隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

冬の小川谷廊下

 

強い冬型気圧配置のよく晴れた日だった。

インフルエンザ明けでまだ体調不良ではあったけど、久しぶりに冬枯れの里沢へお出かけしたくなった。2月だからなぁ、寒いし冷たいだろうなぁと思い、以前から冬用にと考えていた道具をあれもこれもとザックに詰めたら、35リットルがパンパンになってしまった。 

 

小川谷廊下への出合。川岸がえらく土砂で盛られていて、昨年の自然災害の猛威が感じられた。
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いつもの通り最初の3mが見えてきた。
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見た目的にすごいぬめってそうだが、その通りすごいぬめっている。水量の減る冬は珪藻類が残りやすいそうで、夏と全然違う。
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核心のCS2条4mが見えてきてびっくり。なんと水流が左だけになってる! これは何十年か前に戻ったということらしい。2条になっている時代しか知らないので、ホントにびっくりした。
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以前、左をシャワー登りしたことも、右を登ったこともあるが、いまは登るとしたら右だけになるだろうか。
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右は真ん中上の小さなCSから水がほんのちょっと岩を濡らしているが、全体的にぬめりもないし、空身ならなんとかフリーでも登れそう。バックアンドフットで一歩上がり、小さなCSの隙間をジャミングでもう少し上がり、今度はCSを丸抱えしジリジリ乗り込んで、無事抜けることができた。ボルダリングで5級くらいか?
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上から見下ろして。エイドなら1本エイド用のボルトもあるし、上には3本もボルトが打たれている。フリーでも、水流がなくなったしぬめりもないので、個人的にはずいぶん登りやすくなった。
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右苔壁6m。左のコーナーを登るのは変わらないが、壁が洗われたようにキレイになっていた。でも見た目の色の通り、ぬめる。
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2段6m。この滝がヌメヌメにぬめっていて何回も逡巡しながらやっとの思いで登った。こんなに難しかったっけ?
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以前は落ち口に直接乗り上がったこともあったが、水を浴びたくないので左抜け。一段上がってからのっぺりした面に乗り込むのがヌメヌメで実に悪かった・・。何回もこすってフリクションを上げてからすごい気合入れて乗り込んだ。今までは何も考えずに簡単に登っていたのだが・・、ホントに難しくなったのか、インフル明けで体調不良だから難しく感じただけなのか、よう分からん。コワカッタ・・・。
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CS2条4m。これも水流が左だけになっていた。いやここは以前から左だけだったっけ? 右から簡単に越えられた。
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ワナバ沢?との2俣。小川谷廊下に来た記憶で、支流が目に入ったことがあまりなかったのだが、激しく崩壊していたためか今回は支流によく目が行った。
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3m。右の隅っこを登った。
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6m。この滝はゴルジュの釜が青くてとてもキレイだったが埋まっていた。登り的にも、右壁に連打されているフィックスを使って登ったり、左側から釜をへつって登ったりできる小川谷廊下でもハイライトな場所だった気がするが、いまはなんだか平凡な滝になっていた。ここが一番キレイなくらい思っていてちょっと楽しみだったんだけどな。右の凹角から登って落ち口付近にクライムダウンした。
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4mヒョングリ滝は、あまりひょんぐっていなかった。冬で水量が少ないからなのか、水流が微妙に変わってひょんぐらなくなったのか、どっちだろう。ぬめった左壁を登って抜けた。
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つるつるの大岩ではフィックスロープが無くなっていた。が、岩の下がキレイになっていて普通に歩いて通過できるようになっていた。
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膝上くらいの水位だったので、夏にはもう少し深くなるか。
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大岩を振り返ってみた。ちなみに大岩は傾いたのか少し傾斜が緩くなったような・・?気がする。試しに少し登っていたのだが、ぬめりもなくて全然登って行けそうだった。が、この通り真ん中のラインは登っても下りられなくなっていた。左端なら大丈夫かな。いつも簡単に登っていた滝がヌメヌメで悪~く感じたり、ヌメヌメだったはずの大岩が簡単に登れそうになっていたり、変化がたくさんあって沢の自然はホントに不思議。
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石棚ゴルジュの始まり。
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そう、ゴルジュ内のこの15m。右壁を登ったが、これもヌメヌメで悪かったなぁ。タワシを持ってくるのを忘れてしまっていたので、捨て縄用に束ねたロープスリングをタワシ代わりにして全力で足場を磨いた。それでも出だしのバランスが悪くて2回もドボンしてしまった。ドボンといっても水位は太ももくらいまでだが。
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この通り、見た目の通りぬめっていた。最後は落ち口の水流をまたいで左に抜けることが今までは多かった記憶があるが、足がすってんころりん行ったら大変なことになりそうなので、右壁通しで抜けた。
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石棚手前。
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5m、4m、そして奥に石棚20m。
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少しだけ川原になっていて休憩ポイントだが日陰で少々寒い。冬で草付きもなく石棚の様相がよく見えた。
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いつも通り左ルンゼから草付きの壁を登って巻いた。落ち葉でスタンスが隠れていて、ちょっと登りにくかった。
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石棚の上の滝も巻いて、沢にクライムダウン。花崗岩の沢って感じ。
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その後もなかなかキレイなミニゴルジュ。と、このすこし先のとある釜で突然大きな鹿の亡骸が出てきて、驚いてぎゃーー!と思いっきり絶叫してしまった。こんなに絶叫したのは生まれて初めてか?というくらい。亡骸の脇を股下まで水に浸かって通過したときは心が震えた・・。f:id:Kakuremino:20200210130131j:image

