隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

銚子の伽藍(敗退)

単独。

小沼駐車場からツツジが峰通り登山道を歩き下り、沢が一番近くなる1100mくらいから下降した。下降の尾根は案の定の踏み跡があった。

入渓してからは火山といった渓相で、プチ巨岩の沢歩き。30分ほど歩けば1150mの二俣。

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ちなみに二俣の手前、1120m右岸支流は10mナメ滝×15mナメ滝で出合い、その上部をチラ見してみたらドーム状の岸壁になっていた。

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さて二俣を左に進むとすぐ「かめわりの滝」が出てくる。いやぁ、これは。昨日の雨でちょっと増水しているらしい。カムやらナッツやら持ってきたのがムダだったのを悟った。

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右岸から巻く。どうも人跡の感がある踏み跡。時折テープが木に巻かれている。眼下には藪の隙間から幾本か10~20m級の登れなさそうな雰囲気の滝が見えた。巻きのトラバースは続き、枝沢を2本、崩壊したルンゼ、また枝沢・・、このままではずっと巻くだけになってしまう。歩いて下りられそうなポイントを見出し、やっと沢に戻った。

そこから5分歩いたら銚子の伽藍の入口だった。

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小滝を越え6m滝。沢床に堆積した砂や小石がクライミングシューズに入ってきて不快だった。水流右にリングボルトが2本打たれていた。が、1本は触ったら抜けた。ホールドが細かく、ヌメってる。タワシで磨くと黄土色の岩が黒くなって、フリクション抜群にかわった。落ち口抜けはシャワー。・・なんと、ハンガーボルトが。恥も外聞もなく、ありがたく使って回収して、登り返した。

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両岸は垂直30mか。水が落ちる轟音が鳴り響いてる。谷が屈曲して先が一層暗くなった。いやぁ、こんなとき一人はかくも心細いものか。いやぁー、萎縮するね。

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ゴルジュに入ってからずーっと何かの鳥さんの可愛らしいさえずりが聞こえててさ。

ちゅんちゅんちゅん♪ ちゅんちゅんちゅん♪

ちゅんちゅんちゅん♪ ちゅんちゅんちゅん♪

かえれかえれかえれ♪ やめれやめれやめれ♪

鳥さんめ・・・。

今日は心をポジティブに保つことができないようだ。いや最近いつもか。仕事など原因をいくつか思い浮かべてみるが、お疲れモードで日々過ごすつまらない日常がお山の活動を凌駕して、ついにはお山は縮小傾向に・・。などと、それこそ実に愚かな自分に対する言い訳を、こんな暗いゴルジュに立ち尽くしながら、いたずらに並べてみる。俺ぁ・・一体何をやってるんだ?

それはともかく、10m滝。岩質的にまずよい支点がとれない(アンカーも作れない)、登るほどに猛烈シャワーになるであろう。最初の6m滝の規模ならボルダー感覚でまだいいんだけどなぁ、最近の自分、う~~む、一人ではやっぱリスクを許容できない・・。

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ちゅんちゅんちゅん♪ ちゅんちゅんちゅん♪

鳥さんのさえずりとともにゴルジュ入口まですごすごと戻り、右岸を大高巻きで登山道に出て、銚子の伽藍の出口まで。そこでまたぼんやりタイムを過ごして、あとは歩きスマホGPSを見ながら駐車場まで帰った。

 

小沼からの粕川への流れが排水溝みたいになっているのを見て、度肝を抜かれた。 

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小沼駐車場(8:55)~入渓(10:35)~1150m二俣(11:10)~銚子の伽藍(12:05)~巻いて出口(14:05)~駐車場(15:05)

装備:ダブル30m、ハンマー・ハーケン、カムナッツ、クライミングシューズ

ルート☟

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