ヒイチ沢は8年ほど前に行ったことがあり、丹沢らしからぬ圧倒的な側壁をもつゴルジュにいたく感動して、以来丹沢で一番のお気に入りの沢だった。いつか再訪したいなぁと思っていた。あと、この沢には落とし物がひとつあって、それがちょっぴり心に引っかかっていたのもあるんだ。
登山道から適当に入渓し、バカでかい堰堤を巻いて、C260二俣。滝は少し戻って巻いた。すぐ上にもスラブ状の小滝が出てた。
4段30m滝。少し戻って右岸の踏み跡で巻く。左岸は斜面が崩れていて、そこに留まるのはちょっと危ない感じ。
さっきから気になっていたが前に来た時と渓相が随分違っている。前は全体的に埋まっていたが、今回はちょっとした小滝の釜も深い。多分3~4年前の台風で土砂が全体的に抜けたようだ。水量もなんか多く感じる。
小さなゴルジュのつきあたりがC380二俣。右は涸棚になっている。左の本流20m滝は登れる感じではなく、手前に垂れている残置ロープで巻く。ここからメインゴルジュになる。ゴルジュにはこの20mのF1からF5まで五つの滝が連なっている。
左岸に垂れた年代物の残置ロープ。結構急でこわいぜ!
F2も一緒に巻く。巻き途中からF2を見やる。ガイドブックでは5mだが、7mくらいな印象。
で、F2の落ち口に降りた。ここからが核心部だ。側壁は高く、なかなかの雰囲気をもった空間である。すぐ奥で左に曲がり、
F3の4m(ガイドブックでは2m)。前は釜はほぼ埋まっていてⅣ級くらいのシャワークライミングで登った。しかし今は土砂が抜けて、滝に取り付くには泳ぐくらいの深さの釜をどうにかしないといかんらしい。あー、ちょっと悩んだが、日和った。残念だけど直登は諦め、巻くことにした。
巻き途中からF4を見やる。そして最後のF5も巻いて、その落ち口で沢に戻った。
この沢で一番行きたい目的はF4落ち口なのだ。F5を懸垂下降し、F4へ向かう。写真はF5。
F4落ち口から下を見やった。ちょっとびっくり。8年前と随分変わった。前は左岸側がもう少し岩場っぽくなってて、ドロドロの土も堆積していて、それをつないで登った。今はぬらぬらした岩肌を水がサーっと流れていて、とても登れる感じには見えない。下からだったら登れるように見えるのかなぁ。ロープを伸ばしてここも下降して、下からF4を見てみたいところだったが、ロープが濡れて重くなるのがやだな~と思って、また日和ってやめてしまった。
ちなみに下の写真は8年前のF4である。普通に登った。
ところでF4落ち口に目的というのは、8年前に残置したハーケンがあるってことだった。やっと回収した。これが心の引っかかりだったのである。あの時は決まり切ってて、どうしても回収できなかった。今はリスもなんか広がった感じで、容易に回収できた・・。赤い細引きが意外に劣化していなくてちょっとびっくり。
ゴルジュでダラダラと時間を過ごし、再開。そこからも土砂が抜け、結構キレイだ。
これ、お気に入りの滝。右CSすだれ状5m。以前はこんなのなかった。左のクラックを使って登った。Ⅳ級くらい。
沢は開け、C460二俣。そこからは特に大きなイベントもなくスタスタ歩く。
C560で2段15m滝。せっかくだからな~と思って、アンカーを作ってロープを出して登った。滝の右側の乾いた凹角がⅢ級+αくらいだった。
C590二俣。そろそろ終わりな感が漂う。
これはガイドブックでいう、C710二俣手前の、3段5×10mか? 右岸の乾いたところを左上するのがⅢ級。
C710二俣。ガイドブックのとおりここで終わりにした。二俣から左岸に伸びる枝尾根を拾って沢から離れた。
詰めで登った杉植林の枝尾根はやたら土壌が緩くて、一部でラッセルみたいになった。なんであんなに緩かったのだろう。バーッと登山道を下山した。写真は登山道入口の看板。
河内川への出合はまさかの伏流。こんな出合から、あんなゴルジュは想像できない。
駐車スペース(7:15)~4段30m滝(8:05)~C380ゴルジュF1~F5(8:30-9:50)~C460二俣(10:10)~C590二俣(11:05)~C710二俣(11:30)~登山道(12:00)~起点戻り(12:50)
装備:ダブルロープ50m、ハーケンハンマー
参考:丹沢の谷200ルート
ルート☟