上信越国境 長笹川・ガラン谷(ガラン沢川)
10/22(日) 駐車スペース(6:10)~入渓(7:20)~湯ノ沢(8:30)~白水沢(10:45)~横手裏沢・湯ノ沢二俣(12:50)~草津峠(13:40)~馬止登山口(18:20)~起点戻り(18:40)
参考:関東周辺の沢、ネットでは山紫水明(2015/10/12~13)、バリしま(2010/9/25)、山ノ中ニ有リ(2009/10/3〜4)が参考になる
ルート☟
伽藍の谷。今年の紅葉の時期にぜひ行きたいと思って計画を立てていたが、マップで距離測定してみると26kmを超える行程。日帰りだし・・、よほど頑張って歩かないと陽があるうちに下山はできまい。
天気はよいけれど、終日気温が低く寒い一日だった。吐く息が白かった。
駐車場所に手間取り6時過ぎに出発。入渓するとすぐにキノコ沢の出合滝を通り過ぎ、大釜をもった8m滝を右岸巻き。沢は思ったより水量も多く、渡渉も場所を選んでといった感じ。いきなり時間に追われているので、なるべく早めのペースを刻んで進みたいわけだが、それがために心に余裕がない山行になってしまったようだ。ガラン谷のいろいろな神秘に感動することなく、先へ先へと淡々と進んでいくことになった。
林道から取水口へ辿り入渓
キノコ沢の出合滝
8m滝は右岸巻き
紅葉は・・ちょっとイマイチ
1時間ほどで湯ノ沢出合
出合から左を見上げると岩峰になっていた
湯ノ沢を出発すると右岸から大きな崩壊跡。出合から近くにここで遭難したというイギリス登山家ピーコックの碑が埋められていると聞いていたが、あまり気にしていなかったからか、見つけられずスルーしてしまった。
いままで日陰の遡行だったが、ふと右を見上げると大きな岩壁が朝日に照らされて白く輝いていた。わー、眩しい。遡行図によると、左岸にあるそれは「日陰ガラン」(幅広く白い岩壁)。一方で、右岸にあるのは「日向ガラン」(岩峰状)と記載されている。目の前のガランは「日陰」どころか眩しく輝いていた。谷は両岸からの過激な崩壊で大きいものは10m級になる転石が沢床を埋める巨岩帯を形成しているが、反面、よほどクライミング的動作が苦手でなければ通過に困難はない。最後は巨岩の隙間を登るのがリスキーになったが、左岸の藪から残置ロープが垂れているのを見つけ、藪こぎ半分の踏み跡で巻き沢に戻るとガランが終わった。
ガランを抜けると、何か所か硫黄が染み出しているのか真っ白になっているところがあった。次は「黒ゼン」なる多段の滝。下段は右岸が簡単なフリクションクライミングで登れ、上段も右岸トラバースから一段上がると終わる。なかなか見た目もよい滝だった。それからいくつか小滝やナメを過ぎると、白水沢出合。
湯ノ沢出合からすぐ右岸が崩壊
朝日に照らされ眩しい日陰ガランらしき岩壁
ガランに入る。通過に困難はない
右岸のこれって日向ガランなのかな。日陰ガランと比べ小さい
日陰ガランが眼前に迫った
転石の間を落ちる滝
下を振り返った
最後は左岸の残置ロープから踏み跡を藪漕ぎ半分で巻き
黒ゼン、下段は右岸をトラバース気味にフリクションクライミング
上段も右岸をトラバースして上がり左抜け
これはプールが深く左巻き。根曲竹の腹立たしい藪漕ぎを強いられる
いくつか小滝やナメがあり、
白水沢出合に着いた
白水沢出合からはプチ巨岩帯の通過のあと、熊沢、鉢山沢と左岸に支流を分け、「川床いっぱいに硫黄が出ている」ゴーロ帯を歩く。そしたら本流である横手裏沢と湯ノ沢(本沢)との二俣である。
