隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

房総・木和田川〜小糸川右俣

土曜日は曇りときどき雨くらいだと思っていたが、一日中雨らしい。えー、やっぱ行くのやめようかなぁ。でも今日行かなかったら明日は明日で面倒くさくなって結局またお山を歩かない週末になりそうだ。もう何も考えずに行こう。気温は高いみたいだし、房総の沢だし、適当にほっつき歩いて、飽きたら帰ろう。近くに「小糸川温泉」というのがあるらしいので、濡れた体を温めたらいいだろ? それを楽しみにちょっと歩いてきましょう。

 

木和田川にはせっかくなので豊英大滝(地形図の大戸場滝)の下から入渓したい。「和みの森」という看板が立つ小さな駐車スペースに停めた。雨具を上下着て、沢靴を履いて、軍手して、雨のなか、とりあえず奥に伸びる散策路を見てみたが・・、どうやら散策路は豊英大滝とやらには行かないらしい。林道を下流側に軽く歩くとすぐそれらしい道標があった。こっちが正解でしたか。すんなり沢に降りることができた。f:id:Kakuremino:20230114211643j:image

 

すぐ豊英大滝とやらに着いた。2段で、両段とも階段が掘られていた。思ったより小さかった。それにしても、ここは夏は水遊びのメッカというが、この水で遊ぶのは個人的にちょっと抵抗が・・。まぁ今は冬だし、雨も降ってるからなぁ。
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上段。釜がけっこう深い。
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滝上で大きな側壁の下、沢は大きく左に曲がる。屈曲点は倒木に埋まり、それを抜けると沢床は土砂に埋まった。
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粛々と歩きこの木和田川で唯一あった堰堤をハシゴで直登。
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そこからは大きな回廊のように平らかな沢をさらに粛々と歩く。
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沢のなかに道標。さっきは階段もあったし、想像だがこの辺一帯は「キャンプ場」の散策路としてかつてそれなりの整備をされていたものと思われた。
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最初の右岸支流を過ぎると一瞬沢が狭まった。粘土質の沢床がとにかく滑りやすく、チェーンスパイクをぐりぐりやりながら通過した。
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さらに2つ目の右岸支流を過ぎ、入渓から40分ほどで、側壁高く曲がりくねった暗く短いゴルジュに入った。ぎっしりと埋まっている。f:id:Kakuremino:20230117001317j:image

 

