隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

丹沢・水沢川伊勢沢左俣

 

温度計がマイナス3度を指す寒々しい林道ゲートに停めて、ブルブルしながらお仕度。奥に伸びる2本の林道のうち、右側の伊勢沢林道を約1時間だらだらと歩く。途中、音見沢橋、焼小屋沢橋と支流をまたぐ。林道と並走する本流筋を何度か見やったが、沢を流れる水はいきなりごく僅かだった。f:id:Kakuremino:20230121203905j:image

 

林道の末端は地形図に描かれているとおりだ。一休みして入渓した。
f:id:Kakuremino:20230121203908j:image

 

沢筋は陽が届かず寒い。往時は仕事経が行き交っていたようで、比較的しっかりした踏み跡をたどって、まったく足を濡らすことなく歩く。濡らすことなく、とはいっても沢は涸れていて時々水溜まりがあるだけなのだが。
f:id:Kakuremino:20230121203911j:image

 

30~40分ほどのんびり歩くとC816mの二俣について、ふー休憩・・、と思ったら、二俣の直前の二俣だったようだ。なんかこれじゃない気がするなーと思って、少しだけ上流に移動したら、正しい二俣にすぐついた。左俣にキレイなスラブがあるので、見た目ですぐ分かる。それにしてもようやく出てきた日向がありがたい!
f:id:Kakuremino:20230121203914j:image

 

こちらは右俣の様相。なんか写真だとよく分からないけど。
f:id:Kakuremino:20230121203917j:image

 

こちらが本日進む左俣。向こうの影に小さなスラブが覗ける。
f:id:Kakuremino:20230121203920j:image

 

左側が大きめな岩小屋になっていた。スラブ自体は思ったよりも小さくて、真ん中に穿たれた落ち口までのキレイな面は4~5mくらい。その上にもう2mほどつづきがある。登るなら左端がもっとも簡単でしょう。右端もサイドガバがつづくので簡単でしょう。それよりもやっぱど真ん中ですよね~、そりゃそうですよね~、とJunさんとニヤニヤし合って、とりあえずラバー沢靴のまま私が取り付いた。んー、スメアリングって感じ。落ち口直下で左にガバが見えたので、ついついど真ん中から左に逸れて登ってしまった・・。落ち口に座ってJunさんを見下ろしニヤニヤする。さぁどうぞ、と私。
f:id:Kakuremino:20230121203923j:image

 

取り付きはほぼ平らなので3歩目か4歩目で行くか戻るか判断すれば大丈夫、ですね、といたずらに声を掛け合う。4歩目で若干迷って、5歩目ですわっ!ズザザーーーッと滑り落ちるJunさん。壁から剝がされることなく、まったく同じ体勢を保ったまま着地。体幹と足の力を上手に使ったすばらしい滑落だ!と褒めちぎる私。これができない人はやめておいたほうがよい。
f:id:Kakuremino:20230121203926j:image

 

私はわざわざ一回下りて今度はちゃんとど真ん中を登っておいた。倍くらいの長さがあったらもうちょっと楽しいのだが、でもこれでも十分楽しかったな。クライミングシューズを持ってきていたのだが、出さず仕舞・・。評判が最悪のモデルチェンジしたモンベルのサワークライマーでもばっちり登れたのでよしとしましょう。
f:id:Kakuremino:20230121203929j:image

 

滝上から落ち口の水溜まりを見下ろした。左端はⅢ級、右端はⅣ級マイナス、真ん中はボルダリングで6~7級くらいかなー。f:id:Kakuremino:20230121203932j:image

 

スラブから5分も歩けば次の25mハング涸棚。手前が5mくらいハングしていて、その上は20mくらい幅広なスラブになっていた。登るならハングを避けて右側からかなぁ・・、いやぁ、見た目的に厳しそうだし、支点も取れなさそうなので、潔く巻くことに。チキンボーイの我々おっさん二人は、左から木をつないで一番簡単そうなラインを大高巻き。
f:id:Kakuremino:20230121203935j:image

