6/12~13 with Junさん
扇沢始発の7:30の電気バスでダムにつくと意外に釣り師の人が多くて驚く。観光放水前のこの時期、ダム下流の黒部川本流の水量は驚くほど少ない。心底驚く!
支流からの雪渓押し出しを避けて、下ノ廊下から早々に川底に下る。なんつーか、ふつうに沢歩き。でも、ダム下流の川底を歩くなんて、なんだか夢みたいで楽しい!
左岸支流を2本通過。
ときに沢を埋める雪渓。
渡渉ポイント。沢靴で来ればよかったのに、今回登山靴+普通の靴下。飛び石で頑張る。
内蔵助谷出合で水を汲んで、1ルンゼから丸山東壁を見やる。クランポンは持ってきたが、雪渓は思ったより少ない。コゴミ?がそこかしこに生えていた。
いくらか1ルンゼを登ると、右に踏み跡、というか沢筋みたいな感じのが伸びている。これを詰めれば緑ルート取り付きだろ。
黒部の巨人。緑ルート取り付きに無事たどりついた。とはいっても、久々の重荷でゼエゼエして歩いてきたので、もう10時10分。いろいろお休みタイムしたり準備したりで、登り出しは10時50分になってしまった。
1p終了点から。今回僕がフルトップ。パートナーのJunさんアブミ2回目ですからね。でも僕もアブミの経験は大してないので、難しさはないけれど慣れるまで少々苦労しながら登った。で、終了点を間違えた。リングボルトがやたら連打されたところで切ったのだが・・。
2p、リングボルト連打地点から直上すると藪に突っ込む。え、藪漕ぎ? それはないでしょう。こりゃ間違えだろと気づき、キョロキョロすると左のほうにボルトラダーが見えた。1回下りて、左にトラバースすると、本来の1p終了点のテラスについた。そこからまた真っすぐ登る。
3pはトポ(チャレンジアルパイン)では三日月ハングの下で切っているが、つなげてハング上まで登ることにした。2pでルートミスして早くも時間に追われているし・・。三日月ハングはボルト間もめちゃくちゃ近くて超良心的。チビには助かるわー。Junさんは慣れないハングに苦労したようだが、いえいえ全然順調に上がってくる。
4pはまたボルトラダー直上。Junさんはピッチをこなすごとに上手くなっていき、スピードも早くなっていく。素晴らしいですね!
5p。トポによると少し直上してから右にトラバースするらしい。ふむ、トラバースのラインは分かるが、今までと打って変わって支点の品質が落ちる! 錆び錆びのリングボルトからハーケン、ハーケン、ハーケン・・。フリーでトラバースの後、小ハング。怖いわ。自分で支点を作れるわけでもないので、なるべく静的な荷重でそっと抜けた。トポではハング抜けで切っているが、アンカーは腐ってる感じ。木でピッチを切るのもちょっとやだったので、50~55mくらい出して中央バンドまで上がってから切った。ロープがめちゃくちゃ重くてハンドル付きアセンダーで引く。もってきてよかったハンドル付き。
時間に追われていて、気合の入ったJunさん、今日一の頑張りでサクッと上がってきて、薮からひょっこり顔を出す。ちなみに僕はセカンドビレイ中、とてつもないブヨ柱で気が狂う寸前だったぜ。重いロープを引きながら、なんとか「森林香」を焚いて・・、でも唯一素肌を露出していた足首をブヨに連打されてしまった。痛いし、パンパンになって不快で、歩きづらいほど。。足首対策として足先を切った靴下を準備したのに、持ってくるのを忘れたのが敗因ですね。
本日の虫対策の覆面スタイル。パタゴニアのサンマスク(廃盤)、モンベルのクールパーカ、あとナイロンジャケット。サンマスクはなんでポリウレタン入りをやめたんだろ。ポリエステル100%の現行モデルは買ってみたけどまったく使い物にならない。クールパーカは安くてフードも大きくて、今年一のお気に入りアイテム。ナイロンジャケットは何でもいいでしょう。
ホテル丸山にチェックイン。もう19時ですよ。陽の長い6月でよかったー。何十年も前から数々のクライマーが泊まった洞窟。特別な感じだ。しばらく力尽きていたJunさんがコーヒーとまいたけスープで復活してくれたので、一応持ってきたウイスキーで一杯やって、あとは適当に寝た。そうそう、ホテル丸山はdocomo 4Gが2本立つ。内蔵助谷出合より電波がよい。
翌朝、日の出の4時に起きる。えらく寒くてウダウダしたが、よくよく外を見やると・・、うーむ。Junさんがちょっと外に出てみると・・、うーむ。雨だって。ちょっと考える・・・。
午前中はガスくらいで持ってくれる予定だったんだけどな。気がつくと「今日は雨です」というさめざめと泣くような雨になった。また来る? 正直、また来たいという気持ちはさほど湧かない。それなりに楽しかったし、一期一会がいいかな。だから一応登っておきたい気持ちもあるけど・・。濡れハング、濡れフェースのツルツル。リスクをとる気にはならない。・・やめましょう。
「登れた・登れなかった」は大きな基準としてあるけど、それにこだわる気持ちが希薄だ・・。それはおまけ程度のもので。昨晩、ホテル丸山でJunさんと飲みながら話したのだが、やっぱり僕たちは「クライマー」にはなれないようだ。自然と親しみたいだけの平凡な登山者である。アブミより歩くほうが好きだし、登ってやろう!みたいなギラギラした感情があまりない。では、大ハングにお別れを。大ハングだけじゃなくて、なんだか他の何かにもお別れを感じなくもない。
内蔵助谷はいくらか増水している気配。支流の増水の分、いくらか本流も増えているはず。今後の降雨状況によってはさらなる環境悪化の可能性があるので、さっさと下りて、さっさとダムまで戻るのが無難でしょう。
梅雨空のアンニュイな下降は登ったのと同じ5p。直線的な下降で、支点もアメリカンデストライアングルではあるがキレイに整備されており、難しさはない。
黒々とした東壁。黒くなった黒部の巨人。
帰りは沢登りモードになりザブザブと無駄に足を水に入れて沢歩き。
6/12:黒部ダム(7:45)~取り付き(10:10-10:50)~中央バンド(18:55)
6/13:中央バンド(7:30)~取り付き(8:30)~黒部ダム(11:10)
装備:ダブル60m2本、ヌンチャク20、カム1セット(不使用)、ハーケン・ハンマー(不使用)、アブミ2、ほか
参考:チャレンジアルパイン(他にも新しいトポを持っていたが記載が不正確であまり参考にならなかった)