濁河温泉市営駐車場(5:40)~兵衛谷大橋から入渓(6:00)~シン滝(7:20)~百閒滝(8:00)~15m直瀑(8:40)~C2300m連瀑(9:20)~神津滝(10:15)~C2600ゴルジュ(11:05)~日本最高所の滝(11:30)~サイノ河原(12:05)~御嶽山(12:45)~濁河温泉登山口(14:40)~起点戻り(14:50)
装備:補助ロープ20m
ルート☟
23時に川崎を出発して駐車場についたのは3時。2時間だけ寝た。いつもは朝目覚めても頭が重たくてなかなか起きれず、行くか止めるか悩みながら準備するものだが、今日はやけにすっきり起きれた。今日はやる気らしい。橋から入渓した。
へつり進むと、
左へ曲がり、
最初の小滝。左岸を通過。
ゴーロ歩きでC1,710m二俣。
きれいなプール。奥に小規模だが柱状節理、そして苔むした岩。
小滝がいくつか続く。明瞭な踏み跡がありすべて容易に巻ける。
見事な側壁。
シン谷と尺ナンゾ谷の二俣。
右俣の尺ナンゾ谷、30m滝。こっちのほうがやや水量が多い感じ。
シン谷「パノラマ滝」40m。思ったより水が少ない。
落ち口。巻きは少しもどって右岸から登山道のような踏み跡を辿る。2か所崩壊がありやや緊張するが、地面は踏み固められ手は木があるので難しさは特にない。
その後も小滝を登ったり巻いたり。
「百閒滝」50m。うーむ、渇水!
百閒滝の巻きでは崩壊気味のルンゼ横断があり、強いて言えばこれがシン谷の核心か。木は沢山生えてるのでロープ出せば問題ないだろ。ブヨがすごくて僕ははっきり言ってかなりイライラしながら通過した。
15m直瀑。右岸巻き。数々の記録のとおりアザミがちょっとウザい。
ゴーロになり、
両岸が緑の短いゴルジュを抜けると、
埋まった・・。
そしてC2,300m付近の面白いゴルジュ。奥は10m・10m・4mの3連瀑になっているようだ。左岸から容易に巻ける。
2つ目の10mに近づいてみる。すぐそこがテラスになっている。
2つ目の10m。
落ち口。
埋まった。疲れたので休憩しよう。
空が広くなり右岸上方に大伽藍の光景を望む。歩いていくと奥に見えてくる。
「神津滝」30m。あいにく思いっきり逆光。
左岸から巻く。巻きはどれも踏み跡ばっちりでルーファイの必要もない。
圧巻の御嶽大伽藍を歩く。C2,600mで小規模なゴルジュ。
中を歩き以上登り未満で進める。
次の小滝はボロボロで、登れば登れそうだが、ちょっと・・。左岸を小さく巻いた。
死を想いながら歩く。
日本最高所の滝らしいのがあそこにある。
6mくらい。巻くのは簡単だが巻くのに飽き切った。水流右を登った。浮石の堆積でできたようなところで、あらん限りの慎重さで・・、落ち口に抜けるとリングボルトが2点打たれてた。
沢は終わりだ。
兵衛谷最初の水溜まり。あとは適当に詰めて、
サイノ河原。休憩。御嶽山へ向かう。
ニノ池山荘から本峰を望む。たくさんのふつうの登山者に囲まれ、自分はなんて場違いなのだろうという思いが込み上げてくる。帽子を目深にかぶる。
あとちょっと・・。あとちょっとが遠い。
山頂直下。噴火の慰霊碑に刻まれた「安らかに」。噴火のとき車に乗っていて、空の向こうに噴煙を見た。帽子を取り、何も想わず、ただ15秒間手を合わせた。足早に山頂への階段を上がり、足早に下りた。用は済んだ。
摩利支天乗越あたりから、御嶽山を振り返った。下山は無心で走り下り、2時間ほどで登山口に下りた。
兵衛谷の真髄が下流にあるのは間違いなく、どうしても日帰りの事情がなければ下から遡行したほうがよいのは言うまでもない。しかし、泊まりで行く機会がそう多くない者としては、この谷のようにエスケープ箇所が多く人里に近いのなら、駆け抜けて終わりにしてもいいかな、という価値判断が働くのも事実。そのうえで、兵衛谷ではなく御嶽山を目的とするなら、日帰り登山のいちルートとしてありだと思った。正直のところ妥協としての産物なのだが。
橋から上流は登れない大滝の巻きがポイントだが、クラシックな谷らしく、巻きラインは踏み固められており、ルートファインディングの必要性はあまりない。それは、思っていた以上にそうだった。
実は下流から日帰りで・・という壮大な計画を妄想していたのだが、自分ごときには到底無理なので諦めた。それをやり切った尊敬すべきmoto.pさんは、巌立公園から登山道抜けまで15時間20分。僕だったら・・・よくて材木滝で日没だろう。それどころか、下から橋まで10時間かけて遡行してきたmoto.pさんと、今回橋から始めた僕とのタイムを比べたら、シン谷~登山道までのタイムがほぼ同じなのだ・・。次元が違う。体力が低下しているのは自覚しているが、もう少し頑張れなかったものか。粘れなかったものか。才能なき者はもっとちゃんとトレーニングしろってことか。
などと考えたりするが、それらは本当にくだらない忸怩たる思いである。
moto.pさんの軌跡を辿って、シンプルに御嶽山につなげたかった。慰霊碑に手を合わせたかった。それだけでいいだろ。
久しぶりに死を想いながら山を登った。