2021/7/3~4 奥穂高岳 南稜 with Oさん
前夜に相当荒れたようで、朝、土砂崩れにより始発バスが出ない。Oさんと一瞬途方に暮れたが、迅速な復旧作業のおかげでわずか50分遅れで出発。さすがは長野県である。とはいえ元々行こうとしていた明神東稜はキャンセルして、無難な奥穂南稜に計画を変更した。岳沢小屋で飲むのがメイン目的なので何でもよいのである。
さて昨晩は家を出るのが遅くて1時間しか仮眠できなかった・・。寝不足で体が重くていきなりヘロヘロ。2時間以上かかってなんとか岳沢小屋についた。ほんとに南稜いくか・小屋で寝て飲むか、Oさんと協議。でも曇りで時々ぱらつくと予想した天気が、実際には晴れ時々ガス。いつまでもつか分からないが登山日和といえる。しかも沢装備で来ているので降っても別に構わないのだ。ウェストンさんと嘉門次さんの足跡を辿りに行くしかないでしょう。
お仕度して岳沢のガレをヘロヘロで登る。ガスの切れ間から登るべきルートが遠望できた。
雪渓から問題なくルンゼに移ったが、中途半端な季節のためか岩の上に乗ったザレが不安定でちょっと足場が悪い。あと虫が・・。ブヨどもがわんわんたかってくる。頑張りましょう。ルンゼは2か所ほど歩き以上登り未満なポイントがあったが、あとは沢登りの詰めのような感じ。降雨後で濡れていて沢登り的だった。
登山大系にあるように「ルンゼが終わると草付きの斜面となり、すぐにスラブに突きあたる」である。ガスに巻かれて少々視界不良だが、この壁の処理が核心のようだ。大系には「一般には30mの凹角を登り、浅いルンゼに入り、さらに7mほどのチムニーを抜けて・・」とあるが、そのルートの同定はちょっと不可能。壁は巻くことに。右巻きすればそのまま南稜に乗れそうだがハイマツの藪漕ぎが必要そうなのでここでは却下し、いつものごとく獣道を拾って壁の左端から巻くことにした。
壁を巻くとまた草付き。そして眼前にトリコニーが見える。そろそろ南稜に乗る時だろう。
稜線に乗るといわゆる一般的なバリエーションルートといった、踏み跡+ルートファインディングの登山になる。「トリコニーは最初の岩峰を滝沢側から巻き、あとは岩稜どおしに登る」と大系。そのトリコニーⅠ峰は右に行ったり左に行ったりして通過。踏み跡を辿るとⅡ峰。ガスが晴れてパノラマの景色が目に飛び込んでくる。きもちのよいピークだったのでⅡ峰で休憩した。
トリコニーⅡ峰を過ぎるとあとは「左に折れて広くなった尾根を適当に登れば吊尾根に出る」と大系。左に折れて、は右に折れて、かな。どこでも歩けるが踏み跡もそれなりに見られ、登高に困ることはない。南稜の頭直下のコル手前ではせり出したリッジを上高地側からトラバースして巻いた。このリッジでは懸垂支点があり、一般的には懸垂されているようだ。あとは南稜の頭までもうひと頑張りだけである。
下山は普通に吊り尾根から岳沢小屋。3か所雪渓の通過があり、安全第一でクランポンを付けて渡ったり、岩稜で巻いたり。前穂ピークももちろん割愛し、その分(?)紀美子平で40分ほど昼寝タイム。
岳沢小屋に下山してもまだ17時。さっそくビールを買ってテラスで飲み始め、あっと言う間にベロベロに・・。ヘロヘロからのベロベロである。普段小屋に泊まる山行をすることは滅多にないが、ここ岳沢小屋だけは特別なのだ。Oさんと語り尽くして、飲み尽くして、食べ尽くして・・、そして他愛もなく笑って・・。ここにはそんな時間を過ごしにきてる。3時間くらいそうやってくだを巻いて、酔いつぶれて寝た。夜中、1時くらいに目が覚めると、雨が降り始めていた。明日は一日土砂降りだろう。
翌朝、土砂降りのコブ沢を渡渉して付近をちょっとお散歩をして、上高地に下山した。
奥穂高岳南稜は一般的には残雪期のルートと聞くが、無雪期、特に雪渓が残り雨も多い今時期は濡れていたり岩が不安定だったりで、なかなか充実感のある登山ができた。ヘロヘロだったが、はっきり言って楽しかった。ただし、虫がすごい。そこだけは最悪である笑。そして頑張って岳沢小屋に下りれば冷えたビールが待ってる。ではまた。
7/3 上高地バスターミナル(6:30)~岳沢小屋(8:50-9:30)~南稜・取り付き(10:00)~トリコニーⅠ峰(12:00)~南稜の頭(13:40-14:00)~紀見子平(15:00-15:40)~岳沢小屋(17:00)
7/4 岳沢小屋(7:50)~上高地バスターミナル(9:20)
装備:ダブル50m(不使用)
ルート☟