びる岳沢の真ん中を見上げるたび、いっとき感傷的になるだろう。とりあえず挨拶しよう、また来ましたぜ、と。そのような瞬間は山に登っている限り末永く大事にしたい。

急登にあえぎながら、貸してもらった紐締めのクランポンで、前穂に登った。ひとつの区切り。

  

西丹沢 湯ノ沢四ノ沢

5/19 西丹沢中川川・湯ノ沢四ノ沢

 

箱根屋沢出合に車を停めて歩き出した。第1堰堤を過ぎ林道末端から入渓した。といっても最初は土砂の流出で埋まってミニ戸台のようになっている。

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ゴーロを1~2分も歩けば少ないながらも水流が出てくる。
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第2堰堤。左岸巻き。仕事道がキレイに通っている。
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湯澤堰堤。左岸の石積みを登って巻いた。
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湯澤堰堤を抜けるとすぐに初めての滝、といってもほんの小滝だが、出てくる。右側を登ってⅢ級くらいかな。
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深田堰堤。手前に小滝。右岸の斜面を少し登ると明確な踏み跡(仕事道?)があり、何でもなく巻ける。この辺はよく踏まれているようだ。深田堰堤までもう少し歩くかと思っていたが、あっという間に着いてしまった。
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ちょっと見にくいが「深田堰堤」と刻まれている。
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深田堰堤を越え少し歩いた左岸の支流に、自然となにやら一体化したような堰堤群が見えた。これは九ノ沢の出合だったようだ。
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そしてすぐ、また左岸支流にどーんと威圧的な涸棚が見え、その前まで見物に行ってみた。これは八ノ沢の出合大滝だったようだ。
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沢はいっときちょっとしたゴルジュ状になり、花崗岩らしい沢床になった。
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黒棚40m。今日は多分普段にも増して水量が少ない気がするが、まさに黒い棚といった様相である。新緑の明るいグリーンに黒棚の陰鬱なブラックがよく映える。
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真下から見上げた。うーん脆そうだなぁ。
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巻きは左岸の斜面に付けられた残置ロープを伝って支点の木まで登った。斜面はズルズルで残置ロープがなければ結構きわどい。地味にコワイ。木から滝と離れる感じで枝尾根に向かって登った。
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枝尾根はよく踏まれている感があった。黒棚落ち口方面に行けそうだったので、落ち口にダイレクトにクライムダウンしたが、もう少し巻き進んだほうが安全な感じがする。
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黒棚の落ち口。
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滝上からは両岸が狭まってV字な感じ。ただ水量はさらに減って少し荒れ気味である。
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580mの二俣。右へ。
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2段25m。下段はちょっとだけ水流があるが、上段は緑に覆われている。こんな感じの滝はあまり見たことがなく、なかなか圧巻だったなぁ。
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下段は6mくらい。右側のボロいクラックを使って登ろうとしたが、クラックに落ち葉がえらく詰まっていてなんだかコワソウ。左側のスラブを数手上がってから緩傾斜を拾ってクラックの上部にトラバースして抜けた。地味にコワカッタ。ボロボロなのでロープを出して支点をとってもあまり意味はなさそう・・。
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上段を見やると草むらの急斜面のようで、これだけ見たら滝(というか棚)とは思えない感じ。
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ここから左岸の斜面を木をつないで登っていくが、花崗岩のザレと土のミックスですごく急なズルズルの斜面なので、とても悪い。最初は小さめに巻こうと滝から離れないように登ろうとしたが悪くてすぐ止めた。滝から離れるように右めに登っていくとルンゼっぽくなったところへ着き、そこからは斜度が落ちたので軽く直上し落ち口へトラバース。あとは落ち口になんとかクライムダウンした。もっと巻き進んだほうが確実だと思うが、その場合は懸垂下降になるのかなぁ。沢登り的には核心でなかなか大変な巻きだった。初心者の同行者がいたらロープを出してマルチピッチ巻きだっただろう。木があるので支点には事欠かない。写真は涸れた落ち口。
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滝上からはいよいよ両岸が狭まり薄暗くなった。なにやら陰鬱な感じ。水もない。
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740mほどで、緑のV字?トイ状?になった。これが十数m続いている。ちょっと悪そうなので手前から右岸の尾根を拾って沢から離れようかと思ったが、右岸もかなりズルズルの急斜面。トイ状を抜けたら沢から離れようと思い、つっぱりムーブを駆使して頑張って登った。ロープを出してもよい支点はとれまい。
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トイ状を抜けるといよいよ終わった感が漂う。右岸の尾根を拾って沢から離れた。
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橅ノ平まで詰める気にはならなかったので、762mへ至る尾根まで斜面をトラバースした。地形図にはない枝尾根の通過が何回もあり、読図はGPSサマサマだった。正しい尾根に着くとなんと紫のテープが貼られていて登山道のようにキレイ。ようやく一息ついて快適に歩き下ることができた。762ピーク付近では木道もある。
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が、762を過ぎ604直下では防護柵に行く手を阻まれ柵沿いに左を進んでしまった。これが大きな間違いで踏み跡はあっと言う間になくなり、丹沢でまさかの背丈を越える笹の藪漕ぎになってしまった。すぐに漕げるレベルではなくなり、獣道を拾って四つん這いでなんとか抜け出した。正しいのは右。確認のため登り返すと歩きやすそうな笹の切り開き道が通っていた。
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笹の切り開き道。
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さらに柵を左にしながら急斜面を下り、やっと箱根屋沢の対岸に降り立った。
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湯ノ沢四ノ沢は思った以上に短く、また思った以上に巻きが悪い沢でした。核心は黒棚と2段25m巻きで、後者のほうが格段に悪いです。初心者が気軽に入れる沢ではないと思います。また・・・、思ったよりキレイではなかったかな・・。ガイドブックに「秘境」と書いてあったので過度に期待してしまったかな笑。迷路のように支流が合わさる・・ので、支流の滝巡り的に訪れるのがよいかもしれません。ただしどの沢も巻きや下降は容易ではないと思うので、ロープはしっかりもっていったほうがよいですね。

