隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁中央稜/ゼニイレ沢

8/20:一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁中央稜 8/21:ゼニイレ沢

with Oさん

 

予定した北アルプスは悪天。望んだ形ではなかったが、転進先として、初めてこの一ノ倉沢に入った。

8/20土曜日。朝方は晴れたが、いずれ雨が降るでろう天気模様。雨で濡れれば沢登り的には難しめのルートになるだろうと、烏帽子沢奥壁中央稜という入門?のルートを登ることになった。トポは持ってなかったけどラインは明瞭だし、経験豊富なパートナーのOさんとあっという間に登り終わるかと思ったら、最終ピッチ前くらいでついに雨、しかも土砂降りがきた。リードはOさんの番だったので、僕は雨の中ではたいして登れず残念だった。この中央稜というのは乾いていてはさすがに簡単すぎた。

もっともアプローチの炎天下で脳も溶けたのか、雨が降ると分かっていたのに雨具をデポして取り付いたため、本当にずぶ濡れとなって登り、下降した。気分は沢登りだったので、濡れることを何とも思わない雰囲気だったが、さすがにちょっと寒くなった。降雨でスラブが流水溝と化し圧巻だった。始めてきた一ノ倉でこれを見れたのは非常によかった。

8/21日曜日。湯檜曽川をはさんで、一ノ倉沢のちょうど対岸に伸びるゼニイレ沢に行った。Oさんが長い一ノ倉通いで、雨の時いつか行こうと思っていたらしい。トポもなく、二俣を本流に見えた左に進んだが、右が正解だった。左俣は軽いスラブ滝と小滝3本を過ぎたら枝尾根に詰め上がり、1時間半の密な藪漕ぎだった。白毛門についた時はがっくり疲れ切っていた。ただ、遡行中、振り返ると一ノ倉が真正面に見え、しばしば歩を止め見入った。

日曜も予報は悪かったが結局天気はもち、炎天下のなか1000mほどを一気に登り降りした。とにかく暑く、脳が溶けた。谷川の水は綺麗なのに濡れたウエアやダイニーマスリングは異様に沢臭く、溶けた脳と混ざり合って終始自分から獣の排泄物のような悪臭がして閉口した。

行きたい谷には行けなかったが、この一ノ倉に初めて来れてよかった。一ノ倉を前にした空間は他のどの山域とも異なり、重く厳かな静寂を感じた。次はどんなふうに感じるのだろうか。縁がないのではないか、と勝手に思い込んでいた一ノ倉に連れてきてくれたOさんに感謝。

 

 

 誰もが撮影するであろう烏帽子沢奥壁を正面から、の図

激しい降雨の中の下降。

激しくひょんぐっていた滝沢下部と、1条の流れを見せた二ノ沢

 

翌日、対岸のゼニイレ沢から一ノ倉沢を遠望した

白毛門山頂