2019.4.20~22 with Wさん
今年もたった3日だけだけど宮崎に行った。パートナーは2年前一緒に行ったWさん。ああ今年も来れた。感無量・・。
初日、いきなり比叡の核心の一つといえる白亜スラブ。
1p、自分。Ⅲ級のアプローチ。左方カンテのアンカーからさらに草付きをトラバースする。アルパイン用の大きめTCプロで登り出した愚かさを秘かに後悔した・・。
2p、Wさん。5.10(5.10b?)でこのピッチはキレイなハンガーボルトに打ち替えられていた。超久しぶりのレイバックはグレードに関係なく怖い。最後アンカー手前ではライン取りが悪かったのか、やたらバランシーなトラバースでこれも怖い! 目が飛び出そうだぜ。
3p、自分。核心かつハイライト。5.10? 10なら10dやろか。でかいフレークに乗った後、いきなり1ピン目が遠くて届かない。僕のリーチでは右上のクラック末端のカチにやっと右手が届く程度。パツパツでそこから足スメアでマッチ、のムーブは1ピン目かけてない状態では許容できず、早くも心が折れスカイフック(なぜか持っていた)でエイド。その後もエイドしまくり。冷静に登れば、数手悪くてもその後立てる、の連続なのだが、萎縮した心では何もできず。むろん連打ボルトも使いまくった。スメアも多く足が疲れ、ほうほうの体でトップアウト。Wさんも僕の不甲斐ない有様にイラついたことであろう。
4p、Wさん。5.11-? フォローとはいえ明らかに3pのほうがムズいぜ。この日のために買ったジャミンググローブを使う機会にやっと恵まれた。ホールドにもジャミングにも裏切られないピッチだったなぁ。
5p、自分。このフィニッシュのピッチも打ち替えられていた。もうこれくらいがちょうどいいよ、僕は。
対岸の矢筈岳を臨む素敵なテラスでお休みタイムを過ごし、あっという間の下山。ダメクライミングでばっちり比叡山3峰の厳しさを味わい、庵に移動した・・。庵は予想外に貸し切り。なんと那須商店のおばちゃんが僕のことを覚えていてくれた。思わず感動。
2日目は宮崎のMさんと合流し3人で楽しい比叡山1峰南面。Mさんとは初めてロープをつなぐから、初顔合わせルート選びだ。どれにする? どれでもいい、のやり取りを経て、失われた草付きに決まった。しかし2pからナックルフェイスにほうに吸い込まれ、最終的にナックルフェイスFYKからまたナックルフェイスの最終ピッチをトップアウトすることになったが。
1p、Wさん。失われた草付きは1pが核心のようだが、普通のちょっとバランシーなクライミングで登れるから大丈夫だ! セカンドのMさんはサクサク消えていった。ラストの僕は昨日のビビりを引きずってやたら慎重に登った。あと今日は靴はエッジングがちゃんとできるサイズのシューズに変えた。
2p、続けてWさん。自由なWさんは簡単そうだと見るや裸足になって登って行ってしまった。しかもルートは無視でどうやらナックルフェイスの2pアンカーにたどり着いたようだ。いいんですよそれで。Mさん、僕らはこんなもんです。もうお好きなように自由に行かせてくだされ!
