隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

丹沢 玄倉川源流 熊木沢・箒杉沢・鍋割沢 未満

沢登りの対象として玄倉川の支流には多くの登攀的な好ルートがあり、本流も中流域では綺麗な渓谷の遡上が楽しめる。しかしながら、ユーシンロッジ付近の二俣で檜洞沢に水流を分けた後、本流は遡行の対象から跡形もなく消え去ってしまう・・。まぁそりゃそうだろって話で、そこはだだっ広い沢床を埋め尽くすガレ、どこまでも治山堰堤と廃道がつづく光景・・、だから当たり前なのだが。

さりとて、以前から玄倉川本流の源流ってどんなとこだろう、きっと誰もいない静かな所だろう、いつかうろついてみたいなぁ、と思っていたのである。蛭ヶ岳を頂く熊木沢、丹沢山を頂く箒杉沢、あとおまけで鍋割山と塔ノ岳の鍋割沢。この3本のうち鍋割沢は「丹沢の谷200ルート」に載っているが、ネットでも全然出てこないマイナールート。熊木沢、箒杉沢はバリエーション的な尾根登山のアプローチとして時たま歩かれているようだ。いいですね、どうせなら3本まとめてうろつくことにしよう。

ざっと計画はこんな感じ。寄大橋を起点にして雨山峠を越え玄倉林道に。玄倉林道を歩き熊木沢・箒杉沢二俣。まず熊木沢を行けるところまで行き、稜線登山道。そこから都合のよいところを見つけ箒杉沢を下り、鍋割沢へ。鍋割沢を登ったら登山道で寄大橋に戻る。参考情報があまりないので詳細は現場判断。25kmを超える長い距離なので夜明け前に出発しよう。昨年は手の手術があったり、足も足底筋膜炎になってしまったりと、十分に山を歩けていなかったので、歩きのリハビリにもちょうどよいだろう。

・・・と思っていたら、前日に結構雪が降ったらしい。雪交じりのコンディションだと距離的に全部やり切るのは厳しい可能性が高いが、いくつかのエスケープを予め設定して柔軟に対応することにしましょう。とりあえずまだ見ぬ玄倉川の真の源流と出会いに行ってきましょう。

 

<目次>

 

 

 

1.寄大橋~雨山峠~玄倉林道

まだ暗い6時前くらいに歩き出した。車の温度計はマイナス6度くらいを指していて、しんしんと冷えた早朝の空気が心地よい。
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寄コシバ沢を過ぎたあたり。雨山峠の稜線に朝日が眩しい。
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寄沢本流の渡渉点にあるタルチョ。ここを通るのはたしか3回目だが、いつ見てもこのタルチョは個人的には嫌いじゃない笑。
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雨山峠直下のU字溝を形成する沢筋も雪に埋まっていた。一人だけ先行者の足跡を見つけた。
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1時間半ほどで雨山峠に着いた。先行者の足跡は鍋割山のほうへ向かっている。ここから雨山橋までは足跡はない。まだ誰も踏んでいない、うっすら積もった雪道を歩けるようだ。
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沢沿いの登山道。このルートは初めて歩いた。とてもよい。北面のため陽も当たらず雪も締まっていた。
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玄倉林道に降り立った。足跡がまた一つ。先行者がいるようだ。
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林道を歩いてすぐに大規模な崩落に出くわした。
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あとは静かに歩くのみ。左岸側は陽が届かないので少々寒く、休憩したら体が冷えるので、ただただ静かに粛々と歩き続けるのみ。
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2.玄倉林道~熊木沢入渓~C990m二俣

ユーシンロッジとの分岐を過ぎると眼下の渓相が一変した。バカでかい2連大堰堤の上で広い沢床がガレに埋まっていた。ここまでもガレというか、ゴーロの沢筋だったが、木が茂った中洲があったり、巨岩があったり、渓相に多少の変化があったが、ここ以降は完全に埋まるようだ。f:id:Kakuremino:20230130144217j:image

 