下山はガイドブックのとおり762~604~中川川本流を辿りましたが、橅ノ平~762~第1堰堤が登山道?のように整備されているようなので、それを拾ってもよいかと思います。ただ、植林豊かで防護柵もあり仕事道も沢山通っているにもかかわらず、762~604の下山は読図がきちんと必要なので、その意味ではこちらもよいですね。

 

箱根屋沢出合(9:00)~第1堰堤(9:30)~深田堰堤(9:50)~黒棚(10:10)~2段25m(10:25)~緑のトイ状(11:05)~762m(11:55)~箱根屋沢出合(13:15)

装備:ダブル30m、補助ロープ25m、ハーケン2、ハンマー(全部不使用)

 

宮崎クライミングツアー2019(比叡山・広タキスラブ)

2019.4.20~22 with Wさん

今年もたった3日だけだけど宮崎に行った。パートナーは2年前一緒に行ったWさん。ああ今年も来れた。感無量・・。

 

初日、いきなり比叡の核心の一つといえる白亜スラブ。

1p、自分。Ⅲ級のアプローチ。左方カンテのアンカーからさらに草付きをトラバースする。アルパイン用の大きめTCプロで登り出した愚かさを秘かに後悔した・・。

2p、Wさん。5.10(5.10b?)でこのピッチはキレイなハンガーボルトに打ち替えられていた。超久しぶりのレイバックはグレードに関係なく怖い。最後アンカー手前ではライン取りが悪かったのか、やたらバランシーなトラバースでこれも怖い! 目が飛び出そうだぜ。

3p、自分。核心かつハイライト。5.10? 10なら10dやろか。でかいフレークに乗った後、いきなり1ピン目が遠くて届かない。僕のリーチでは右上のクラック末端のカチにやっと右手が届く程度。パツパツでそこから足スメアでマッチ、のムーブは1ピン目かけてない状態では許容できず、早くも心が折れスカイフック(なぜか持っていた)でエイド。その後もエイドしまくり。冷静に登れば、数手悪くてもその後立てる、の連続なのだが、萎縮した心では何もできず。むろん連打ボルトも使いまくった。スメアも多く足が疲れ、ほうほうの体でトップアウト。Wさんも僕の不甲斐ない有様にイラついたことであろう。

4p、Wさん。5.11-? フォローとはいえ明らかに3pのほうがムズいぜ。この日のために買ったジャミンググローブを使う機会にやっと恵まれた。ホールドにもジャミングにも裏切られないピッチだったなぁ。

5p、自分。このフィニッシュのピッチも打ち替えられていた。もうこれくらいがちょうどいいよ、僕は。

対岸の矢筈岳を臨む素敵なテラスでお休みタイムを過ごし、あっという間の下山。ダメクライミングでばっちり比叡山3峰の厳しさを味わい、庵に移動した・・。庵は予想外に貸し切り。なんと那須商店のおばちゃんが僕のことを覚えていてくれた。思わず感動。

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白亜スラブ1pアンカーから/2pの出だし
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核心の3p
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4pの出だし/5p最後にある気持ちのよいテラス

 

2日目は宮崎のMさんと合流し3人で楽しい比叡山1峰南面。Mさんとは初めてロープをつなぐから、初顔合わせルート選びだ。どれにする? どれでもいい、のやり取りを経て、失われた草付きに決まった。しかし2pからナックルフェイスにほうに吸い込まれ、最終的にナックルフェイスFYKからまたナックルフェイスの最終ピッチをトップアウトすることになったが。

1p、Wさん。失われた草付きは1pが核心のようだが、普通のちょっとバランシーなクライミングで登れるから大丈夫だ! セカンドのMさんはサクサク消えていった。ラストの僕は昨日のビビりを引きずってやたら慎重に登った。あと今日は靴はエッジングがちゃんとできるサイズのシューズに変えた。

2p、続けてWさん。自由なWさんは簡単そうだと見るや裸足になって登って行ってしまった。しかもルートは無視でどうやらナックルフェイスの2pアンカーにたどり着いたようだ。いいんですよそれで。Mさん、僕らはこんなもんです。もうお好きなように自由に行かせてくだされ!

