隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

中央アルプス 滑川・北股沢・・?

8/7 中央アルプス 滑川支流・北股沢

 

同行してくれたSさん、Hさんには本当に申し訳なかったが、読図、というかもっと初歩的な行き方を間違えて、「北股沢」に入ってしまった、という山行。

「滑川・前岳沢」の予定であったが、滑川本流にすらたどり着くことはなかった。大規模な工事で、車を大分手前のスペースに停めて歩き出したのがまず初めの敗因である。地形図にない作業道と山道を迷い歩き、やっと手前の北股沢の大きな堰堤につくと、意気揚々と北股沢に吸い込まれた。敬神ノ滝小屋を通過していないけどなぁと思いつつ、それをちゃんと確認しなかったのが決定的な敗因である。最初に見えた川に吸い込まれた。

さて北股沢は荒廃した渓相。晴天にもかかわらず水流は土石流の色をしており、堆積した土石の間を縫って流れていた。岩も安定しておらず浮いているものが多い。下流域では何か所も監視カメラで状態を観察されていた。なんだここは・・・? 疑問に思い地形図を広げても 同じ方角に流れる滑川と区別がうまくつけられない。正直この沢への好奇心も湧き、適当に辻褄を合わせて進んでしまった。2か所6~7mほどのCSをロープを出して越えた。結局、ここは滑川じゃないな、と思いつつも、麦草岳に伸びる右岸支流との出合まで進んだ。

そこから見えたのはさらに荒れ果てた大ルンゼだった。沢はその先から急激に斜度を増し、一直線に稜線へと伸びている。滝谷C沢右俣をずーっと長くした感じだ。その先端は刃のように鋭い岩峰だ。ありゃあ木曽駒ではない。牙岩だ。いま北股沢にいるのを実感し、間違えちゃったなぁと思いつつも、結構面白かったな、と思う自分も実感した。牙岩へ伸びるルンゼを登るのはちょっと危険すぎる様相。申し訳ない!と謝罪し、来た道を戻ることにした。

お目当ての前岳沢には行けなかったが、牙岩へ一直線に伸びる長大なルンゼを間近に見れたのは正直よかった。ああいう場所で過ごせる時間は格別なのだ。

しかし、帰って調べたみたら、この北股沢は頻繁に土石流が発生する「急勾配荒廃渓流」ということで、計り知れない不確定要素が多いなかでの沢歩きだったことを知った。それは超大規模な砂防堰堤や土石流の色をした渓相から、容易に分かっていたことではあったが。好奇心と引き換えに受け入れられるレベルの危険ではなかった、と思った。自分はともかく、ご一緒したSさん、Hさんに改めて申し訳なく思った。

北股沢・・。登山大系にはしっかりルートが記載されているが、いまはもうそのような対象ではないだろう。少なくとも無雪期は。・・・やっぱり間違えて、じゃないと行くこともなかっただろうし、北股沢の風景が見れてよかった、と思ってしまうのが正直なところ。