これまでも何回か硫黄臭がする箇所はあったが、全体に赤っぽいゴーロが主体だった。それが熊沢を過ぎたあたりから沢の水がなんか青っぽく、白っぽくなった。鉢山沢を分けてからはそれはさらに顕著になり、沢床はもはや真っ白。横手裏沢出合に着くと面白い光景があった。横手裏沢は赤く、湯ノ沢は白い。二俣は赤と白と半分半分になっていた。草津峠へ向け湯ノ沢を選んだ。
白水沢出合からしばらく歩くとちょっとした巨岩帯
こちらは左岸からCSを登って通過
熊沢出合。印象的な岩塔
青っぽい色に水が変わった
鉢山沢出合
鉢山沢からすぐ右岸に2段20mの支流
美しい2段滝
硫黄が強くなり沢は真っ白になる
横手裏沢・湯ノ沢二俣
赤と白のコントラストがとても印象的
草津峠へと湯ノ沢を進む。白い硫黄の沢歩きだと思ってワクワクしたが、出合から短い倒木帯を通過すると硫黄ゾーンは終わってしまっていた。そこからは藪が近くちょっとウザくなる。2つ滝の通過があり微妙にシャワークライミングになり手が冷たい。藪をかき分け詰め上げていくと唐突に立派な道に飛び出た。
そこからスタスタ歩き、10分で草津峠。もっと藪漕ぎで源頭を頑張るのかと思っていたのでラッキーだった。入渓から6時間ちょい。やっと沢の行程が終わった。
10mくらいの小滝。手が冷たい。
藪沢になる
また10mくらいの滝。これは中段から左岸を巻いた
立派な道に出て驚く
草津峠。長い下山を思い遣って、時間に追われつつも大休止
下山開始は14時・・。ここ草津峠から馬止登山口までのコースタイムはたしか6時間くらいと聞いていた。コースタイムどおりだと20時になってしまうので、なんとしても短縮しないといけない。でもちょっとお疲れモードで・・。
目標は日没前、だけどそれだと17時まで3時間しかない。それは難しいだろうから、なんとなく目標を18時に定めた。あわよくば日没後の残光がある時間帯で車まで・・。
赤石山、ダン沢ノ頭と、短いが終わった足には辛い登りを耐えて、オッタテ峠の分岐からようやく下りオンリーになった頃、日没を迎えた。暗くなった尾根道を足早に歩いたが、開けていて眺めのよい一ツ石で諦めて休憩をして、そこからはヘッドライトを点けることにした。月と里の明かりをぼんやり眺め、今日はじめて頭を空っぽにした。
そして夜の登山道を粛々と歩き、車に着いたのは18時40分だった。
鉢山のいわれ
赤石山ピーク
ダン沢ノ頭までの短い急登がキツい
オッタテ峰を過ぎると太陽が向こうに沈もうとしていた
一ツ石で休憩し、あとはまた粛々と歩いた
時間に追われた登山はこれまでも何回もしてきたけれど、今回はちょっぴり辛かった。お山で頭を空っぽにして休憩タイムを過ごすことを何よりの楽しみにしているんだったっけ、と思ったんだ。現実には計画的に休憩と補給をして、粛々と行程を進めるのみだった。ガラン谷は、本当に行きたいぁ行きたいなぁと思い焦がれた谷だったので、もっと時間を使って味わいたかったなぁ。しかしこれも一期一会の登山。こんなこともありますよね。
下山はイージーにガラン谷左岸側の登山道としたが、これがもう一つの心残り。グーグルアースで見ていると、ガラン谷右岸と長笹沢川(地形図)の間の台地状の尾根にいくつも明瞭な踏み跡が通っているのが確認でき、これを上手につないで下山したら楽しいんじゃないかな?!と思っていたのだ。しかし調べる時間が全然なくて断念。
志賀高原は大好きなので、また違う形で登山しに再訪したいなぁ。
おわり