3p、自分。とりあえずMさんに「ここはナックルフェイス」と教えてもらったので、そのまま登った。Ⅳ~Ⅴ級くらいの簡単なスラフェース。なんてちょうどいいんだろ、と思ってしまうね。俺ぁこれぐらいで十分だ、と。

4p、続けて自分。せっかくなのでナックルフェイスFYKの右5.10aにルートを変えて登った。そうまさに10aな感じ。左5.10bもあるが、普通に登るとライン的に右5.10aが自然な感じ。あまり深く考えておらず途中でヌンチャクが足りなくなってしまったが、手を頑張って出せば必ずガバカチがある、というハッピーなルートだったな。これぐらいならいい、と思ってしまったね。ビレイ中はファンクライミングよろしく登ってきたMさんもWさんもその勇姿をバシバシ写真に撮った。「いやぁ最高ですね」とか言いながら。

5p、Wさん。ナックルフェイスFYKは右目にトラバース、と言っていたのに、ほとんど直上しナックルフェイスのほうに抜けていった。いいでしょう。なんでもいいんですよ。

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失われた草付きの1p/ナックルフェイスの2pアンカー

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ナックルフェースFYK4pの楽しい5.10a

その後2本目をどうしようか、と千畳敷でウダウダしていたところ、Mさんが加納谷はどうかと提案してくれた。すごいキレイらしい。えー行きたい。でも僕だってそこそこキレイな沢に行ってるから、キレイって言われても実際はどんなもんやろかと半信半疑な自分も正直いたが、・・行ってみたら、ホ~ントにキレイだったなぁ。すごい渇水だったようだが、それでも美しい白い岩畳の流れ。いつかは沢登りでも来てみたいが・・、最近泳ぎ拒否モードなので厳しいか。しかし近しい仲間と久しぶりに沢で過ごす時間は格別だったなぁ。Mさん連れてきてくれて、ありがとう。

その夜は庵でレジェンドと飲んだ。庵でのしきたりは色々と大変な面もあるが、歴史そのものと触れられる大事にしたい時間である。

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白い岩畳が美しい~加納谷をチラ見

 

3日目最終日はまたWさんと2人。場所を祝子川に変え、広タキスラブに行った。相当ワイルドなアプローチだったが、もう数年もしたらフィックスロープは腐り落ちてしまうんじゃないだろうか。岩登りへの執念を感じるアプローチの整備具合だったな。取り付きは狭いがここしかない、という場所。メジャーらしい左ルートに決めた。

1p、Wさん。Ⅳ級。風化の激しいジャリジャリのスラブなので、難しくはないとはいえ微妙に不安な足置き。鉾岳とはぜんぜん違う! むろんボルト間隔は宮崎流。

2p、自分。Ⅴ級-。小ハング?段差?の乗越がある。ボルトの位置が悪くない感じだが、やっぱり相変わらずジャリジャリで足置きに100%の自信がもてない不安はある。

3p、Wさん。Ⅴ級-。頭上に見える2本の木のうち、左側の木の下のブッシュまで。2p登って慣れてきたことだし弱点弱点で行けばまぁ。

4p、自分。Ⅴ級+。ブッシュ沿いに直上してみたが、コケコケかつジャリジャリで思わずブッシュをつかんでスリングをまわす。これ全然登られてないんじゃないか⁈ 今までちょいと不安ながらも許容してきたジャリジャリのスメアリングが一瞬で許容できなくなる自分を感じる。げー。上の木にスリングをまわすと、そこから数mの左トラバース・・、支点1本。ギョッとしながらも自分を信頼して一歩一歩やってくしかないので、目が飛び出そうなくらい血眼でマシなとこを探して不安な重心移動をこなした。トラバースなのでフォローも同じように怖い。

5p、Wさん。フィニッシュのピッチは4pで売り切れた精神力でもまぁ問題ない。

下降はしっかり5p分同ルート下降。硯岩とこのスラブの奥に挟まれた武平谷ゴルジュの入口をチラ見できるんじゃないかと思っていたが、ちょうどドアを半分閉じたように岩肌がゴルジュを隠し、何も見ることはできなかった。OKお次はさぁ滝渡りルートを・・、とはならず、そのまま下山して美人の湯(最高!)でゆっくり疲れを癒して、宮崎空港へと帰路についた。

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広タキスラブ取り付きから全景
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左ルートの1p/ジャリジャリのトラバースが恐怖の4p

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右の広タキスラブと左の硯岩に挟まれた武平谷

 

今回は結果としてあまりガツガツ登る感じにはならなかったが、その分ゆっくり過ごせたし、普段なかなか会うチャンスがない宮崎の友人とも交流できた。非常に満足である。

それにしてもここ宮崎でロングルートを登る人は今や皆無に近いらしい。庵にも県外からいつもの決まったメンバーが来るだけだとか。ときたま取り付きで見るのは山岳会系な雰囲気のおじさんおばさんだけである。一方、比叡は近年すごいボルダーが次々開拓され注目を集めており、若者のボルダリング人口も増えているとか? 昨年行ったホライゾンのボルダーはすごかったなぁ。

