8月19日に、鈴鹿の東多古知谷百間滝と、すぐとなりの西多古知谷大滝の、2本の大滝登攀(西多古知谷大滝は敗退でしたが)に行った。下山して、そのまま奥美濃の板取川キャンプ場に移動し、翌日の20日には川浦谷ゴルジュに行った(これも敗退だが)。
東西の多古知谷はすぐ隣で、どちらも鈴鹿スカイラインからアプローチ至近。僕は西を敗退したが、日帰りで2本十分登れるだろう。
今回、GoProを買ったので動画を撮ってみた。いままで長いこと静止画だけが興味の対象だったが、美しい沢の空間を動画でも残してみたいなぁと、ふと思い、GoPro。この手のものは全然知識もなく、どれがいいのかわからないので、とにかく買ってみたわけ。
「東多古知谷百間滝」
目前にするといい感じの大滝ではあるが、威圧感は特に感じない。とても優しい感じ。2pで、1p目出だし下部の右上クラック部分の2手ほどが垂壁で、ここが核心と思う。1手ハンドジャムしてみたが、ホールド豊富なのでフェース的に登れる。終始水流右を軽くシャワーを浴びたりしながらの登攀。ヌメリは全くないし、岩も固い。不確定要素の少ない快適な登攀になった。そして、なによりよく登られているのだろう、ここにカムをどうぞと言わんばかりにキレイな隙間が、よい間隔で出てくる。残置ハーケンもあるが。
落ち口も気持ちよい。傾斜がさほど立っていないので、ロープソロで取り付くにはちょうどよい大滝だった。
登攀の途中に下を見て。壁は寝ているので傾斜を強く感じることはない。
登攀の様子はGoProで撮影してみたものをまとめてみたので、お暇な方はどうぞ。
「西多古知谷大滝」
東の百閒滝を下降してスカイラインを10分ほど上がりガードレールを越えると、すぐに見えてくる大滝だ。
一見して水流左のコーナー状のどれかがルートと見えるが、その前にアンカーがうまく作れず、時間を使ってしまった。いきなり水を浴びながらバランシーなムーブを強いられ、ロープソロでは精神的につらい。コーナー状に入ってからは、ムーブ的にはフリーでも行けそうといえば行けそうだが、傾斜も強くリスクを感じるので終始エイド。一瞬でいいサイズのカムがなくなり、ハーケンでネイリングとなった。じわじわ進んで行ったが、手持ちの残りギアも少なくなり、あと抜けまで4~5mに見えたが、そのあとどうなっているか分からない。時間も時間。心も折れ気味。そこまでで、ギブアップし下降した。
百間滝と比べると、はるかに難しい。はっきり言って軽く考えていて、取りつき時間も14時。ネイリングで時間もかかり、15時半ごろ、このまま1p目を抜けられたとしても落ち口までは届かない、と思うとあっさり心が折れた。50mロープ1本で取りつきまで懸垂下降できるかもわからなかったし。傾斜が強い壁では、常時ロックしているタイプのデバイスでのロープソロは、ロープスタックの心配と、どれくらいロープを出しておくかの判断の兼ね合いが難しい。慣れてきたと思っていたが、いろいろダメだ。おそらく5.7か5.8A1くらいに感じたが、ゲレンデのスポーツルートで5.13aを登っていても、ここではなんの意味もない。実力相応の敗退としか言いようがない。
本当は敗退したポイントから上部は見ないで帰りたいところだったが、支点回収のため、それも叶わない。左岸を巻き上がってフィックス下降・登り返しした。
どうやら冒険心をもって突っ込んでいたら、1p目を抜けられていたらしいことが分かった。でも無理。僕の考えでは、突っ込むことはするべきではないと思っている。だったらロープソロなんかするな? その通りかなぁと思ったりもするが、むしろ安全の為にロープソロしている。このちょっとした矛盾(?)と言えなくもない2つの志向は、しかし自分のなかではナチュラルなことで、普通に共存している。もともと一人で始めた沢登りなのだから、当然のことといえば当然のこと。重要なのは自分の状態を客観的に把握して、合理的に判断することだと思うし、この滝では自分のレベルではこんなもんだ。実力相応の、悪くない登攀だったと思う。正直。
しかし、やはり上部を見ないで帰って、いつかまたそこからやり直したかったな。残置するわけにはいかないから、仕方ないけど。
下を覗いてみた、の図。
丹沢で「西沢本棚」とか「モチコシ大滝」とか色々登ったけど、それより全然難しかった。川崎からの往復の運転はきついけど、この方面に通いたい気合十分。関西在住の人がうらやましい。
GoProは東の百閒滝を下降した時点で、扱いが悪かったらしく(?)電池切れ寸前。本番ともいえる西の大滝では何も撮影できなかったのが、残念。初めてだったので、これも仕方ない。少しずつ慣れていって、使いこなせるようになりたいものだ。
またいつか鈴鹿のこの大滝ハシゴはやりに来たいなぁ。そのときはもう少し強くなっていたい。