隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

・特異な空間の旅

赤岳東壁・センターリッジ左スラブ~Aルンゼ

昼頃からガスが出る予報だ。5時。闇が白み始めるくらいに歩き出した。 林道が県界尾根登山道へと名を変え沢筋から離れていくところから、沢沿いの踏み跡を辿って軽く笹を漕いだ。朝露でもう腰から下はびっしょりだよ。傍流が多くて面倒なので適当なところか…

千丈峰・倉谷 小ギラ〜大ギラ第三スラブ

大ギラ第三スラブこの見た目こそ「ギラ」たる所以か。上部で左右に分かれており、より奥まで伸びていそうな右を選んだ。スラブは思った以上にどこまでもつながっていて、出合から稜線まで標高差250m、スラブ通しでスタコラと登った。 ここは糸魚川市、日本海…

丹沢 玄倉川源流 熊木沢・箒杉沢・鍋割沢 未満

沢登りの対象として玄倉川の支流には多くの登攀的な好ルートがあり、本流も中流域では綺麗な渓谷の遡上が楽しめる。しかしながら、ユーシンロッジ付近の二俣で檜洞沢に水流を分けた後、本流は遡行の対象から跡形もなく消え去ってしまう・・。まぁそりゃそう…

下又白谷前壁

朝7時前、うすら寒い高曇りのなか徳沢の手前で下又白谷を遠望。 ガレの谷に入る。数年前の台風で下流は大分荒廃が進んだらしい。また穂高は地震による影響も大きい。 陽が差して快晴になる。小一時間ガレを歩き眼前に迫ってきた「前壁」を見やる。広大な前壁…

海谷・旗振山右稜

732高地で右岸によく見えるのが旗振山だ。初めて見たとき感じるものがあって、その頭まで行ってみようと思っていた。大系によると右稜はかつて壁を登ったあとの下降路として使われていたという。確かに藪のラインは明瞭だ。取り付きから頭まで標高差約300m程…

雨飾山 フトンビシ右岩峰中央稜

「布団菱」という訳の分からないネーミングは以前から気になっていた。偵察がてら見に行こうと思って、2か月前の8月に荒菅沢を遡った。しかし時期が早すぎて、ゴルジュは崩壊した雪渓で通過できず、フトンビシの岩峰に近づくことができなかった。まぁいつか…

栗駒山・産女川

・・・・・ 栗駒の名渓である産女川は、2008年の岩手・宮城内陸地震により甚大な被害をうけた。渓の800~850m左岸側の山体で1,000m付近を起点に大規模な地すべりが、また周囲でも斜面崩落などが発生し、土石流で1.5㎞下流まで土砂に埋まったという。当然なが…

南会津・楢戸沢奥壁

8/28~29 with Oさん 南会津・伊南川 楢戸沢~会津朝日岳北壁スラブ ・・・ できれば伊南川の出合から楢戸林道を歩き始めて、その末端から入渓したいところだったんですけど、アプローチがちょっと長すぎてくじけました。それで前沢林道から山越えして地形図…

南ア鳳凰山 ドンドコ沢~地蔵岳

青木鉱泉から歩き出し、砂防堰堤の上から入渓。 と、左岸にボルダーが点在。チョーク跡も。登って楽しそうなボルダーはそう多くはないが、こりゃドンドコ沢左岸エリア、か? 朽ちた堰堤やギリギリ現役の堰堤をまだいくつか越えると、 最初の8mほどの滝。右岸…

西頚・権現岳東壁

万年雪に駐車して見上げる権現岳東壁。まじかで見ると思っていたよりずっとでかいなぁ。いやぁなんか悪そうだぜ・・。思わず「唾を呑む」とはこのことか、って感じでゴクリと唾を呑む。下部はぶっ立っている。上部はどこまでもゆるスラブが続いている。クラ…

黒部別山・中のガビン沢 未満

黒部ダムの下ノ廊下側の出口から黒部別山南峰南面を見やる。何度となく見てきた風景だが、今までと全く違った具体的な造形が見える。予習してきたからな。あれを南峰と認識したのは今日が初めてである。そりゃ今までは足早に通過するだけだったもんね。だけ…

吾妻連峰・松川

不忘閣ヒュッテ跡に駐車し、ちょっと狭くて勾配も急な林道を自転車でダウンヒル。太平神社付近にとめて林道終点まで歩き、踏み跡から松川に入渓すると矢沢出合まですぐだった。 本当にミルキーブルーの水色。ラバー靴だが滑りも個人的には気にならない程度。…