わずかな山岳会系の年寄りはロングルート。ジムで登り始めた若者はボルダリング。言ってみればクライミングに関する嗜好も情報も、そしてコミュニティも、二極化している感がある。僕個人としてはどちらも好きなので少し寂しいような悲しいような感情を覚える。どちらにも大きなリスペクトを抱いているつもりだし、どちらも自然のなかで楽しむことができる最高のクライミングだ。

自分くらいの腕前ではまだまだ数多いロングルートに区切りは打てない今日この頃ではあるが、そのうちボルダリングでも比叡に来れたらいいなぁ、と思う今日この頃。

 

2018.4~2019.3クライミングの忘備

2018年度の乾き登攀の忘備録である。

 

2018年:4/19~5/1宮崎クライミング/8/25~26北岳バットレス第四尾根/9/8瑞牆カサメリ/9/28滝谷第四尾根/12/29青葉

2019年:1/5城山南壁/3/23~24瑞浪/3/31御前岩 

 

こうしてみるとシングルピッチのフリークライミングは、1年間で、カサメリと青葉と瑞浪と御前岩の4回だけ・・・。こんなにクライミングと遠ざかるとは思わなかったな。

忘備として遠い記憶をたぐっておこう。

 

2018.9.8/カサメリに行ったときは風邪を引いていて絶不調だったし、雨であまり登れなかった。そもそも沢の予定が流れて仕方なしにフリーを入れたのだ。アップで登ったコセロックの「青龍」10bで痺れまくった。こ、怖かった・・。それを登っている最中から降雨があり、モツランドに逃げ込んで、「オリーブ」11cを結局2テン?それに左側のリーチーな「たらこ」11dはトップアウトのみ。そのさらに左側に洞窟状の濡れたルンゼがあり、そっちに目が行ったなぁ。時間があれば上から懸垂で状態と支点がとれそうか確認して、登ってみたいものだ。そう、そして帰りに自損事故を起こしてしまい、車が壊れた。やたら背の低い車止めポールが見えなくて、軽くぶつけてしまったのだ・・・。養生テープで破損個所を止めれば自走はできるが、来年の車検を前に買い替えを決意する契機になった。

f:id:Kakuremino:20190403165114j:plain車止めポールが憎い。位置が悪すぎだろ。

2018.12.29/青葉は、滝谷などをご一緒したWさんと行ったな。全然クライミングしてないので簡単なのを沢山、ということで、「両手にヘビ」5.9+、「カブトガニライト」10c、「鬼の首」10bをアップで登って、看板課題の「バラ色のエアメール」11bは結局ゴール1手前落ち、「垂壁の逆襲」11cは小難しくムーブを作って終わり、「今更スラブ」11cはゴール前でテンション、「オヤジ返し」10dはよれてて出だしがグダグダ。最後にとっておいた「青葉のドスラブ」5.8は超簡単で、アプローチシューズでも登れた。数年前にトライしていた「グライド」13aを久しぶりに見た。当時あともうちょっとだったが、もう触ることはないだろう。ボルダリーな課題とはいえ、13を触っていたのはもう昔のことだ。

f:id:Kakuremino:20190403135811j:plainグライド

2019.1.5/城山南壁、Fさんと。マルチを何本も登ろうという話で、登ったことがなかった看板課題の「バトルランナー」と「エキスカーション」をつるべで登って、それで疲れ果ててしまった。体力うんぬんの話ではなくて、太って足もでかくなったのか、エッジング用シューズとしていままで履いていたブースティックがきつすぎて、先端で乗り込むたびに激痛で悲鳴が上がるほどだったのだ。1ピッチごとに脱いで悶絶し、真っ赤になったヒリヒリする足先を見るたび登る気も失せていった。そのあと、シングルピッチのハートなんとか「ハートルート」?という11aとその左のハング課題の10dをテン山で悲鳴を上げながら登って帰った。もうだめだ。クライミングやめるか、ダイエットしてもう1回頑張るか、どちらかだ、と思った。

f:id:Kakuremino:20190403140015j:plainたしかバトルランナー

2019.3.23~24/4人で瑞浪。泊まりでクライミングに出かけるのは何年ぶりだ?!というくらい久しぶり。そして初めての瑞浪。すっごいよかった。冬はもう瑞浪くればいいんじゃないか、というくらい気に入った。初日は、ワイドの「あ~らよ!」5.8とへいせいがんねんスラブ右10c、「感激」10a、「イブ」(TR)、「アストロドーム右」10a。「感激」は今まで登った10aのなかで一番面白かった。核心ムーブは発想力を求められるし、その後も精神的要素が強い。ホントに10aなのかね?! 2日目は「不安がいっぱい」10c(TR課題)、クラックの「余裕のよっちゃん」5.8、大岩付近の出だしが痺れるスラブ10b、「ヒバリチムニー」5.7(TR)、「アダム」11b(TR)。ありがたいことに、上手な仲間のおかげで難しい課題はTRで練習させてもらえた。実に久しぶりにクライミング楽しいなぁと思ったな。特に花崗岩スラブといった岩場ならではのスメアリングが求められたり、1ピン目が高いとかランナウトしてるとかの精神的要素が強かったり、といったルートはいまだ数少ない得意系である。登りたいルートが沢山ある。車も買い替え、5時間の運転も全然苦じゃない。また行きたいなぁ。

