隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

石垣島・ウマヌファ岳~桴海於茂登岳

 

米原登山口(6:10)~東回り道からウマヌファ岳(8:20-45)~桴海於茂登岳(9:25)~北尾根道を起点に下山(10:30)

装備:なし

ルート☟

 

 

ここ数年夏休みは沖縄に家族旅行に行ってるんですよ。なかでも石垣島(と西表島)が好みで、今回も5日間で行った。カヤックやスノーケリングなどのアクティビティを少しずつアップグレードさせていくことで、子供たちの成長が感じられるのがとても楽しい。そして毎回「合間で自分の登山も・・!」と思っていて、いくつか山行計画を立てているのだが、ようやく時間をもらって初登山に行った。午前中しか時間がなかったので、一番無難な計画にしたんだ。それが本山行のウマヌファ岳と桴海於茂登岳なのである。

 

日の出の6時を過ぎても空には雲が広がり薄暗い。これでは密林の下は真っ暗じゃないかね? 迷ってしまうかな。しかし時間に余裕がない、というか10時台には下山したい。とにかく出発。まぁ最悪歩きスマホGPS見ながら歩けばいいだろ。

 

薮の踏み跡からすぐに小さなゲート。この辺りは踏まれまくっており、真っすぐ行っても、フェンス沿いに左へ進んでも、最終的には同じ道に収斂するようだ。おそらく色々な人が付けたのであろう、赤テープも頻出する。

 

密林に覆われていて、やはり暗い・・。「北尾根道・東回り道分岐」というのがよく分からなかったが、うろうろしてそれっぽいのを見つけた。

 

よく踏まれているが一本道というわけではなく、眼前の光景のちょっとした機微から、ルートを外した感覚をしばしば覚える。まだ薄暗いこともあり、かなり丁寧に踏み跡を辿る。赤テープも思った以上に頻出するので外す心配はさほどない。

 

渡渉点があった。

 

尾根っぽい道になり普通の登山って感じになる。何か所かおそらく別のところへ行くのであろう踏み跡の分岐が見られた。

 

沢に出た。ここからは沢沿いに進んでいくようだ。

 

せっかくだから沢を歩く・・が、

 

すぐ脇に刈り払われた登山道が並走する。正直に言いましょう。登り始めから、ずーっと頻出する赤テープを追いかけるだけの登山。それでいて藪がウザいし、すぐルートを外した感覚にさせられる。そういうのが、つまらなく感じるんだよ。そういうわけで、やっぱり沢を歩こうかなーと考え、

 

沢にルートを変えた。赤テープを辿るだけの登山から解放されてちょっとだけ楽しくなった。

 

そうなると、C360mくらいの二俣は左俣を選びたくなる。右俣のほうが真っすぐ進むだけなのでラクだと思うが、性格がひねくれているので真っすぐじゃないほうを選びたくなるんだよ。そう深くは考えずに左俣を歩くことに。

 

左俣の登山道は沢を歩く設定のようだ(?)。適当に進むと、

 

あっと言う間に小さな土壁で沢形が終わってしまった。

 

ここからは地形的特徴もなく、方角を決めて「リュウキュウチク」なる背丈を遥かに越える強烈な笹の藪漕ぎになった。登山道を探して辿ればラクだろうが、もう登山道とはバイバイだ! いや、一瞬登山道探そうかなと思ったけど、距離も短いと分かっているのでまぁ頑張れるだろ?

 

しかし! リュウキュウチクはとてつもない密度で、漕げるようなものではない! 両手で体重をかけて押し分け、足でがんばって踏みならす。労力にまったく見合わない距離。頑固な「ツルアダン」も絡みついていてイラ立ちながらの格闘になり、たった10分ほどであったが前腕がとてつもなくパンプした。もはや握力ゼロ状態。

 

リュウキュウチクゾーンを抜け、ウマヌファ岳ピーク方面へ適当にもう10分ほど歩いたら、

 

また赤テープに出会ったので、登山道に戻った。

 

ツルアダンに設置された残置ヒモで岩に乗り上がると、

 

この登山で初めて頭上がひらけ、

 

眺めがよい見晴らしの岩。

 

上を見上げれば山頂が間近に迫っている。

 

これがウマヌファ岳山頂の巨岩。景色もよくて最高です! 左奥のキレイなスラブ岩がもっとも高い。あのトップまで行くだろ?

