と、左岸にボルダーが点在。チョーク跡も。登って楽しそうなボルダーはそう多くはないが、こりゃドンドコ沢左岸エリア、か?
朽ちた堰堤やギリギリ現役の堰堤をまだいくつか越えると、
最初の8mほどの滝。右岸から巻く。
滝上にすぐ4mほどの小滝。
奥は直角に折れ、
出口に8m滝。右壁が登れそうだが少しバランスが悪く滑りもあったので、戻って左岸を巻いた。
崩壊した花崗岩の沢。1490mで下の写真のごとく右岸から崩壊地の押し出しが迫る。左岸側には出合に大滝。・・なんと!崩壊好きなのか間違えて崩壊地に吸い込まれ100mくらい登ってしまって、さすがに気が付いて二俣に戻った・・・。我ながらありえないね。
こちらが本流の30~40mほどの2段滝。最初はこれが南精進ヶ滝なのかと思ったが、どうやら違うらしい。下段は容易に左岸直登。
上段は右岸の藪から巻いた。・・が、落ち口にはスラブに阻まれたどり着けそうにない。巻き続けることに。
なかなか沢に戻るポイントを見出せず、ふと見れば水流は再び大滝の様相を呈していた。出合滝はすでに越えたはずなので、これがおそらく南精進ヶ滝か。懸垂で沢に戻る選択はせずに、引き続き獣道を拾い続けることに。残念ながら南精進ヶ滝を下から眺めることはできなかった。
ようやく沢に戻れたところは南精進ヶ滝の落ち口。上から見れたのでよしとしましょう。
滝上は穏やかに。 
沢はスケール感のある渓谷そのものである。10m級の小滝を3つほど架けていた。どれも通過に困難はない。奥を見やると鳳凰滝らしい大滝が遠望できる。


左岸はハングした圧倒的な側壁に囲まれる。あそこまで行っても全部戻って大高巻きかなぁと思って一瞬躊躇したが、とにかく鳳凰滝までは行ってみましょう。
手前の右岸にはこちらも大滝で出合う支流。
鳳凰滝。40mくらいか。釜付近は滝の飛沫が激しく舞っている。
釜を振り返ると泥ルンゼに鹿の足跡。さすが鹿。足跡を拾いましょう。しかし泥ルンゼは20mほど登るとリスクが許容範囲を超える危うさになり、足元ごと今にも崩落しそうだ。致命的になりうる選択の誤りに気づく。泥を蹴り込み、浮石を落としまくって、25Lザックも下に投げ捨て、空身となり全力のバランスでクライムダウン。
クライムダウン途中で、鹿道がブッシュに登路を変えていることに気づく。泥ルンゼを登るのに夢中になって観察力を欠いていたようだ。致命的なアホだ。釜を見下ろして1枚。小さなオレンジは投げ下ろしたザック。
巻き途中で鳳凰滝を見やる。正面からこの滝を見た人はわずかなはず。
獣道を駆使して沢に戻ると、傾斜の強い地盤と転石で連瀑状になり、

白糸滝。20mくらいか。滝の右側はスパッとした垂壁になっていた。
振り返ると、どうやら滝見らしい登山道が。地形的には右岸巻きを選びたくなるが、さっき相当疲れることをしたので、もう登山道から巻きましょう。
実にラクに巻けて、滝上に戻った。花崗岩ナメの沢床にゆるい小滝が続く。
滝上からすぐのこの斜瀑を右岸から高巻くと、
のんび~りとした場所。1泊だったらここで泊まるでしょう。
また沢はナメとなり少し歩くと、

五色滝。落差はこれまでの滝でもっとも大きく60mはあるだろう。滝見道が沢まで下りてきているので、登山道巻きはひときわラク。
登山道もシラビソが美しく、もうこのまま登山道で終わりでいいんじゃないか?と一瞬もう一人の自分が囁いてくる・・。せっかくの沢登りで登山道を使う時これが怖い。連続性を失うってことだ。しかし、まだ沢に戻って源頭まで歩きたい気持ちが今日は強固なようだ。沢に戻るのはここから、ってポイントから粛々と獣道でトラバースし容易に沢に戻った。最後の踏み跡は人の足跡な感じもしたので、昔道なのかもしれない。


滝上は一層おだやかでちょっぴり牧歌的になる。


地形図の登山道が近づいてくる。最後に岩々しい様相になり、
ごく短いゴルジュの突きあたりに、
地形図に滝記号が付された最後の滝。15mくらいか。右壁を直登。この滝は節理が豊富なので安心して登れる。
滝上は流れも小さくなり左岸から登山道が合流する。一瞬水は伏流して驚くが登山道が沢を離れるあたりでまた復活する。
とりあえず登山道は無視して沢を歩くが、
鳳凰小屋の二俣で本流には小屋の取水ホースが伸びていたため、残念ながらここで沢歩きは終わりにした。
用のない小屋を素通りし登山道を歩く。
やがて砂漠になる。
途中で砂漠をバーッとトラバースして本流筋と思しき崩壊地を見物した。それで何だかとっても満足して、また登山道を歩く。もっとも、もうヘロヘロである。頑張りましょう。
やっとこさオベリスクが迫ってくる。が、ヘロヘロで足が重い。あと少し。

オベリスク直下まで来たが、そうだ最後のクラック・・・、うーむ。沢靴フリーソロではちょっと・・。昔登ったときは、そっか残置ロープがあったんだっけ。まあ無理をしても仕方ないので、オベリスク直下を今日のピークにしましょう。
ずっと向こうに観音岳が。三山縦走して下山する予定だったがもう15時・・。思ったより時間がかかったためこのままドンドコ沢登山道を下山するつもりだが、最後にドンドコ沢でやり残した目的が出来ていたのだった。
ではオベリスクにお別れをして、最後の目的に。
どんどん下山してお目当ての場所に。なんのことはない、目的はこれです。
南精進ヶ滝。一応これを見なきゃと思って。これで心のこりなく下山できたのだった。
鳳凰三山は子供の時に登ったお山で一番思い出に残っているのです。数年前から沢登りでと想像して案を温めていましたが、やっと行けました。登山道を歩いた時と目に映る光景がぜんぜん違くて、当たり前ながら驚きました。ドンドコ沢は想像した以上に大きな、そして獣道に満ちている渓谷でした。
単独だったので割り切った軽量スタイルでしたが、50mロープに.75~1あたりのカム数個を含めてギアを準備して、一泊でじっくり来て、オベリスクもきちんと登れたらよかったですね。さらに三山縦走して下山できたら最高ですね。いつか再訪したいと思います。
青木鉱泉駐車場(6:00)~地形図の堰堤上から入渓(6:40)~南精進ヶ滝(7:50)~鳳凰滝(10:05)~白糸滝(11:25)~五色滝(12:10)~最後の滝(13:15)~鳳凰小屋(14:10)~地蔵岳オベリスク下(15:20)~鳳凰小屋(16:00)~南精進ヶ滝滝見(17:30)~起点戻り(18:40)
装備:ダブルロープ30m・ハーケンハンマー(不使用)
ルート☟