これが遡行図に書いてあるテーブル岩??
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このあたりまで登ってくると日陰面には凍結が見られるようになってきた。ぬめりも怖いけど、この凍結面を誤って踏んだら間違いなく一瞬ですってんころりん行ってしまうので、細心の注意が必要だ!と思って慎重になってみた・・。
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が、すぐ穏やかな日差しが注ぐ絶好の休憩ポイントになって、ぼんやりタイムに突入してしまった。
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この釜はなんだか記憶にある。泳ぐ練習をした釜だなぁ。なかなかキレイ。でもお昼を回りなんだか寒くなってきたな。
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凍った枝から小さなつららが沢山垂れている。足先がかじかんできてしまいそうだ。
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最後の5mは左から巻いた。
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壊れた堰堤についた。
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上の堰堤までのどかなゴーロをだらだらと歩いた。
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ここで終わり。なんか疲れた。東沢乗越から檜洞丸まで冬枯れの里山登山をするつもりだったが、止めにした。
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柔らかな日差しのなかぼんやり休憩。終わったあとの休憩タイムは幸せ感いっぱいでとっても好きな時間である。年甲斐もなく独りではしゃぐ。そう、このあたりの流域、少なくとも今日の檜洞丸南面の流域には、自分独りしかいないんだ・・、なんて思えるとちょっとした孤独感もやってきて、幸せな気分でいっぱいになる。誰もいないところに行きたいからなぁ。
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右岸経路をたどって戻った。林道では1か所、このようにアスファルトがえぐれている箇所があった。これを見るにつけ、「西丹沢県民の森」まで車で入れる日はもう戻ってこないんだろうなぁ、という思いになった。
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久々の沢だった。

新しく買ったドライパンツが試せてよかった。こんな時期はドライウェアの恩恵はとても大きく、必携アイテムだな。

一方で、テムレスに手首から肘下まで覆う長タイプのネオプレンリストバンドをして完全防水?スタイルにしてみたが、テムレスではぬめったところがいきなり滑りそうで、驚くほど登れなかった。軍手も濡れると冷たいので、結局ほとんど素手になった。

小川谷廊下といっても、雪が積もっているわけでもないし、行程も長くないし、標高も高くない。クランポンとかアックスとか沢山のお着替えとか、ザックをパンパンにして来てみたが、冬ならではの解決法みたいな都合のよいものはなく、単に夏やっていることを耐えながらやるというだけだった。ドライパンツは最高だったけど・・。

ま、楽しい沢登りができて、とっても満足。

 

起点・ユーシン渓谷駐車場(9:50)~小川谷廊下出合(11:00)~大岩(12:40)~石棚(13:15)~壊れた堰堤(14:20)~河原の堰堤(14:30~15:05)~右岸経路から林道(15:50)~起点戻り(16:50)

遡行図:丹沢の谷200ルート

ルートは☟

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