隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

似虎谷~北又谷源流~犬ヶ岳~日本海

 

8/9(曇りのち晴れ、夜半から雨) 林道ゲート(6:20)~取水口入渓(7:50)~二俣(12:30)~C1270mコル(16:50)~北又谷C1180m付近(17:35)~適地(17:55)

8/10(終日雨ときどき曇り) BP(10:45)~稜線登山道(13:45)~犬ヶ岳(14:00)~栂海山荘(14:10)

8/11(終日雨) BP(8:20)~白鳥岳(11:30)~坂田峠(13:05)~親不知登山口(15:25)~日本海(15:40)

装備:ハーフロープ30m、補助ロープ20m、ハーケン・ハンマー

参考:「関東周辺の沢」「北アルプスの沢」

ルート☟

 

雨予報のなか適当にルート変更したりして、静かなお山で好きにのんびりしてきた、という話。

初日だけ天気がもつので似虎谷をバーッと登る。そのあと、当初の計画では北又谷を下降して北又乗越か越路峠へと抜ける予定だったが、2~3日目は雨確定なのと雪渓が予想よりかなり多めだったのでルートを変え、北又谷を犬ヶ岳に抜けて、栂海新道を日本海まではるばる下山した。

初日の北又谷源流でキャンプできたのと、雨とはいえ計画変更したため、時間にとっっっても大きな余裕ができ、お山で、栂海山荘で、のんびり過ごすことができて感無量・・。

 

 

・8/9(1日目)

境川第一発電所のちょっと奥、林道ゲートまでタクシーで送ってもらって出発。f:id:Kakuremino:20250817205632j:image

アブが軽くウザい林道歩き1時間半で取水口。ここから入渓した。
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前々日に付近は100mmを超える降水があったため、ある程度増水が残っているようだ。序盤は川原歩きと堰堤越えを淡々と繰り返す。
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堰堤で仕切られているものの、眼を凝らすと多くはないが魚影も見られた。f:id:Kakuremino:20250817205615j:image

北谷を過ぎたあたりで堰堤ゾーンは終わり、代わりに倒木で荒れまくった川原歩きとなる。想像していたよりも相当荒れている。
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倒木で分かりにくいが、これが最初に現れる3m滝だろう。f:id:Kakuremino:20250817205604j:image

12mは左岸の傍流から簡単に巻ける。
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するとC715m付近で早くも雪渓のまとまった残骸が出てきてちょっと萎える。ここでこれじゃ今後何回も雪渓処理に悩むことになるのだろう。
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2~3小滝を越えた後、8mのこの滝は少し戻って右岸巻き。
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右岸巻き始め。懸垂下降10mで沢に戻る。
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その後は二俣まで簡単に登れる小滝が続く。
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左から、右から・・。メンバーそれぞれ小滝登りを楽しむの図。
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全体に明るいゴルジュ。
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うだるような暑さだが程よく濡れて涼みながら進めて、とても快適。
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と思っていたら、真ん中がいまにも割れそうなブリッジ。安定していそうな左岸側に乗って越える。
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C900mの二俣まであと僅かなところ、岩々しいこの小滝を過ぎると、
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また雪渓の残骸。そして、この奥に、
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大きく二つ穴を空けたブリッジに覆われた二俣。進む右俣は30mくらいで抜けているが、左俣の奥は完全なる闇に閉ざされている。上からは巻けないので、とりあえず順番にササッと潜ることにした。
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私がちょっくらすいませんね~と恐る恐る通過した後、次にSさんがスタコラッと合流するところ。
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短いゴーロを挟んですぐにC940mあたりでまた二俣。これも右へ進む。小滝は巻いたが草付きがやや悪く、細木を見つけて斜め懸垂で沢床に復帰した。無駄に時間がかかり、
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若干急ぎめの進行となる。沢はグッと細る。ここからは延々と小滝が連続する。f:id:Kakuremino:20250817205635j:image


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小滝につぐ小滝だが基本はそれほど難しくはない。ただし、逆に言えば地形的に巻くのは難しい。f:id:Kakuremino:20250817205331j:image

どんどん登る。
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6mCS。似虎谷全体を通じて登攀面の核心はこれか。CSの抜けが立っていてⅣ+程度だがややパワーが要る。この山行で登攀隊長になったIくんが登ってくれた。f:id:Kakuremino:20250817205553j:image

