隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

大台ヶ原・シオカラ谷

シオカラ谷 with Sさん、Hさん

 

昨日5/26は、あこがれの中ノ滝を、満足いくラインではなかったが、9pかけて登攀することができた。本日5/27は、もともとサマーコレクションを登る予定でいたが、大台ヶ原の自然をよりダイレクトに感じることができる沢登りをしよう、という話になり、シオカラ谷遡行に変更になった。ご一緒したSさん、Hさんは普段シビアなアルパインに入っていることが多いので、こうした心に余裕のある沢登りを欲するタイミングだったのだろう。シオカラ谷も綺麗と聞くので楽しみである。ただし、昨日パートナーを組んで登ったYさんは足の具合がおもわしくないとのことで、お休みになったことが残念であった。

さて、シオカラ谷の記録は数多くみかけるので、簡単に良かったポイントを記しておくことにしよう。滝見尾根を下り、入渓してからしばらくは巨岩帯の通過である。巨岩といっても東ノ川中流域と比べれば、そこまで巨岩ではない。小滝もたくさんあり、思い思いのルートで、登ったり巻いたり、濡れたり濡れなかったりできるだろう。こういうところは大人数のとき、リーダーのお助けワークが冴えるところだ。 

ミニミニゴルジュがあった。

 

千石嵓が見え、屈曲点で大レストした。あー、あれを当初は登るつもりだったのかぁ、と大岸壁を見やるが、どれがサマコレのラインなのか、当たり前だがまったく分からなかった。これも機会があれば、いつか登りたいものである。 

 

千石嵓を過ぎると何やら水流が細くなった気がする。岩岩しい渓相から、苔や木々が増え、緑の沢に変わっていく感じである。相変わらず小滝が続く。わざわざシャワーを浴びながら登ったり、胸まで水に入りながら釜をへつったり、各自が好きなように進んだ。

 

遡行図はなかったので分からなかったが、これがたぶん高倉滝だろう。15mほどの斜瀑で、大きな釜を形成している。何も考えずに左岸巻きかなぁと思っていたら、Sさんがリードするという。明らかにシャワーになるのに、雨具も着ずに気合の入ったSさんが左から登り出した。中段で水を浴びながら、ルートを左壁にとるか、上目に水流を渡るか、で悩んでいたが、やがて下目に水流を右に渡り、あとは右壁を登って行った。水を浴びながら時間をかけて格闘している姿は、とても楽しそうであった。

Hさんもシャワーを浴びて楽しそうだ。

 

高倉滝から上流では、この沢のもっとも美しい光景が待っていた。沢はいつしか穏やかな流れに変わり、静かに水を湛える透き通った淵に、陽光が木々を通して降り注いでいる。いつまでもここに居たい気がした。シオカラ谷のハイライトだろう。

 

美しい淵を過ぎると、すぐに圧巻の東ノ滝となった。そうか、何となく歩いてきたが、これでシオカラ谷も終わりかぁ、と一時感傷的にならなくもない。滝は登れるようには見えず、ちょうど右岸に枝ルンゼが走っていたので、これをある程度登り、本流に戻った。

 

吊り橋までの短い区間は、ナメが続く。朝、左岸すぐの旧登山道を歩いたというのに、こんなに綺麗なナメが流れていたとは、まったく気が付かなかった。まもなく吊り橋が見えてきて、観光客から奇異の目線を浴びつつ休憩し、満ちた気分で駐車場に戻った。本当はそのまま源流まで沢を歩きたい気分ではあったが、神奈川までの帰りの長旅を考えれば、昼くらいには下山していないと辛い。長旅の運転は辛いものがあるが、素晴らしい沢、滝が数多くあるこの紀伊になんとかして通いたいものである。

 

駐車場(6:05)~吊り橋(6:25)~滝見尾根末端(7:30)~千石嵓(8:35-9:05)~高倉滝(9:30-10:30)~吊り橋(11:25-12:10)~駐車場(12:30)