日光・アカナ沢~女峰山

ゲートから「ハイキングコース」と書かれたほうへ歩き出し、短い林道歩きからすぐ入渓した。広大な沢幅いっぱいに堆積した土砂のなかに、ほとんど埋没しているかつての砂防堰堤があった。 以前中央アルプスのとある”急勾配崩壊渓流”を歩いたことがあるが、現…

前ヶ岳南壁V字第二スラブ

11月2日(土) 会越・御神楽岳 霧来沢右俣・前ヶ岳南壁V字第二スラブ 単独 1か月ぶりのお山。どこか遠くのお山に行きたい。自作「行きたいところリスト」を見たら、行きたい度上位にランクしている御神楽が浮かんできた。なかでも前ヶ岳南壁V字第二スラブは流…

下又白谷 上部一尾根第一支稜「ウェストンリッジ」

9/15、ひょうたん池より三本槍。左はウェストンピーク、真ん中は前穂三本槍、右は第一尾根正面壁の頭 序 「下又白谷上部一尾根第一支稜」つまり仮称「ウェストンリッジ」と聞いても知らない人が多いと思います。これに関して興味を覚えましたら、まずはかつ…

有明山・深沢右俣

10/20~21 有明山・中房川 深沢右俣 with Yさん 観音峠はもう初冬の朝だった。温泉が湧いているらしく、そこだけ温かくなっているマンホールの上でいそいそと身支度し、御堂の脇から小尾根を下って入渓した。いきなり花崗岩の深い谷だ。F3を右岸に付けられた…

北穂高 滝谷出合~第四尾根

9/28 北アルプス北穂高岳 新穂高~滝谷出合~第四尾根~涸沢岳山頂~白出沢下山~新穂高 with Wさん 【タイムスケジュール】 2:30 起床。Wさんのエクストレイルは荷室が完全なフルフラットで、寝心地が最高であった。2時間半ほどであったが、ぐっすり寝れた…

御神楽沢奥壁・本谷ルンゼ

9/23 会越 広谷川 御神楽沢奥壁・本谷ルンゼ with Wさん 三連休で当初1泊2日で計画したが、晴れが連休中日の1日だけで前後は雨の予報であったため、幕営装備を省いて軽量化し、日帰りで行った。奥壁基部で夜を明かし朝日を仰いで奥壁を登る、というドラマチ…

吾妻連峰 塩ノ川

6/23 吾妻連峰・塩ノ川 単独 吾妻連峰の沢3選として、中津川、松川、そしてこの塩ノ川を聞く。中津川は(中退の結果だったが)数年前行ったことがあった。この週末は晴れそうなのが東北だったので、時期的に早い気もしたが、日帰りで行けそうな塩ノ川に行って…

鈴鹿・犬上川 滝洞谷

11/15 滝洞谷単独 前週にもこの滝洞谷にきていて、そのときはゴルジュが深い水たまりだらけになっているのを確認して、入り口で撤退した。4人だったので時間もかかりそうだったし、涸れ谷と聞いてきたため、水に浸かって遡行する気にはならなかった。しかし…

奥美濃・川浦谷ゴルジュ

8/20は、前日いた鈴鹿を夕方出発し、長良川SAで車中泊して、翌朝、奥美濃の板取川キャンプ場に移動した。キャンプ場に駐車代を払って、川浦谷ゴルジュに入渓した。(これも敗退したが。) このゴルジュは、沢登りを始めたくらいの時からずっと憧れてきたとこ…

今早出沢・ガンガラシバナ

8月5日~7日 今早出沢・ガンガラシバナ with Oさん 2泊で谷川の予定だったが天候が悪く転戦で来た。代替案でいくつか候補があったなか、ガンガラシバナを選んだ。この時期にこの山域は条件が悪いのだが、その分ありのままの自然が楽しめるだろうと、ポジティ…

オツルミズ沢

10/23 越後 水無川・オツルミズ沢 with S田さん 駐車場(6:30)~カグラ滝(7:00)~滝上(7:05)~サナギ滝(9:00~9:10)~滝上(10:00)~80m大滝(11:00~11:10)~滝上(11:35)~駒ヶ岳山頂(17:30)~駐車場(22:00) この山行に先だって、僕は9月中旬に単独でカグラ滝下…

一ノ倉沢本谷~4ルンゼ

9/17 谷川・一ノ倉沢本谷~4ルンゼ with Oさん “幻の大滝”を拝みに、いや登りにいってきた。今年は雪渓のかけらもなく大滝は露出しており、狙っているクライマーも多いのではないだろうか。ルートは左壁の右上バンドをとったが、汚れ具合からおそらく今シー…