11/19 早戸大滝・単独
早戸川の流域は丹沢のなかでも好きなところ。早戸大滝はその流域の、いわずと知れた盟主に位置する滝だ。早戸大滝登攀の記録、というか記述は一例しか見たことがない。ボルト連打以外で登れるようなものではないことは分かってはいたが、ブランクセクションはあるだろうけど、ひょっとしたらネイリングである程度つながるかも、と妄想して、冬枯れの始まった早戸川へ今年も行った。(去年は12月はじめに原小屋沢にいったっけ)
落差50mの早戸大滝は、一枚岩の立派な前衛壁に水流の中段を隠し、どこか奥ゆかしさを感じさせる一方で、丹沢にしては多めの水量と、上部で明らかに軽くハングしている様相から、豪快かつ端正な印象を与えてくれる。釜はぜんぜん浅い。左岸側の、落葉とザレザレの土ルンゼから、前衛壁との間に勢いよく落ちていく滝芯を、茫然と見上げた。
一見して登れそうにないが、いくつかの残置が散見された。水流右の小さい流れを数m上がったところがテラス状になっており、残置スリングがあるのが見えた(朽ちかけたハーケンだった)。左岸から巻き上がって落ち口に行ってみると、落ち口左岸にハンガーボルトが2つ打たれていた。さらに、そこから5本リングボルトが連打されていた。フィックスし観察しながら下降したが、確認できた残置はこれだけだった。あるかもと思っていたボルトラダーの跡は見つけられなかった。ボルトは何用なのか・・、初登されたときのものか、アイス用?に打たれたものなのか・・。
60mロープをフィックスして下降した。ロープスケールでだいたい55mくらいだろう。滝芯の右の水流クラックから数m登り、さきほどの残置ハーケンのテラス。テラスまでもかなりぬめっていて、冷たい流水を浴びながらのフリーでは厳しかった。テラスから水流のほうに渋いトラバースをこなし、数手甘いホールドでなんとか体を上げ、そこで完全に行き詰まった。支点はぜんぜんとれそうな箇所がない。ユマーリングで粛々と上がる。落ち口まで10mほどのところから水流に移ってみて、ぬめった縦ホールドが多い 水際をユマーリングを交えながら登り、最後は落ち口からの5本リングボルトの箇所を越え、終わった。
やはりボルト連打じゃないと、ぜんぜん登れそうにない。そりゃそうだ、丹沢の滝で記録が出てこないわけだから、はじめから分かっていたことではあるが。でも記念に1回ちょっと触ってみたかった、ってことなので、ここに来ることができてよかった。早戸大滝をこんなに間近に見るなんて、なかなかできないことだし、そういった意味では面白かったな。
↓動画
↓登っ、いや、ユマーリングしたライン
↓下段テラスの残置
↓落ち口のハンガーボルト
↓落ち口までリングボルト5点
↓前衛壁との隙間の水流
↓大滝新道の滝見テラスから
↓落ち葉のじゅうたん。