f:id:Kakuremino:20190403140438j:plainアストロ右。「感激」は写真を撮り忘れた・・。

 2019.3.31/御前岩、Wさんと。石灰岩で、11aが安定してリードできない人は来るべからず、の岩場なので少なからず緊張。アップルートだという「ハートブレイク」6bに取り付いたけど、30m近いルートなんて登ったこともないし、石灰岩だし、パンプして非常に疲れた・・。長いルートよりボルダリーなほうがいいかなという話になり、南面に移動。「DAIJA」7c+は大蛇の末端に触れたのみ敗退、「和尚」7a+も核心を越えられず敗退。その左の6c+(11b/c?)がほどよく登れた、・・つまりこれくらいが今の自分、という現状認識。Wさんも調子悪く、ふがいない2人は15時すぎに岩場を後にし、トレーニングしようという話になって、ビッグロック鶴見店に行って登りなおした。店番のMさんに久しぶりに会って、Mさんワールド全開の課題を打ち込んでボロボロになって帰った。

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さてジムについても思い出しておこう。

昨年夏の間はほとんどクライミングジムに行くこともなく、週末のお山だけに時間を費やしていた。年末あたりから「このままじゃマジでヤバい。クライミングやめそうな勢いだ。イカイカン」と思って、まず一か月ほどほぼ毎日のように会社近くのジムに通いまくって、全然登れないながらも登った。そこで得意系なら2級くらいが登れるまでなんとか戻した。それから以前のように基本週2ペースになり、いまもそれで登っている。習慣的に登り出すと面白いもので、以前のようにクライミングに行くのが当たり前になった。太っている時は体が重く、苦手なはずの前傾壁のほうが登れた。ホールドがガバばかりだからだろう。少しずつキレが戻ってくると、もともと得意だったデリケートなムーブが求められる垂壁やスラブが登れるようになった。

ただ以前のように決まったジムにいつも行くスタイルはやめた。会社近くの秋パンと、自宅から近いビッグロック日吉店がホームジムだが、いまは基本、秋パン、ボルコム川崎、ポケット、品川ロッキー、ビッグロック鶴見店などボルダリングジムを適当な頻度で巡り、たまに早く帰れる時はビッグロック日吉店でリードしてる。初段とかの高いグレードに時間をかけて打ち込むことはなくなった。3級とか2級とかを適当に登って、登れそうならたまに1級を触っている。それでも数少ない得意系のスラブなら1級まではすぐ登れるようになった(戻った?)。

しかし、いくらジムでそこそこ登れたからといって、岩場は別物である。私は岩場でのクライミングにはどうしても“成果”を求めてしまう邪なモチベーションの持ち主なので、いまはジムで何も考えずに登っているほうが楽しい、という今日この頃なのだった。

 

2019年。この年はクライミングを再び頑張ってみたいと思っているが、どうだろ。4月末に宮崎に行けそうなので、まずはそこからだなぁ。

 

西表島・沢登り未満

西表島の思い出・・・ピナイサーラ~テドウ山~浦内川ウロウロ with Junさん

 

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旅はすべて夢で見る妄想と現実のせめぎ合いのようなものである。

寒くなり、沢登りが鳴りを潜める冬の時期、西表島や台湾などといった、遠い南方の地に馳せる妄想は募るばかりである。台湾、ひいては海外には行きたいが・・・、現実には不足しているものが多すぎだろ。そこで様々な妄想は西表島の旅にむかって収斂していく。地形図をえんえんと眺める日々。

東から西へ、古見から白浜までの横断遡下降のルートどりを決めた。なかでも行きたいなぁと思っていたのは、浦内川中流部左岸の支流のギンゴガーラである。なんでかというと、横断遡下降にちょうどよいルートだったこともあるが、それより何より、シンプルにインスピレーションである。ギンゴガーラ・・・。なんだか想像力をかきたてられる、ワクワクする響きじゃないか。ガーラは川の意味で、ギンゴは・・・・・なんだっけ、忘れた。

そしてギンゴガーラの源頭は、波照間森という447.3mピーク。これは西表島第二の標高である。しかしながら、波照間森付近はツルアダンなどの熱帯性植物が密集しており、山頂にたどり着くのは困難なようだ。ツルアダンはとても漕げるような代物ではない。第二のお山なのに、と素朴に思う。このジャングルのお山では、昔、琉球王朝により波照間島から強制移住させられた人々がここから遥か遠くの波照間島を眺めた、という伝説があるそうだ。かつてはその人々の聖地だったのだろうか。

ギンガゴーラを遡って、波照間森を伺う(まず無理だろうけど・・)。これが、横断遡下降という大目的のなかに隠れされた、真の目的なのであった。上原港の立体地図には付近まで遊歩道が伸びていたらしい記述があり、また、かつての横断林道の建設中止から廃道となった痕跡があるかもしれない。波照間森にちょっとでも触れられた、と感じられる材料を得ることができれば、多分それで満足なのである。

