駐車起点(5:40)~間違って経木沢入渓(5:55)~戻って本谷・経木ノ沢二俣(6:40)~フトコギ沢(6:50)~前手沢(7:00)~ホソドノ沢(8:40)~ダイレクトスラブF1バンド(9:25)~F2上(10:35)~荒沢山(11:55-12:20)~前手沢右岸尾根から二俣(14:15)~起点戻り(15:05)
装備:ダブルロープ50m*1、カム1セット、ハーケン・ハンマー、チェーンスパイク
参考:大系ほか
ルート☟
10分ちょい歩くと径路が沢に突きあたって終わったので、何も考えずにその沢を遡上し始めた我々・・。てっきり足拍子川本谷を歩いていると思っていたが、30分後、なんか森の沢って感じで変だな、と地図を見ると、支流の経木ノ沢と判明!全部戻って本谷に入り直した・・・45分のロス。いや久々に入渓時の正常性バイアスで失敗したわ。笑ったわ。
経木ノ沢・本谷二俣。径路からわずかに経木ノ沢を下って足拍子川本谷に入る。
本谷は小滝の通過2か所から始まる。今日は歩くのが上手なYさんと一緒だから楽である。
岩盤が発達していて意外にきれいな沢歩き。
コマノカミノ沢(フトゴキ沢)との二俣。右へ。小滝が3か所。ヌメる!
右に前手沢を分ける二俣。この中間尾根(前手沢右岸尾根)が今日の下山予定ルートである。このあたりから本谷上方にどのルートか分からないがスラブが見え始める。
両岸が狭まってくる。
こちらはちょっと深そうで濡れたくないので右壁を上がってやや渋いトラバース。
こちらはYさんが先に正面突破していったので、私も巻くのは諦めて水流真ん中を突っ張りでよっこらしょで登ったわ。体を起こすときに水をバーッとお腹に浴びた。ぎゃー冷たい!そう、冷たい・・、
思ったより出てくるの、早くないですか?やはり6月上旬。好きじゃない雪渓処理が重要なポイントになる。これは右岸の際をくぐり、
次も右岸の際を歩いて通過し、
風穴沢出合あたりと思しきゴーロ地点で谷は雪渓に埋まった。向こうに謙信の廊下らしきゴルジュが見える。ここから右岸巻きに入る。
雪渓の状態が気になるので、谷からなるべく離れないように藪漕ぎトラバース。観察するかぎり雪渓は上を歩けるような状態ではない。
大系遡行図に記されているように涸れた沢筋を横断するポイントで、ホソドノ沢を見渡すことができた。このときは確信が持てなかったが、下の写真の真ん中に右上している白いスラブがダイレクトスラブだった。まだ巻き続ける。
本谷・ホソドノ沢二俣を少し通り過ぎたあたりで、ダイレクトスラブを真正面から。このへんで雪渓に降りるポイントを見出した。
本谷の雪渓に降りて、下流の二俣を見やった。この雪渓をあそこまで下るという選択肢はないし、やだ。
一方、本谷上方を見やった。
最短距離で雪渓を渡り、本谷・ホソドノ沢中間尾根の末端部を藪伝いにトラバースすることにした。
トラバース中、ホソドノ沢の雪渓末端が尖った船首のように宙に浮いている様子が見えた。写真右側がダイレクトスラブF1下部の階段状。その取り付きに降りるという選択肢はない。
トラバース中。
真正面から見てこれがダイレクトスラブだと確信できた。スラブというかもはやフェースといった様相のF1と、その下部の階段状の岸壁との間には、明瞭なバンドが横切っている。取り付くためには、あのバンドが狙い目である。
ホソドノ沢をバンドと同じくらいの高さまで上がってから、バンドに向けてトラバースするのがよさそうだ。クライムダウンで沢床にようやく降りて、少しだけホソドノ沢を登り、
適したポイントからYさんがロープを引いて登ってくれる。うまくルートを見出しているのかするするロープが伸びていき、40mほどで解除コール。
フォローでトラバース中。クライムダウンする箇所もあってちょっと怖い!
こんな感じでトラバースしたんだぜ、の図。
バンドに乗った。うれしい。あとちょっとでスタコラ登れるスラブだろ?
バンドから下を見やった。
上のF1を見やった。のっぺりしてるわ。
F1の巻き登り。右から藪掴みで登るのが全然楽ではない。掴んだ藪を離したら空を飛べる斜度で辛い。
F1を超え、F2基部のスラブへ向けてトラバース。
スラブに乗った。
F2では、リングボルトがあったが錆び錆びだったのでアングルを打ち足してアンカーとし、頼れるYさんがまたリードでロープを引いてくれる。フォローするとガバガバだけど傾斜が強くて怖い!怖がってばっかりですよ。
F2を登り切ったところから、また下を見やった。
F2の上はちょうど二俣になっており、Yさんは自然に見えた左俣を選んだようだ。後になって分かったが、左俣は左方ルンゼで、右俣が中央ルンゼだったようだ。
やっと、やっと、だ・・・。左方ルンゼをスタコラ登る・・・。
右の向こうに風穴と思しき穴が見えた。
スタコラ・・・完全にフリクションクライミングな箇所もあり、そこまでスタコラしてないけど、まあいいだろ。
しかし左方ルンゼはそう長くない。スラブ登りは100mちょい稼ぐと終わり、大系がいう「石楠花リッジ」とやらに突入した。正真正銘腕力勝負系の藪登りを頑張っていたので写真も一枚もない。30分、ヘロヘロでこなし・・、
薮を抜けたところは荒沢山のピークだった。
足拍子山を見やった。
下山は前手沢右岸尾根だ。かなり急なラインだが最短距離で帰れる。昔の登山道?と思しき踏み跡が断続的にあるがしっかり藪を漕がされる。下りとはいってもかなり疲れる感じの藪漕ぎを強いられるので侮れない。有視界のルーファイもしっかり必要。
尾根分岐を右に。一か所ナイフリッジがあった。
さらに一か所斜め懸垂で尾根の乗り換えも交え、目視で尾根のラインと、尾根末端の二俣を確認しながら下降。2時間ほどかけて、
足拍子川本谷に降り立った。ひと安心!あとは来た道を帰るだけだ。
「行きたいところリスト」に長いこと載っていながら実際行こうとしたことがなかったこのスラブ。正直のところ存在を忘れていた。提案してくれたのはYさんで、はたとダイレクトスラブのことを思い出した次第。行けてよかった!
そんなことはどうでもよいんだけど、6月ってことは雪渓の状態が気になるところで、山行の核心になったのも雪渓処理であった。うまいこと上に乗るのを避けながらダイレクトスラブまで辿りつくことができた。スラブ登りもよかった。
しかし、はっきり言って一番印象に残っているのは、超大量に発生していてまとわりついてくるブヨの大群と、辛く腹立たしい頑固な石楠花をはじめとした藪漕ぎであった。ブヨに関しては右耳の後ろを刺されて顔の右半分が1.2倍になった。藪もなんか理不尽な感じがして疲れた。
ま、盛りだくさんでよき山行だったのは間違いないな! 行程のほとんどを先に歩いてくれ、全部リードもしてくれたYさんに感謝。