その後も5mくらいの小滝を2~3登ったり巻いたりすると、いよいよ完全なる詰め。
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沢形はどこまでもかなりはっきりしているし、それが消えてからも、往年の踏み跡とも獣道ともとれるラインを拾える。
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16:50。やっとC1270mコルに辿りついた。短く休憩して北又谷へ下降へ。
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なんと5分も下るとあっという間に北又谷源流に出る。
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そのまま北又谷を、適地がある予定のポイントを目指して下る。
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源流然とした渓相を想像したが、クライムダウンが連続する。もっと下流が魚止めになっているようで、ここには魚影がまったくない。
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そしてブリッジが現れ、これを潜ると、その奥には・・、
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C1180mあたり、完全に割れた雪渓に阻まれる。これはやはり潜っても上がっても駄目なやつだ。奥にもつながっているのを確認し、北又谷下降はここで諦めることになった。明日雨だし。北又谷のここまでの途中で適地はなかったように思ったので、最悪このまま栂海山荘まで上がりましょう。いや長い1日になるね。
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下りた道のりを登り返す。
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と、C1210mあたりで、Iくんがここは泊まれそうでは・・とSさんと私が気が付かなかった適地を見出してくれた。C1270mから合流してすぐ下流側、右岸にちょっとした台地。キャンプできる!すばらしい!
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17:50ごろ行動終了。夜から雨なので、水がはけるようにうまく傾斜を付けてタープを張って、開墾作業で平らにした寝床にもなるべく水が来ないように溝を作ったりして、あとは濡れ切った木で焚き付けを頑張って盛大な焚き火に育てて・・。釣りはできなかったが、Sさんから絶品中華丼も出てきて、豊かな夜になった!
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・8/10(2日目)

夜半からずっと雨音がタープを叩き、溜まった水がときおりジャーッと落ちていた。2日目は栂海山荘までと短いので朝もゆっくりし、雨が上がった隙に撤収して10:45と遅い出発になった。
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右岸にC1270コルからの支流が出合うこのポイントは、気にしていなければ目に留まらないだろう。
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沢が東に向きを変えてからも意外なほど小滝が続く。
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C1300mあたりで雨脚が強まる。左俣へ。
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左俣は3つほど小滝が続き、3つめが小悪くてロープを出した。ぬるぬるだったが、足元の草を剥がすとガバ足が出てきて簡単になった。
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その後も小悪い小滝で2回ほどロープを出した。雨もあって源流にもかかわらず水量が多くて驚いていたが、さすがに流れが小さくなって。
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ふと振り返ると、モノトーンの濃霧をバックにしたC1270mコルが見えた。
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風雨のなか最後の藪漕ぎ。ガンバ!f:id:Kakuremino:20250817205527j:image

あそこだ、犬ヶ岳のピークまであとわずか・・。
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犬ヶ岳。1593m。一瞬、今後再び犬ヶ岳を踏むことなどあるだろうか・・?などと思ってしまうような、まさに一期一会の山頂になった。f:id:Kakuremino:20250817205312j:image

あー、濃霧のなかに栂海山荘が見える。急げ急げ!早く山荘に入って、のんびりダラダラタイムを楽しもうじゃないか!この夜は線状降水帯かと思うような猛烈な降り方だった。分かりきったことだが、北又谷の下流に進まないでよかった。
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・8/11(3日目)

最終日は面倒くさくなってショートカットしよう、とならない限り、日本海まで栂海新道を全部トレースするつもりだ。雨が弱まった8:20ごろ出発。
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日本海」なんて道しるべは登山道で他に見ることがあるだろうか。
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遠目だが似虎谷左俣の源流はすさまじく増水していた。
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雨の楽しいハイキング・・。下駒ヶ岳、白鳥山と通り過ぎ、シキワリの水場で水を汲んで・・、
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坂田峠。雨でびしょびしょで楽しい。このまま日本海まで歩こう。
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ずっと雨、濃霧で視界などなかったが、最後の山頂である入道山を過ぎ登山道が下り始めたら、ようやく、ついに、日本海が目に飛び込んできた!
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親不知の登山口まで降りた。そして、
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そのまま、栂海新道起点たる日本海まで下る。
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15:40。みなで茫洋と海を見つめる。登山でこんなところに下山できるなんて、何十年も登ってきたけど、今日が初めてだ。栂海新道。なんて登山道だろう・・。20分くらいだったか、どうでもよいことをくっちゃべりながら海岸で過ごして・・、また雨が強くなってきたので、名残惜しい限りだったが、栂海新道起点・日本海を後にして、この登山を終わりにした。
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