しかしながら・・・、時期が悪く、連日号泣するような雨。ギンゴガーラに入るには増水した浦内川を渡渉する必要があるが、まず水量的に厳しく、ちょっと微妙。そして、仮に徒渉できたとしても、今後さらに天気が悪化する予報だったため、敗退した場合徒渉して戻ることができなくなる可能性があった。そのため、ギンゴガーラ出合を目の前にして、入渓を諦めざるをえなかった。

・・・しばらく茫洋と川岸で過ごした。アマゾン川的グリーンに濁った水面は、一見淀んで停滞しているかに見えるが、増水も相まって、実際は分厚い圧力で流れている。圧に晒された妄想はどんどんすり減っていった。そして大した時間もかからずにキレイさっぱり無くなってしまった。雨、敗退。受け入れるべき事実だけが残った。

・・・・・

ところで、出発前にありえないミスをした。なんと寝坊した。飛行機の出発時間に起き、動揺しながら急いで空港に向かい、同行のJunさんにマジ謝罪した。妻のサポートもあり、なんとか当日航空券を手配し出発したが、時間(とお金)のロスは甚だしかった。

そして雨。当初の横断遡下降の計画はいきなり潰え、ピナイサーラからテドウ山経由の登山道を拾ってギンゴガーラに向かうことにしたが、前述のとおり入渓すらできず。あとは横断登山道を歩きながら、適宜支流や本流に足を踏み入れ、軽くチラ見することくらいしかできなかった。・・・しかできなかった?

そんなことはなく、それはとてもすばらしい時間だったのだ。雨のジャングルを歩く機会はそうない。ここには憧憬すべき幽邃の風景があった。例えば、雨に閉ざされた空間に門のように鎮座するマヤグスクの滝、そして瑞々しく苔むし熱帯性植物に覆われた源流域では、どうしようもなく心を揺さぶられ、なにか深遠なものに触れた気がした。ギンゴガーラには行けなかったが・・、それでも初めて訪れた西表島。ファーストインプレッションとしては全然悪くなかった。

沢をつないだ幽邃の小さな旅。旅は夢のなかで、妄想となったり、また現実となったり、常に両者の振れ幅をせめぎ合っている。そして、初めてきたはずのこの地の自然に佇んでいると、なぜだか自分の原風景を見た気になる。それは妄想に邁進しているからか、あるいは現実に抵抗しているからか。夢なのは同じことである。

せめぎ合いは続き、勝手に果てなく広がっていく。いいだろ。まだ終わりにはしたくない。まだ夢を見させてくれと思う。

幽邃の夢を。

 

 

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ヒナイ川の淀み

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ピナイサーラの滝

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板根など根っ子
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テドウ山頂/なかなかワイルドな登山道

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浦内川本流

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ギンゴガーラ出合

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マヤグスクの滝
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マヤグスクの滝で。岩の割れ目模様/周囲のジャングル

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手指のような根っ子

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源流の風景
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源流の最後

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下山後いっとき虹が出た

 

 

房総・土沢~キンダン川、清澄山~三石山

2/10日帰り単独、房総のロングな沢歩き+山歩き。

  • 亀山湖の滝原地区湖畔公園(P)・滝尻橋が起点
  • 小櫃川左岸支流の遡下降[土沢~四郎治沢源頭~無名沢(下降)~湯ヶ滝(廃村)~キンダン川]→関東ふれあいの道に抜ける
  • 関東ふれあいの道から縦走[清澄山~元清澄山~三石山]
  • 杣道で戻る[桑の木沢左岸尾根の山道~猪峯橋~林道加瀬線~土沢左岸尾根の山道]→滝尻橋・P

 

 

地形図を見ていると、亀山湖から小櫃川左岸の支流をつないで関東ふれあいの道まで沢歩きで行けそうだと思いつき、さっそく行ってみることにした。せっかくなので清澄山まで足を運んで一区切りとし、さらに元清澄山、三石山までトレイルを縦走。そこから日没を過ぎるようなら国道465号線経由で戻る、日没に間に合いそうなら昔の山道を拾って戻る、というハイキングプランにした。日出6:30ごろ、日没17:15ごろなので、約10時間で行動を終えるのが目標である。前日は大寒波で房総もすこし雪が付いていたが、懸念したほどではなく、冬日和のなか行動することができた。

 

【土沢】6:55出発。トイレ付きの綺麗な滝原地区湖畔公園から、地形図には載っていない滝尻橋を渡った。山道を少し登ると薄く土沢に下りる踏み跡があり、それを拾って入渓した。土沢は砂岩の沢だからかすごい滑る!大寒波で凍結の心配も少しあり、チェーンスパイクを持ってきたのですぐに履いた。これで安心。尖端のなめたスパイクでも快適な歩行になった。多少の倒木帯もあるが、土沢は幅狭な沢床がしばしば高い砂岩の側壁で囲まれる、なかなか特徴的な渓相。まさに土の沢。両門の二俣を越えると、ひと際高い側壁の見所を迎える。その後似たような二俣が3~4回続くので注意。8:08に地形図で青線になっている190m二俣につき、左俣へ。雪交じりの詰めをわずかにこなすと、すぐにしっかりした踏み跡になっている尾根についた。

