隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

神ノ川・仏谷

 

駐車スペース(7:30)~広河原から入渓(8:15)~2段5×15m(8:40)~CS5m(9:25)~20m(10:00)~C1200m二俣(11:30)~丹沢主稜C1580m付近登山道(13:05)~蛭が岳(13:20)~地蔵尾根から岩水沢出合(15:25)~起点戻り(16:10)

装備:補助ロープ20m

ルート☟

 

 

最初に言いたいんですけど、仏谷とても楽しい沢登りでしたね。なんか今更って感じでバカみたいだけど、夏と言えば涼しい沢登りだなと思いましたね。

 

(8/13、前段)

8/15に仏谷を遡行したんですが、2日前の8/13にも来てたんですよ。そのときはやる気がまったくなくてお決まりの寝坊。クソ暑いなか、伊勢沢くらいから本流を適当にダラダラ釣り上がってた。ウザい堰堤巻きばっかりで広河原に着いたときはやる気も底をつき、仏谷をもっと進むつもりだったが、最初の滝で終わりにした。その仏谷の滝が思っていたよりずっとゴルジュって感じで雰囲気ある滝で、驚いた。ふーんと思いましたね。

滝を見てちょっとやる気が出た。時間が15時くらいだったので、伊勢沢まで戻ってあらためて釣ることにした。先行者がいなくなって時間が経ったからか、ちょっとは釣っていたが、急にスコールのような土砂降りがきた。ぜんぜん釣りにならないので、上だけ雨具を着て木陰で雨脚が弱くなるのを待った。が、雨は弱くならないどころかむしろ強くなる。2軍の雨具は着ている意味もなく、もう全身ずぶ濡れだ。しかたないので諦めて帰ろうとしたとき、あれま、めちゃくちゃ気持ちよくなっているのに気付いた。

クソ暑い夏。正直言ってものすごく夏バテしてましたわ。そして夏の沢登りと言えば水浴び、というのを忘れていて、熱中症気味で歩いていた・・。神ノ川の雨とも沢ともつかぬ水を「うおおおー」と叫びながら一人浴びまくって楽しんでいると、実に生き返った気分になった。やがて下流から鉢巻とランニングシャツの釣り師らしいおじさんが雨に打たれながら上がってきて、一言二言挨拶を交わすと、何でもない様子でそのまま歩き去っていった。なんだかその姿に勇気づけられた。逸脱こそ愉楽。素晴らしいクールダウンとなり、やる気が出てきた。

それで、雰囲気のよかった仏谷にちゃんと行きたいなぁ、と思い、2日後に再訪したというわけ。

 

 

(8/15、仏谷)

あらためまして、埋まり切った広河原に下り立つ。竿も置いてきたし、ちゃんと早起きもした。

 

雰囲気ある谷に入るとすぐに、

 

印象的な5m滝。前衛の小さいのは右壁をへつり、

水流左を登った。

落ち口から。

 

いやー、雰囲気ある光景に楽しくなってくる。

 

これはどうやって登ったんだっけ・・・?


若干ゴーロをはさんで、

 

また感じのよい小滝ゾーンがつづく。ちなみに本流である金山沢の出合があるはずだったが、何も考えておらず気が付いたら通り過ぎてしまったようだ。またこのあたりは、さすがに土砂流出の起点たる仏谷だけあって、転石の積み重なりで水流の綾が作り出されているように思った。

↓こういうのは無駄にスラブ面を登るわけですよ。

 

やがてCS5mについた。これもさー、どうやって登ったんだっけ? 右側を簡単に登った気がするんだけどなぁ。

 

これがC885mの小谷との二俣。

 

ここからはしばらくゴーロを頑張る。って言ってもほんの15分かそこらだ。

 

ゴーロが終わるころ、左岸斜面の崩れているところが日差しに照らされ不思議な空間になっていた。

 

仏谷のハイライトたる20mの大滝が近づくにつれ、また渓相が変わり、なんだか渓谷といった雰囲気を出してくる。丹沢にこんなところが・・というほど気に入った。

 

雰囲気ある小滝の連なりの向こうに・・、

 

仏谷大滝20m。黒光りする逆層で、この沢登り唯一登れない滝である。

 

巻きは容易だ。左岸のルンゼを軽く登り、

 

写真じゃわかりにくいけど、沢に戻っていく明瞭なバンドが通っている。

 

さぁ大滝を過ぎるとまたゴーロがんばりタイムである。行程にめども立ち、座りよさそうな石を見つけて大休止としましょう。はぁー、自然のなかでぼんやりする至極の時間。気が付いたら1時間近く経ってしまい、やれやれ・・と、ようやく重い腰を上げることに・・。

 

ゴーロが終わるとバカでかい転石が沢床の一部となって転がる異形の光景に。

 

2~3小滝を越えるとCS6mが見えてくる。

 

CS6mはどうやって登ろうか・・、水流左からCS下まで上がって、右にトラバースして抜けた。

 

滝上の2段6mを越えると、

 

C1,200m二俣。沢筋が明瞭なのは右のゴーロだが、本流は小滝で出合う左。

 

左はこの小滝の上が逆S字に小さく屈曲しており、周囲も壁になっていて小さな異空間になっている。その突き当りに、

 

5~6mくらいの小滝。これはシャワーを浴びながらステミングで急いで登った。ちなみに遡行図と照らすとどれがこの滝かよく分からない。


沢は急速に水量を減らし、周囲は荒れていき、この2連小滝を過ぎ・・、

 

短いゴーロの向こうに白く広がる空間が。

 

大クドレとやらの始まりになった。山頂へ向け粛々とガレの本流筋を進んでいく・・つもりだったが。

 

この小さな垂直ギャップがボロッボロで恐ろしい。岩が壊れたら、もんどりうってガレをどこまでも転げ落ちていきそうだ。ひとたびは左岸の草付きを巻こうとしてみたが、リスクが高すぎと判断し、全力のクライムダウンで戻り、これを改めて登ることに・・。脆いところを剥がしまくって、血眼でずり上がった。実に久々に緊張した。

 

本流筋から若干右にずれてしまったようだ。ちょっとだけ頑張ればトラバースして戻れそうだったが・・、もうやめよう・・。

 

眼の前のガレをもうひと踏ん張りで耐え登り、

 

ガレを見下ろして・・、

 

縦横無尽に走る獣道を拾って、登山道に出た。ブヨがすさまじい。

 

あとは牧歌的な登山道をダラダラと歩き、

 

数年ぶりの蛭ヶ岳。日陰で休憩タイム。

 

丹沢主脈登山道を下山で歩いた途中で、大クドレの終わり(の一つ)を見下ろした。

 

遡行図のとおり下山は地蔵平から地蔵尾根を歩いた。この地蔵尾根、あまり好きではない感じ。テープが頻発するので迷うことはないが、テープは一度主尾根を外して枝尾根に入りまた主尾根に戻るような複雑な踏み跡にいざなっている。おそらくかつて弱点をついた登山道が通っていたのではないかと推察するが、いまとなっては主尾根を外されることで「本当にコレあってるの?」的な疑念を抱えながら歩くことになる。テープも新旧が雑然としており、ラインが読みにくい。

 

とはいえサクッと岩水沢出合まで降りきり、水浴びして涼しくなって帰った。仏谷・・、丹沢ランキング上位に入りましたね。小川谷廊下、モチコシ沢大滝のように、また来てもいいかも。そんな丹沢の一本になった。

 

 

おわり