 

最後は木で落ち口まで下っていけそうだったが、せっかく持ってきた40mロープで懸垂下降した。
f:id:Kakuremino:20230121203941j:image

 

25mハング涸棚の落ち口。
f:id:Kakuremino:20230121203938j:image

 

5分歩き、小規模な前傾壁を右手にして進むと、緩そうな斜度の壁が見えてくる。
f:id:Kakuremino:20230121203944j:image

 

小さな涸棚の連続を登っていくと、
f:id:Kakuremino:20230121203947j:image

 

20mトイ状涸棚。Junさんが楽しそうにホイホイ登って行った。待ってくれー。
f:id:Kakuremino:20230121203950j:image

 

意外にクラックが走っていてカムも使えそう。バーッと登ってしまったけれど、せっかくだからロープ出せばよかったなぁ。
f:id:Kakuremino:20230121203954j:image

 

20mトイ状涸棚の落ち口。落ち口の乗越しがややバランシーなので注意。
f:id:Kakuremino:20230121204154j:image

 

その後も小さな涸棚を2~3登っていくと、
f:id:Kakuremino:20230121204033j:image

 

10分くらいで、いままでで一番大きく見える30m幅広涸棚に出た。たしかこれが最後の涸棚だ。左岸の木をつないで登れば簡単そうだが、それじゃもったいないよ? よし、せっかく持ってきたクライミングシューズをやっと履いて、やっとロープ出しましょう! いやぁ、ロープ出したかったので最後に出せてよかった。寒い寒い!と言いながらネオプレンソックスを脱いでクライミングシューズを履き込み、取り付く。
f:id:Kakuremino:20230121204036j:image

 

右上バンドから壁の真ん中やや右目を登った。意外に節理が豊富でカムでちゃんと支点がとれ、安心して登れる。まぁクライミングシューズも履いてるしな。ロープスケールで35mくらい。Ⅲ級か、Ⅳ級マイナスか、って感じだったけど、グレード的なことよりも、とにかく岩が冷たくて、3手出して、手を温めて・・、の連続だった。そんな真冬の里山ライミング、楽しかったなー。容易とはいえ、久々にロープ出して登れて満足。Junさんも、手が冷たい!と手をこすりながら楽しそうに登ってきた。

f:id:Kakuremino:20230121204040j:image

 

30m幅広涸棚の落ち口。落ち口に水溜まりあり。
f:id:Kakuremino:20230121204043j:image

 

その滝上からは沢床が冷え冷えしていて一段と寒くなった。落ち葉がクラストして不思議な模様を形成していた。
f:id:Kakuremino:20230121204046j:image

 

涸棚の連続が嘘のように里山的な源頭となった。とりあえず歩く。
f:id:Kakuremino:20230121204049j:image

 

このまま黍殻山まで登っていくつもりだったが、C1060mあたりで早々に断念。一本とって右岸の枝尾根を登って下山の途につくことにした。霜が下りまくっていて、斜面が凍結していて少々登りにくかった。チェーンスパイクもってくればよかった。ところで黍殻山って、きびがらやまと読むのを初めて知った。ていうか、山行中はナンチャラから山って言ってて、Junさんに読み方教えてもらった笑。
f:id:Kakuremino:20230121204052j:image

 

あとは棚上の丸から東へ下りていく尾根歩きを楽しみ、コルからブル道をたどって奥野林道へ下りた。30~40分林道を歩き起点に戻った。
f:id:Kakuremino:20230121204108j:image

 

 

水沢林道ゲート(8:15)~林道末端(9:20)~C816m二俣(10:00-10:20)~6mスラブ(10:25)~25mハング涸棚(10:45)~20mトイ状涸棚(11:20)~30m幅広涸棚(11:40)~C1060m付近で遡行終了(12:40)~C1155m付近登山道(13:05)~奥野林道(14:35)~起点戻り(15:15)

装備:ダブルロープ40m*1、ハーケン・ハンマー、カム4個、クライミングシューズ

ルート☟