3p、自分。とりあえずMさんに「ここはナックルフェイス」と教えてもらったので、そのまま登った。Ⅳ~Ⅴ級くらいの簡単なスラフェース。なんてちょうどいいんだろ、と思ってしまうね。俺ぁこれぐらいで十分だ、と。
4p、続けて自分。せっかくなのでナックルフェイスFYKの右5.10aにルートを変えて登った。そうまさに10aな感じ。左5.10bもあるが、普通に登るとライン的に右5.10aが自然な感じ。あまり深く考えておらず途中でヌンチャクが足りなくなってしまったが、手を頑張って出せば必ずガバカチがある、というハッピーなルートだったな。これぐらいならいい、と思ってしまったね。ビレイ中はファンクライミングよろしく登ってきたMさんもWさんもその勇姿をバシバシ写真に撮った。「いやぁ最高ですね」とか言いながら。
5p、Wさん。ナックルフェイスFYKは右目にトラバース、と言っていたのに、ほとんど直上しナックルフェイスのほうに抜けていった。いいでしょう。なんでもいいんですよ。
その後2本目をどうしようか、と千畳敷でウダウダしていたところ、Mさんが加納谷はどうかと提案してくれた。すごいキレイらしい。えー行きたい。でも僕だってそこそこキレイな沢に行ってるから、キレイって言われても実際はどんなもんやろかと半信半疑な自分も正直いたが、・・行ってみたら、ホ~ントにキレイだったなぁ。すごい渇水だったようだが、それでも美しい白い岩畳の流れ。いつかは沢登りでも来てみたいが・・、最近泳ぎ拒否モードなので厳しいか。しかし近しい仲間と久しぶりに沢で過ごす時間は格別だったなぁ。Mさん連れてきてくれて、ありがとう。
その夜は庵でレジェンドと飲んだ。庵でのしきたりは色々と大変な面もあるが、歴史そのものと触れられる大事にしたい時間である。
3日目最終日はまたWさんと2人。場所を祝子川に変え、広タキスラブに行った。相当ワイルドなアプローチだったが、もう数年もしたらフィックスロープは腐り落ちてしまうんじゃないだろうか。岩登りへの執念を感じるアプローチの整備具合だったな。取り付きは狭いがここしかない、という場所。メジャーらしい左ルートに決めた。
1p、Wさん。Ⅳ級。風化の激しいジャリジャリのスラブなので、難しくはないとはいえ微妙に不安な足置き。鉾岳とはぜんぜん違う! むろんボルト間隔は宮崎流。
2p、自分。Ⅴ級-。小ハング?段差?の乗越がある。ボルトの位置が悪くない感じだが、やっぱり相変わらずジャリジャリで足置きに100%の自信がもてない不安はある。
3p、Wさん。Ⅴ級-。頭上に見える2本の木のうち、左側の木の下のブッシュまで。2p登って慣れてきたことだし弱点弱点で行けばまぁ。
4p、自分。Ⅴ級+。ブッシュ沿いに直上してみたが、コケコケかつジャリジャリで思わずブッシュをつかんでスリングをまわす。これ全然登られてないんじゃないか⁈ 今までちょいと不安ながらも許容してきたジャリジャリのスメアリングが一瞬で許容できなくなる自分を感じる。げー。上の木にスリングをまわすと、そこから数mの左トラバース・・、支点1本。ギョッとしながらも自分を信頼して一歩一歩やってくしかないので、目が飛び出そうなくらい血眼でマシなとこを探して不安な重心移動をこなした。トラバースなのでフォローも同じように怖い。
5p、Wさん。フィニッシュのピッチは4pで売り切れた精神力でもまぁ問題ない。
下降はしっかり5p分同ルート下降。硯岩とこのスラブの奥に挟まれた武平谷ゴルジュの入口をチラ見できるんじゃないかと思っていたが、ちょうどドアを半分閉じたように岩肌がゴルジュを隠し、何も見ることはできなかった。OKお次はさぁ滝渡りルートを・・、とはならず、そのまま下山して美人の湯(最高!)でゆっくり疲れを癒して、宮崎空港へと帰路についた。
今回は結果としてあまりガツガツ登る感じにはならなかったが、その分ゆっくり過ごせたし、普段なかなか会うチャンスがない宮崎の友人とも交流できた。非常に満足である。
それにしてもここ宮崎でロングルートを登る人は今や皆無に近いらしい。庵にも県外からいつもの決まったメンバーが来るだけだとか。ときたま取り付きで見るのは山岳会系な雰囲気のおじさんおばさんだけである。一方、比叡は近年すごいボルダーが次々開拓され注目を集めており、若者のボルダリング人口も増えているとか? 昨年行ったホライゾンのボルダーはすごかったなぁ。
わずかな山岳会系の年寄りはロングルート。ジムで登り始めた若者はボルダリング。言ってみればクライミングに関する嗜好も情報も、そしてコミュニティも、二極化している感がある。僕個人としてはどちらも好きなので少し寂しいような悲しいような感情を覚える。どちらにも大きなリスペクトを抱いているつもりだし、どちらも自然のなかで楽しむことができる最高のクライミングだ。
自分くらいの腕前ではまだまだ数多いロングルートに区切りは打てない今日この頃ではあるが、そのうちボルダリングでも比叡に来れたらいいなぁ、と思う今日この頃。