堰堤上の光景。左岸は鉄砲沢の出合にあたる。
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いつか崩落しそうな素掘りのトンネルを抜けると熊木ダムの施設があった。
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林道から熊木沢・箒杉沢二俣。少し進むと右俣の箒杉沢へ下りる坂道が付けられていた。箒杉沢を横切る形で左俣の熊木沢へ向かえばよさそうだ。
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まず箒杉沢の光景。
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箒杉沢を横切る橋。
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熊木沢出合の光景。広い。最初の堰堤へ向かう。
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堰堤が近くなる。なんとなく沢のど真ん中へと歩いていたが、左岸に廃れた林道が通っているのでそれを拾い直した。
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堰堤をちょうど越える所で「警笛鳴らせ」の看板。山奥にこれだけ大きなものを造設していたのだから、きっと往時は工事車両が頻繁に行き交っていたのだろう。今では考えられない、高度経済成長が可能にした大規模な治山事業。その前の時代のここはどんな所だったのか。殺風景な暴れ沢だったのか。父に聞いたら教えてくれるかなぁ。
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堰堤を越え沢に戻った。ずっと向こうに蛭ヶ岳が見える。そして日向がすぐそこに見える。あそこまで行ったら休憩しよう。
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どうせだからあの堰堤を越えた所で休憩しよう。堰堤ど真ん中の足元に石を軽く積んで乗り上がった。あー、やっと休憩だ。もう出発してから3時間だよ。
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下流を振り返った。100mを越える沢幅を埋め尽くした広大なガレ。巨大な堰堤。廃林道。打ち捨てられた人工物。そして風もなく水流もない空間は静寂に包まれている。いままで見知った「丹沢」というワードからは、にわかに想像できない光景がここにあった。ここに居る自分がなにか不思議な気がした。とりあえずまだ先が長いので補給した。
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こちらが上流方面。今日は行く予定ではないが、真っすぐ眼の前に蛭ヶ岳が見える。
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水流発見・・・笑!
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ガレ歩きに飽きたところで、右岸を少し上がった所に断続している廃林道に乗り換えた。
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キレイに林道が残っているポイントから蛭ヶ岳
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林道で堰堤を越えると、
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C990mの二俣直下にある堰堤についた。
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3.熊木沢C990m二俣~不動ノ峰

左俣は南向きで陽当たりがよい。一瞬こちらに進みたくなるところだが、地形図に明記されている通りならば、左俣は出合から10連堰堤の上部で崩壊地となり、蛭ヶ岳から300mほど標高を下げた西方の鞍部に消えていく支流だ。きっと怖い所でしょう。ところで、こちらは蛭ヶ岳南尾根というバリエーション登山の取り付きにもなっているらしい。
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右俣本流も堰堤が連続している。地形図には2つ堰堤記号が示されているが、実際は4つあった。こちらを行ける所まで行って、右岸か左岸の尾根に逃げる予定である。地形図を見る限り、C1250mくらいから勾配のきつい顕著なルンゼになっていくと思われるので、そこらへんまでで終わりにするのが妥当だろう。その時、右岸左岸どちらに逃げるか。右岸は蛭ヶ岳山頂へ伸びており、左岸は棚沢ノ頭の南尾根(盆沢相尾根と言うようだ)へ伸びている。基本は左岸を選ぶ方針である。右岸を選ばない理由は2つ。一つ目は、今日は箒杉沢などまだ行程が長いため蛭ヶ岳山頂まで登らねばならない時間を節約したいこと、二つ目は、中途半端な積雪のため急尾根の登高、特に沢から尾根に乗り換える時の登高で多少のリスクを感じること、である。左岸は傾斜もゆるく相対的に低リスクだと考えられた。f:id:Kakuremino:20230130144307j:image

 

つまらない蘊蓄はこれくらいにして、ひと休みして右俣を歩き出した。堰堤を2つ越えるとまた日陰の寒々しい沢になってしまったよ。写真は3つ目の堰堤。右から越えた。
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向こうに4つ目の堰堤が見えるが・・。足元は半端な雪と不安定なガレでかなり歩きにくい。今日の装備は、ネオプレンソックス+沢靴+チェーンスパイク、それに軍手、そこらへんで拾った枝の杖。こりゃあ時間がかかりすぎる、と思った。それに、正直、飽きてきた・・。これ以降に渓相の変化があるとは考えられず、熊木沢は適当な所で切り上げ、箒杉沢に向かったほうがよい気がしてきた。チラ見くらいはできたからもういいだろ。とりあえずあの堰堤を越える所までは行って判断しよう。
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4つ目の堰堤は右岸は土壁系で不可。左岸も急斜で見た目以上に悪く感じ、小さく巻くのは断念して、木をつないで大きく高巻きすることにした。
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巻き途中、堰堤の上部もしっかりガレに埋まっているのを確認した。これ以上沢を進むと左岸に逃げるのに時間がかかると思われたので、このままこの斜面を登ることにして、熊木沢を離れることに決めた。
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斜面には往時のワイヤーが残されていた。しばらく急斜面を木を頼りに注意深く登ったが、軍手が雪で濡れて冷たかった。・・テムレス持ってくるのを忘れたんだ。あと枝の杖もなかったらヤバかった。急斜面はやがて枝尾根に収束し登りやすくなっていった。
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盆沢相尾根から西に派生する明瞭な枝尾根に出ると陽が差しさらに登りやすくなった。助かるわ。
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展望ポイントで蛭ヶ岳を見やる。真ん中の山頂へと向かうガレの線が熊木沢本流だ。今日のコンディションと自分の装備では早めにエスケープするのが妥当だった、と改めて思ったなぁ。
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盆沢相尾根が近くなり、この写真を撮った10分後くらいにやっとこさ合流した。
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あとは快適な尾根を登り、主稜線の整備された登山道に出て、
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今日の山頂となる、不動ノ峰に辿りついた。時間は12時。6時間もかかった~。
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4.不動ノ峰~箒杉沢~鍋割沢~尊仏ノ土平