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滝尻橋を渡ると山道あり/土沢入渓点から出合を振り返った
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つるつるの砂岩の沢床/ごく短い倒木帯/顕著な両門の二俣
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土沢の一番の見所
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190m二俣を左に/しばらく沢床は埋まっていた
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詰めではすぐ尾根が見える/しっかり踏み跡の付いた尾根/190mあたりのつるつる数mナメの下降

【四郎治沢の源頭部】尾根から地形図青線の四郎治沢右俣を目指して下降。ちょうど青線末端の190mあたりに3~4mのナメがあり、チェーンスパイクを効かせて何とかクライムダウンしようとしたが、フリクションゼロで滑落必死。補助ロープは持っていたがハーネスもATCもなし、という装備だったので懸垂は面倒。右岸からぐずぐずの斜面を慎重に巻き下って、最後はジャンプだった。沢歩き的にはこれが核心⁈だった。順調に下降し、8:45ごろ176m二俣。左俣に入り、190m付近右岸の顕著なルンゼ状を登った。踏み跡もあった。途中で2mほどの登れそうにない滝を右から巻くと、赤テープが付いた尾根についた。

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苦労したナメを前方から。グズグズの斜面を巻き下った/四郎治沢の風景
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190m付近を左俣に(踏み跡あり)/途中の2m滝は右巻き/赤テープの付いた尾根

【無名沢の下降】四郎治沢を詰め上げたあたりは、枝尾根が入り乱れており地形が判然とせず、また荒れ気味であった。ハンターの銃声が2発聞こえ、やべーやべーと思いながら、よさそうなところを見つけ下降した。倒木帯はすぐに終わった。時間は9:30ごろ、小さな流れを下降していると、朝日が沢床まで届くようになったようで、水面が光り輝いている。そして木々の葉っぱに付いた雪が融け、輝く雨となって降り注いでいる。なんて美しいんだろ。ごく平凡な名前のない沢が、極上の沢になった。

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雪の付いた尾根から下降点を探す/荒れた山肌を下降/無名沢の下降
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朝日に照らされ平凡な無名沢が極上の沢に/融雪が輝く雨となり木々から降り注いだ

【無名沢から湯ヶ滝へ】 無名沢が小櫃川本流に合流する直前の蛇行部分から、右岸の斜面を拾って登った。ちょうど植林が目立つようになるポイントだった。植林の先は岩場記号を挟んで西側が尾根、東側が沢筋。沢筋を選んで下降気味に進んでいくと、9:55ごろ、151mピーク西の荒れ地記号の場所につく。ここは想像だが、廃田だろうか。幅広い泥土の湿地帯のような様相になっていた。それに足を踏み入れた瞬間、ズボッ!一気に両足とも股下まで潜ってしまい、悲鳴を上げながら四つん這いで、死に物狂いで抜け出した。泥土で全身ドロドロに汚れ、一瞬にして精神的に激しく消耗してしまった。いやー死ぬかと思った。泥土に入らないように藪をこぎながら進み、安定したところで10分ほど休憩した。

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小櫃川手前から右岸の沢形に入った/密な植林に/湯ヶ滝付近のルート

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湯ヶ滝付近の沢筋は泥土の湿地帯になっていて、場所によっては非常に危険!

【湯ヶ滝の廃墟からキンダン川入渓】心を落ち着かせて、10:10ごろ再開。地形図上のオレンジ四角の廃墟までのよい登路がない。どうやら沢筋ではなく尾根を選択するのが正解だったようだ。遠回りするのは嫌だったので、少し悪そうだが急峻なトイ状から洞窟状のルンゼを突っ張りで登り切り、台地状に出た。廃墟は一応写真を撮って素通りし、キンダン川へ下りるポイントを探した。台地は綺麗に管理されている雰囲気。キンダン川の川廻しになっている尾根状の次の尾根状がナイフリッジになっており、なんと明らかな杣道が付けられていた。これを拾い、10:30、快適にキンダン川に降り立つことができた。

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湯ヶ滝の廃墟/台地状を進むとナイフリッジに付けられた杣道/キンダン川に降り立った
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ゆったりとしたキンダン川の流れ

【キンダン川】明るい流れがどこまでも続いている。穏やかな気持ちで沢歩きができる、よい沢である。11:10ごろ、よく写真を見る圧倒的な側壁に挟まれたゴルジュ帯を通過した。一番の見所ポイントはとても短いが、一見の価値はある。その後も土の壁を楽しく見ながら歩き、ガイドブックでは遡行終了点と書かれていた池ノ沢歩道を通り過ぎ、本流と思われた沢筋を詰めた。詰めの荒れ具合はなかなか激しい。もう少しかな、と見上げると唐突にコンクリートの壁が現れ、それを登ると関東ふれあいの道に出た。時間は12:02、沢歩きは終了になった。 

