隠レ蓑

お山の記録と、日々の懊悩

表丹沢・セドの沢右俣

 

まだ沢には人があまり入らないであろう春の表丹沢で、2つのしょうもない失敗をしちゃった・・。

 

相当荒れてしまった戸沢林道を久しぶりに走った。セドの沢に行く前に、午前中はロープワークの復習をするために懸垂岩に寄った。人けのないところを求めて寄った懸垂岩は、もちろん誰もおらず僕一人。3つ持ってきたデバイスを使って、色々と組み合わせを変えたりしながら、何本も同じルートを行き来して一番いい組み合わせやシステム自体の確認をした。そしてお昼前でそれは終わりにし、近場の沢に繰り出すことに。今回は行ったことがなかったセドの沢右俣。大滝を登ったらそのまま下山するつもりで出発した。

桜満開のキャンプで小さな賑わいを見せていた戸沢出合を足早に通り過ぎ、水無川本谷右岸の登山道へ。登山道もだいぶ荒れてしまったようだ。F1を地面から生えている年代物のクサリで登るとセドの沢出合。懐かしい・・!左俣は昔行った。
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そしてセドの沢F1とF2を越えるとすぐに右俣・左俣の二俣。下の写真はF2。
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右俣F1。左のコーナーを登ったけど、スタンスは全体に外傾していてバランスがよくない。Ⅳ−。
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F2は水流右を登った。最後、落ち口に乗り込むのがハイステップ気味でちょっと悪い。Ⅳ。
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F3は左岸を歩き以上クライミング未満。
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出発から小一時間でF4大滝35mに着いた。1pは簡単そうなので水流左のカンテをフリーで。6~7mでテラス。Ⅲ+。
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2pからやっとロープを出した。水流のほうを見やるが・・・、やめておきしょう。一番無難そうな左側の乾いたフェースを登ることに。出だしの2~3手がちょい悪だが、あとはホールドに裏切られることなく、終了点テラスまでありがたい残置に導かれ、たった20mの「たんどくとーはん」。Ⅳ+。
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テラスは巻きルートへの残置ロープがばっちり張られていた。右を見やると垂直のボロ壁トラバースを挟んで滝の落ち口に至るようだ。が、ボロ壁にはいかにも信用できなさそうな残置。これでエイドなんて、まったくもって趣味じゃないなぁ。かといって今日は自分で支点作ってトラバースする気にもならない。残置ロープで巻くなら、ここで終わりでいいかな。あっけなく「おおたきとーはん」は終わりになってしまった。
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そして懸垂途中、下方を見やって写真を一枚撮った。・・と、もうちょっと上から撮り直そうかなと思い、登り返すためハンドル付きアセンダーをセットしようとしたのだが・・・。あ!! 操作ミスで手元から滑り落ちるアセンダー。 同時に僕はバランスを崩してしまい、アセンダーの落ちる軌道を目で追いかけきれない! 一度カシャンと岩に当たる音が鳴り、アセンダーは行方不明になった。
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初めてのあり得ないミスに軽く動揺したが、改めてアセンダーを探しながら懸垂で取り付きまで下りた。ない。釜周辺から血眼で探すが、黄色のでかいハンドルに青のカラビナという目立ちそうな色合いにもかかわらず、見つからない!
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落ち葉をかき分け探したが、ない。滝の1pテラスにももう一度登って、写真の滝左側のルンゼ状凹角も登って、壁の途中の藪に引っかかっていないか探したが、ない。
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滝の下のゴーロも隈なく探したが、ない。時間が無為に過ぎていく。
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1時間以上失意のどん底タイムを過ごし、再びアセンダーを落とした壁を見やった。今一度振り返ってみよう。一度カシャンと岩に当たった音がした。そう一度。・・一度? ということは近くに落ちたってことだ多分。それに地面に落ちたときの音が聞こえなかったってことは、考えられるのは落ち葉か水。落ち葉の中にはなかったのだから、もしや。
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すなわち、最初に探したはずの釜。もう一度釜を凝視した。
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うーむ。・・・うーむ?
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うーむ!!!!
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うぅぅぅぅぅーーーーーーむ!!
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用が済んだので大滝基部から斜面を適当にトラバースして登山道に出て下山した。
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車を停めた作治小屋。ジュースを買って、車に戻りピピっとドアを開けて荷物整理。財布、携帯、カメラ・・、と貴重品を助手席に置いて、一息つき、それでは帰りましょうかと思ったら。おや? スマートキーがない。
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助手席に置いたと思ったスマートキーがない。バッグにも、ザックの中にも、椅子の下にもない!再び血眼になって、今度はスマートキーを探す。ない。チャイルドシートも外し、ラゲッジルームの荷物も全部外に出して、全部ひっくり返して探すが、見つからない!運転席の近くに落ちていればエンジンはかかるはず・・と思い、スタートボタンを押したが「キーがみあたりません」と表示され無反応。そして迫りくる日没。ヘッドライトで何度も同じところを探し直したが、無駄だった。

やがて作治小屋のオヤジさんが心配してくれて、一緒に探してくれた。ホントに感謝。でも見つからなかった。「仕方ないので今日は歩いて帰って明日スペアキー持ってきます」「車で送ってあげたいけどお酒飲んじゃって、ごめんね」「いえいえいいんです、すみません。車置かせておいてもらっていいですか」「いいよいいよ」。大倉の最終バスの時間を教えてもらって、林道を歩き出す前に、最後にもう一度スタートボタンを押してみようと思った。そしたらエンジンがかかった!

なぜかかったんだ?ひょっとしたら自分のポケットやバッグにあるのか、と思い何回となく繰り返した動作をまた繰り返した。が、むろんない。それで、おそらくはリアゲートや左右のドアを閉めたから電波がよくなりエンジンスタートできたのかも、と思った。でも、再びエンジンがかからなくなるのが怖いので、検証はできなかった。とにかく車中にスマートキーがあることは確かだ。ああ、やっと帰れる・・。2時間以上作治小屋で捜索活動だった。オヤジさんに心からのお礼をして、出発した。

自宅の駐車場に着いてもう一度探したが見つからず・・・。結局、翌日に嫁が手伝ってくれて、荷物を全部出して一個ずつ入れながらエンジンスタートできるか検証活動をしたら・・、あった!な、なんとハーケンを入れてる袋に紛れておった。

 

作治小屋の掲示板。
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2つの失敗のおかげで、残念ながらセドの沢右俣大滝の印象はまったく残らなかった。

一方、2つとも看過できないミスともいえた。特に前者のアセンダーフォールはシビアなシチュエーションであれば命とりになりかねない。いつも心掛けているつもりではあったが、もう少し自分の細かい動作について意識的になる必要がある。「右に行くか・左に行くか」ではなく、常に「右に行ったらどうなるか・左に行ったらどうなるか」的視点で捉えないと無思考になりがちでしょう。

ちょっとした失敗を笑い話にするのは簡単だが、大きな山行でもその成否を分けるのは案外こういった細かい、そして基本的なことだったりする。今一度自分を振り返ってしっかりしましょう。

 

 

懸垂岩(8:00-12:30)~作治小屋(12:45)~セドの沢出合(13:20)~F4(13:55-16:20)~登山道(16:35)~作治小屋(17:00-19:30)

装備:ダブル30m、補助ロープ30m、ハーケン・ハンマー