計画ではC1550mの箒杉沢ノ頭から箒杉沢へと下降しようと考えていたが、積雪で下降にはそれなりのリスクがあり、また現状では進行スピードも遅いため、ショートカットすることに変更した。ここから不動ノ峰南尾根を末端まで下り、箒杉沢は下流だけチラ見する、という変更。時間もないし仕方ないね。それに、縦走登山道は冷たい風がビュービュー吹いているし、登山者の熊鈴がチンチンうるさいので、早く離れたかったのだ。下の写真は不動ノ峰から蛭ヶ岳を最後に見た、の図。

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笹の尾根を防護柵沿いにどんどん下る。大きな尾根なので踏み跡もしっかりあり。
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どんどん下る。
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C1253mを過ぎ、ふと思った。尾根の末端まで行ったら箒杉沢は本当にチラ見だけになってしまうので、このあたりで枝尾根を拾ってすこし上流のほうに降りたらどうか・・。上流側に降りていく枝尾根筋をいっとき観察しに行ったが・・、主尾根は下の写真のとおり密な杉植林となりイージーだったので、結局安パイな選択をした。

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約1時間で箒杉沢に降り立ち、少し休憩。ここ、静かでとてもよい所だった。ただゆっくりとした時間を過ごすだけのために、また来てもよいなと思ったほどに。時間は13時。なんと! 粉雪が舞ってきた。いいですね。止まっていると寒いから動こう!
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箒杉沢上流を見やった。熊木沢と同様、堰堤が連続している。堰堤を巻きながら沢を詰め上げ、箒杉沢ノ頭や丹沢山まで登っていくルートもあるようだ。
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熊木沢と違って水流のある広河原を歩く。左岸に廃道があって拾った。
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沢歩きっていうか、スノートレッキングって感じ? 足元は沢靴だけど笑。
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20分くらいで鍋割沢との二俣についてしまった。下流のどでかい堰堤を見やった。これで箒杉沢は早くも終わりだ・・。粉雪が強くなってきた。
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林道に上がって箒杉沢にお別れを告げた。右の塔ノ岳方面が鍋割沢だ。
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鍋割沢、下流の堰堤群。「丹沢の谷200ルート」で紹介されるような沢ルートになるとはにわかには信じられない光景だ。そして、鍋割沢遡行は割愛だ。短いながらもちゃんとしたゴルジュの沢登りのようなので、このコンディションのなか軍手と枝の杖で取り付くのはさすがにナシだろ。
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尊仏ノ土平。鍋割沢とはたった10分でお別れだ。ここから鍋割山北尾根を鍋割峠まで登り、寄コシバ沢を下って、あとは往路を経て寄大橋まで戻るつもりである。
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5.尊仏ノ土平~鍋割峠~寄大橋

尊仏ノ土平から少し登ると踏み跡が明瞭になった。旧鍋割峠までお疲れ気味の体に鞭打って40~50分。
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旧鍋割峠から鍋割峠までトラバース道があるらしく、ショートカットするためにそれを拾うつもりでいたが、そんなに簡単なものではないようだ。普通に歩ける道があるんだと思っていたわ。
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崩壊したルンゼを綱みたいなロープを使って、なんと下から巻いて、あとは雪で踏み跡も見えないので自分でルーファイして下り目にトラバース。峠直下の小尾根でよく踏まれていそうな感じになり、鍋割峠まで辿りついた。このトラバースはルンゼの横断が複数回あり、あまりおすすめなラインではないですね。
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鍋割峠についた。もう登りは終わりだ。あとは下るのみ。
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寄コシバ沢のルートを下る。途中でまたタルチョがあった。寄と言えばタルチョ?!って感じなのかな。いやそれにしてもタルチョ、いつ見ても嫌いじゃない笑。昔、友達がネパール土産にタルチョくれたんだけど、嬉しかったなぁ。
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などと楽しく下っていたが、登山道は寄コシバ沢のガレ下降になり様相が一変した。両岸植林のガレッガレの下降。ぜんぜん楽しくない。20分かそこらだったけど、なんか疲れた。C1108mから南尾根を下ったほうがよかったんじゃないかと思った。
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確かに! コシバ沢方面危険、危ですね。もう来まい。
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あとは寄沢に出て、のんびり歩いて帰った。朝は日の出前でよく見えなかった寄沢の光景・・、そう、ここもガレの堆積の沢。ったく、今回は沢は全部ガレだったなぁ。
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寄大橋まであと少し・・。太陽があの山肌に消えていく。植林の隙間から最後に見えたオレンジの輝きは、肉眼だったらそれなりにドラマチックだったけど、無加工の写真データではなんの興趣深さもない・・。ともあれ日没前に車に戻ってこれてよかった。楽しいお散歩だった。
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6.所感とデータ