 

そのスラブ岩は写真の奥側から7級くらいのスラブクライミングで登れる。

 

これから続けて登る桴海於茂登岳を見やった。

 

こちらは於茂登岳石垣島最高峰みたいだけど、見てのとおり電波塔が山頂なので登山計画としては却下していた。

 

底原ダム、真栄里ダムを見下ろした。

 

来し方を振り返った。どこをどう登って来たのかまったく分からん。

 

最後に山頂スラブ岩のスラブ面を見てみよう。スラブの下は1.5mくらいの垂壁になっていて、その上にスラブが乗っかっている感じだ。藪が近くて分かりにくいが高さもありなかなか壮観。はっきり言って登れそうな雰囲気がしたがね。妄想かね。・・では、桴海於茂登岳へと出発。

 

登りで踏んだ「東回り道」よりも、この「北尾根道」のほうが変化に富んでいる。ジャングルになったり、巨岩が出てきたり、楽しい散歩になった。

 

桴海於茂登岳への分岐。少しの登りで、

 

リュウキュウチクの刈り払い道になる。軽く漕ぎながら登ると、

 

10分もかからず、展望のない山頂についた。ちょっとだけ刈り払い道を奥に進むと、

 

岩があって、そこだけ微妙に展望があった。では、下山しよか。

 

あとは引くほど頻出する赤テープを辿ってバーッと下山した。

すごいウネウネしたツルアダン。

すごいハングボルダー。しかもホールドもつながっているように見える。溝を辿り、

浅いポケットの垂壁へ抜ける、って感じかね。

この板状の根っこ、ホントに面白いなぁ。

シダのすだれをくぐって・・

スタート地点のゲートで終了。

 

下山後、パーラーぱぱ屋でサトウキビジュース。サトウキビのやさしい甘さがすごい好きなんですよ。お着替えし、ちょっとだけ涼んで、急いで家族旅行に戻った。



・・・などと楽しい登山だったなぁみたいな駄文を書いたが、実際は結構な不快ポイントがあって、個人的には久々にちょっぴり苦い山行になった。石垣島の山行計画はあと3案ほどあるので、自分のために今後の備忘として、もうちょっと駄文を足しておきましょう。

まず虫・・たぶんブヨ。虫刺されリスクがすごいので、暑いけど完全沢装備で上下ネオプレンといういでたち。顔も夏用バラクラバで覆ったが、わずかに露出していた頬を3か所刺された。登山日は旅行最終日で、顔に違和感を覚えながら帰宅したが、翌朝起床したら、顔がパンパンに腫れ上がっていて目が開かなかった。試合後のボクサーのような状態で会社に行かなくてはいけなくて・・あとは推して図るべし。最悪の一日になったわ。

そして草木かぶれ。軍手と長袖の間でわずかに露出していた手首が蕁麻疹だらけになってしまった。痒くて死にそうだ! それにリュウキュウチクの激しい藪漕ぎで膝をかなり使ったためか、ネオプレンタイツを履いていたにもかかわらず膝周辺も蕁麻疹だらけになってしまった。

ヒルは山頂で一匹ついていたけど、ネオプレン履いてたから問題なし。帰宅後、ビニール袋に入れていた沢靴からもう一匹発見されたけれど、それはご愛敬・・。そうそう、道中バカでかいクモの巣も多くて、2回被ってしまったぜ。

とにかく私のような虫刺されに弱くて皮膚アレルギー体質な人間には、親和性の非常に低い環境。分かってはいたが、不快指数がきわめて高いのは否定できないものがあった。数年前西表島の沢に入った時もそうだった。全身狂いそうに痒いし、いやな感じで臭くなった。はっきり言って最悪だ。

でもまた行きたいんだよなぁ。今度は素直に沢筋を行きたいなぁ。

 

おわり