それを抜けたところも勿論埋まっている。さっきから雨足が強くなってきている。いやだねぇ。
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また水流が復活し10~15分ほど歩くと、底がまったく見えない深そうな釜をもった、いかにも滑りそうな小滝。これが今日の核心で、降りしきる雨のなかでは実に難物だった。右岸に落ち口からトラロープが垂れているので、そこまでなんとかツルツル面をトラバース・・と思ったがかなり厳しい!3歩ほど耐えに耐えて、体をぐにゅーと伸ばしてトラロープの末端を指でつかんで、形ばかりのテスティングをして一気に掴んで体重をかける。なんとかドボンせずにクリアできた。
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トラロープがなかったら、無理だったかな・・・。
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そのあと細いゴルジュって感じになって突き当りに2つ目の小滝。こちらもトラロープが垂れている。使わなくてもギリギリ登れそうな気がしたが結局使って通過した。
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雨がさらに強くなってきてさすがに増水気味。水が濁りきっていて深さも水底の形状も全然わからん。いきなりポットフォールがあったりするので、おそるおそる足で探りながら歩いて通過。こりゃまいった。こんな感じを2~3回繰り返して、
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もう源頭近く、荒れ気味なので、登山道にエスケープするわ。
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うっすら踏み跡の雰囲気がする左岸の枝尾根を選んだ。ズルッズルの粘土質の斜面を木を頼りに登った。木がなかったら豪快に滑落してたかもしれん。
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登山道に出て数分で、2回目の安房高山についた。天気は最悪になり、風がビュービュー吹いていて、横殴りの土砂降りだ。もう早く帰りたくなる。ホントは西側に尾根を隔てた湊川のほうの沢もほっつき歩いてくる予定だったが、それは止めだ。小糸川右俣だけ歩いてから駐車場に戻るショーットカットプランに変更した。沢じゃなくて登山道を歩けばもっと早く下山できるけど、さすがにまだ2時間ちょいしか歩いてないし、な。
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たまにはこんな山歩きもいいもんですね。
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途中にあった請雨山愛宕神社というのに寄った。立派な鳥居に驚いた。大事にされているらしい。
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関東ふれあいの道から、地形図でC323mと書かれた小ピークへパッと登り、
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北へ伸びる尾根を末端まで下る。そこから小糸川右俣に入るつもりだが・・、増水の具合はどんなだろう。もし、いやちょっとなぁ・・だったら、西側の枝尾根を軽く登れば登山道なので、エスケープもきわめて容易だ。まぁ気楽に行ってみましょう。
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尾根末端から小糸川右俣を見やった。いやぁ、いい感じにアマゾン川色になっている。もともとチョロチョロだろうし水量は問題ない。
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アマゾン川に入った。立っているところは水深40cmてとこだが、一歩先がどうなっているかは全然分からない。拾った枝で水中をトントンついて、水底の形状を確認しながら歩を進める。楽しくはないが、特段リスクも感じないので、そのまま沢を歩くことにした。
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普段は埋まってるかチョロチョロくらいなところにちゃんとした水流が生まれた、ってことかなぁ。
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と、急にアマゾン川がでかくなった。おそらくずっと向こうが倒木とかのデブリで埋まり、堰き止め湖状態になっているのだろう。左岸沿いに杖をつきながら20mくらい進んでみたものの、その先が急にかなり深くなるらしく、杖が全部水中に没してしまった。ツルツル滑るし、まだずっと先まで堰き止め湖が続くとみられるので、沢通しは止めて巻くことにした。
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適当に戻って左岸を登るときちんとした踏み跡があった。しばらく歩かされたが、
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無事沢に歩いて戻れた。
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また回廊のようになった沢を歩いていくと、
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今度は堰き止め湖というよりも沼っぽくなって、足首までズブズブと埋まる緩い泥土のデブリになった。デブリの先で沢幅が狭まり倒木がぎっしり詰まっている。その向こうは4mくらい沢床が下がっているので、小滝の上に倒木が詰まっているようだ。これをクライムダウンして進むのはさすがに危なさそうだし、えらく汚れそうなので、また巻くことにした。

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今度は歩いて沢に戻れそうな下降点がなかなか見出せない。最終的に、
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沢の屈曲点に切れ落ちる枝尾根の末端を無理くりクライムダウンした。根っこを掘って、ズルズルの足元を蹴り込んで、細枝をつかんで、最後はジャンプ。めちゃくちゃ汚れた・・。気が付けば雨が少し弱くなってきた。
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天気がすこし良化してよかった。でも、単調な沢歩きに飽きてきた。もう終わりでいいかな。登山道が沢を横断するポイントまであと少しだけ頑張ろう。
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沢、って感じの流れがあるところが1か所だけあった。
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あと、土砂降りだったからかザァザァ水を落とす20mくらいの滝があった。
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それで、渡渉点についた。もう小糸川に沢歩きに来ることもないだろう。去年に左俣を歩き、今年は右俣を歩いた。お別れだね。
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では、沢から離れ、尾崎とやらの方面に向かおう。山道とトレイルを適当につないで車まで戻った。
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「小糸川温泉」。800円。営業は16時までと終わるのが早いので注意。透明度12~13cmくらいの黒ーい温泉でした。41渡くらいでそこまで熱くなくて、すごーくリラックスできたなぁ。なにより、土砂降りの沢で冷えたなぁ、汚れたなぁ・・、といった不快感が、澱を落とすかのように消え去ったのが極楽だった。まさに狙いどおり。気持ちよかったー。まぁ帰宅したらウエアの泥を落としたりしないといかんから、結構大変なんだけど。

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駐車スペース(8:40)~木和田川から入渓(8:50)~安房高山(10:55)~C323m(11:35)小糸川右俣、登山道渡渉点で脱渓(13:40)~起点戻り(14:40)

装備:チェーンスパイクのみ

ルート☟