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キンダン川のハイライトはとても短いが濃い

 

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水がなくなり間伐材のジャングルを越えると、唐突にコンクリートの壁が現れ、関東ふれあいの道に詰め上げた

【清澄山】詰め上げた関東ふれあいの道は、ちょうど鴨川方面へ下る林道との分岐であった。沢歩きに所要5時間の予定だったので、まずまず予定通り。休憩もそこそこに、まずは一つ目の山頂を目指してダートの林道を歩いた。ゲートからアスファルト道を歩き、清澄寺の奥、清澄山の主峰とされる妙見山に12:48に着いた。お参りし、重兵衛というお店で缶コーヒーを買って駐車場で20分弱ほど大休止した。ここで沢歩きモードを完全に区切り、トレランシューズに履き替えた。恰好はドロドロのままだが・・。13:13に出発した。

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沢歩きは終わり。ちょうど鴨川へ下る林道との分岐に出たようだ
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関東ふれあいの道ゲート/清澄寺の入り口/妙見山のお宮

【元清澄山】関東ふれあいの道は、元清澄山登山道入り口までは林道。走ったり歩いたりで進んだ。登山道はとてもきれいにされており、走るのに最適。人も少なく、2組のパーティとすれ違ったのみ。陽のあたらない北面は軽く雪も残っており、変化があって楽しい。14:31に元清澄山山頂に到着。素朴な疑問だが、関東ふれあいの道の山頂にはちょいちょいごみ箱が設置されているが、誰がごみの回収などするのだろう。マナーとしてごみ箱があっても山では捨てないが・・。

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途中に鴨川方面の房総の自然を見やる/ゲートから登山道へ/きれいに整備されている
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元清澄山山頂/三石山へのトレイルもとても気持ちよい

【三石山】元清澄山~三石山のトレイルもまた気持ちのよいトレイル。基本はやせ尾根だが、高低差もなく走りやすい。時間も押してきており、気合を入れた。地蔵峠を過ぎ、大規模な発電施設を過ぎると、特徴的な登山口にたどり着き、楽しいトレイルが終わってしまった。15:42、三石山観音寺に到着。しかし、間に合ったと思ったら係の人に「今日はもう終わり」と言われ、敷地内の三石山山頂には行けなかった。

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大規模な発電施設/特徴的な登山口/三石山観音寺

【桑の木沢左岸尾根の山道から土沢左岸尾根の山道】どうやら時間的に大丈夫そうだ。予定どおり昔の山道を拾って駐車場に戻ることにする。アスファルト道を少し歩き、272mピーク手前のガードレールが途切れるポイントから山肌に入り、しばらくトラバース気味に下降する尾根まで進んだ。尾根につくと控えめに赤テープが貼ってあった。あとは赤テープを辿り、16:32、猪峯橋まで下りることができた。そこから舗装路を少し歩き、黒滝へのゲートがある分岐を左折し、林道加瀬線に入った。12、3分ほど林道を登ると大きく右にカーブするところに、青いテープで控えめに山道が示されていた。歩いてみると倒木で荒れたところもあるが、道は明瞭であった。やがて「あ、ここは朝土沢に入渓する時に通ったところだ!」と気が付き、暗くなってきた植林の隙間から、朝渡った滝尻橋が、そして愛車が見えた。17:15、長いようで短かったハイキングがついに終わりになってしまった。日出~日没の10時間20分、正直もっと歩きたかった・・。

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272mピーク手前から山肌に入った/しばらくトラバースすると下降する尾根に控えめな赤テープ
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赤テープを辿り猪峯橋の手前の橋に降り立った/舗装路を林道加瀬線へ左折
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青いテープで尾根沿いの山道が示されていた/倒木帯もあり少し荒れていた

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山道から滝尻橋、そして愛車が見えたときは嬉しい気持ちとともに、これでもう終わりかぁと残念な気持ちにもになった

 

<行程と沢メモ>

6:55滝原地区湖畔公園(起点)~7:08土沢入渓~8:08土沢190m二俣~8:47四郎治沢176m二俣~9:43無名沢136m右岸~10:23湯ヶ滝(廃村)~10:30キンダン川~12:02関東ふれあいの道~12:48清澄山~14:31元清澄山~15:42三石山~16:32猪峯橋~16:51土沢左岸尾根の山道入口~17:15起点戻り

  • 足を踏み入れた流域は砂岩で、衝撃的につるつるです。個人的にはチェーンスパイク必携です。山肌の地盤も緩いです。
  • 念のため下降用に20~30mロープがあると安心だと思います。
  • 湯ヶ滝付近の泥土の湿地帯は、場所が悪いとかなり潜るので大変危険です!沢歩きでは立ち入らないかもしれませんが、近寄る際は特に注意が必要です。
  • 分水嶺(源頭部)では地形が判然とせず、正確な読図はかなり難解です。
  • 冬日和とはいえ寒波の一日でしたので、さすがにヒルはその気配も皆無でした。
  • 山中に杣道が張り巡らされており、その観点からも非常に興味深い山域でした。房総の山は生活の場だったのだなぁと感じ入ります。