玄倉川の3つの源流を巡る、という計画はどれも未満の小さな旅になってしまったけれど、むしろ気分は晴れやかでニコニコである。普段見知った玄倉川とはまったく異なる姿を一応全部チラ見することはできたし、自分なりに妥当な山行コントロールをして、久々に沢山歩いて帰ってこれた。なかなかよかったと言えるでしょう。

あれだけの大規模な治山事業が行われていたことに改めて驚くとともに、それが半世紀経過し朽ち果てていったのだ。私からしてみれば、異世界の廃墟に迷い込んだような気分を味わった。それは、そんな気分を味わうんじゃないかと思っていたとおりだったのだが。そして、かつて人々が行き交い多大な活動をしたのに、幾ばくかの残渣を残して居なくなった所、そんな所によくある、失ったものが何だったか分からずに時間だけが経っていくような、喪失感にも似た寂莫とした空気感。それも私には心地よかった。ガレに降り積もった雪と冷え切った空がさらに荒涼とした雰囲気を強めてもいた。こんな時はやはり一人がよい。

そんな感じ。玄倉川源流の治山自体が終わったわけではないので、まぁ半分くらいは妄想なんだけど。

あと、カメラの設定がうまくできなくて、雪の写真が青かぶりしまくりで色調がバラバラになっちゃってがっかり。画像修正は面倒なので、もう少し雪の撮影用にRX100M3のカスタム設定をしとけばよかった。

 

寄大橋(6:00)~雨山峠(7:40)~雨山橋(8:05)~熊木沢出合(8:50)~C990m二俣(10:00)~4つ目の堰堤脱渓点(10:35)~不動ノ峰(12:05)~不動ノ峰南尾根取り付き(13:05)~尊仏ノ土平(13:40)~鍋割峠(14:45)~起点戻り(16:10)

装備:チェーンスパイク

ルート☟

 

 

7.おまけ:モンベルのサワークライマー

今回履いていたのはモンベルのモデルチェンジした新サワークライマーです。ご存じの方も多いと思いますが、新サワークライマーは評判が非常に悪いです。私はこの沢靴を履くのは歩きメインの山行だけです。ここぞという山行では他の沢靴(旧サワークライマー)を履いています。

正直のところ新サワークライマーでひどい目に遭い、ハサミでズタズタに切り裂いて捨てようと思ったこともあったのですが、諦めずにどうでもよい山行で履きつぶして付き合ってみたら、少しよくなりました。私が新サワークライマーに施した簡単な改良点①~③と、あわせて何が悪かったのか、を簡単に書き出してみたいと思います。

①コードロックを幅広の紐に変える:コードロックは足首で引っ張るだけなので爪先は締まりません。全力で締めると足首が痛むだけです。もし新サワークライマーを買ったなら、まずコードを切り捨てて紐に変えるべきだと思います。爪先が締まらないため、靴のなかで指に必要以上に遊びができます。それに2重靴っぽい作りで②のように足首の可動域が小さくなっているため、(特に斜めに)スメアで置いた足がいきなり抜けたりします。危ないです。

②ジッパーを全部閉めない:ジッパーを全部閉めると足首の可動域が劇的に小さくなり、面で押し付ける足置き(スメアリング)が困難になります。ジッパー上部に引手を入れて下がらないようにする輪っかがありますが、使わないほうがよいと思います。ジッパーは紐締めの結び目の高さで止めています。最初はジッパーが緩んで引手が下がってきますが、履きつぶすとジッパー部分が劣化して下がらなくなってきます。これである程度の足首の可動域が確保できると考えています。

③どうでもよい山行で履きつぶす:2重靴みたいな作りになり全体に硬くなっているため、柔軟な足置きが難しくなりました。最初はジッパー部分を切り捨てて1重靴(?)にしようかと思ったのですが、靴を壊すのは忍びないので我慢して履きつぶしたところ、かなり軟らかくなりました。履きつぶし、①と②をしていれば、大きな不満はなくなりました。とはいえ、ここぞという山行に履いていく気はしませんが。

結局のところモデルチェンジの内容すべてが改悪、というのが私の結論です。いち沢登り愛好家としてはモンベルを心から頼りにしており、サワークライマーを旧モデルに戻してもらえると嬉しいのですが。

なお、すべて個人的な意見ですのでご了承いただけますと幸いです。

写真:上は今回の山行で履いた新サワークライマーと枝の杖。下は①~③の例。

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おわり