隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

奥秩父・鶏冠尾根

with Aさん

去年、川上村の五郎山を登ったときに、甲武信の稜線へとなだらかに伸びている尾根を見た。それがえらく印象に残っていて、天竺平尾根という名前だと知り、時間を見つけて歩いてみたいなぁと思っていた。その思いは、五郎山を一緒に登ったAさんも同じだったようで、たまたま予定が合ったのでご一緒することに。 

お互いにプランを持っていたが、Aさんのプランを採用した。計画としては、まず西沢渓谷を起点にして、鶏冠尾根から木賊山、甲武信岳をへて、天竺平尾根から五郎山までつなぐ、という長く綺麗なラインであった。しかし、私の希望で日帰り強行としたことからやっぱり時間切れになってしまい、木賊山までで終わりにした。そのためメイン目的の天竺平尾根には足を踏み入れることができなかった。

でも、鶏冠尾根もまた奥秩父で歩いてみたい尾根の一つだったし、今回は鶏冠尾根でよしとしましょう。鶏冠尾根はとても楽しく、登り甲斐のある尾根であった。

天竺平尾根は次回のチャンスに私のプランで行くかどうか。毛木沢から五郎山北面の沢と藪尾根で登山道まで登り、天竺平尾根をトレースし、十文字峠を下山する沢と藪の周回コース。あるいは、梓川岩小屋をからめて1泊で森の旅にするか。

いまから天竺平尾根に行くのも楽しみ。

 

 

さて、西沢渓谷を出発して、二俣吊り橋から沢を見下ろす。奥秩父のお山は大きい。ここ連日の降雨の影響で、笛吹川源流はまだまだかなりの増水状態がキープされていた。・・ということは鶏冠谷の渡渉が大変かもしれんぞ。
f:id:Kakuremino:20210821000156j:image

登るべき尾根を見やる。屹立しておる。
f:id:Kakuremino:20210821000023j:image

鶏冠谷出合。来たの何回目だろうか。目線を上げれば看板。目線を下げれば・・
f:id:Kakuremino:20210821000043j:image

うーむ。いい感じに増えている。頑張れば飛び石で渡れるくらいに思っていたんだけど。足元は常に沢靴なので普通に渡渉してもよいが、今日は尾根を歩く日なのでなんだか濡らしたくない気分。靴を脱いでズボンをたくし上げて、杖をつきつき、股下までびしょびしょになりながら、なんとか渡渉した。パートナーのAさんはパンイチ裸足渡渉で男を見せる。
f:id:Kakuremino:20210821000209j:image

沢から離れ,、登山道を粛々と700mくらい上げて第一岩峰のコルにつき、レスト。早くもヘロヘロ。Aさんから大福をもらって大喜びで食べる。
f:id:Kakuremino:20210821000046j:image

コルからすぐに岩稜帯につくわけではなく、少し歩かされてからやっとクサリ場につく。クサリは凹角のもの以外は個人的にはややイマイチ。クサリが無かったら登路に選ばないラインを無理に登らされている印象を受ける。岩稜縦走の体を保つためか。とはいえ多少の高度感もあり結構楽しく登るわけだが。f:id:Kakuremino:20210820235905j:image

f:id:Kakuremino:20210821000036j:plain
f:id:Kakuremino:20210820235902j:plain
第一岩峰?第二岩峰?のピーク/振り返って西沢渓谷を見下ろす

f:id:Kakuremino:20210820235917j:plain

メインの第三岩峰。濃い緑と岩の融合にワクワクする眺めである。

第三岩峰とはいっても岩登りはほんのわずかだ。でかいフレークが剥がれそうなので注意!
f:id:Kakuremino:20210820235927j:image

f:id:Kakuremino:20210821212735j:plain
f:id:Kakuremino:20210821000032j:plain
楽しいクライミング/展望が素晴らしい第三岩峰ピーク(鶏冠山という看板があり)

f:id:Kakuremino:20210821000029j:plain

ピークから東沢を見やると、おそらく乙女沢か、源頭からスラブが滝になっている。普段はたしかもっとチョロチョロだったと思うのだが、遠目にもしっかりとした水量で、改めてお山の保水力はすごいなぁと感じ入る。

第三岩峰でいっとき満足感に浸り地形図を見てみると、なんとまだ木賊山まで半分も来てないじゃないですか。出発から3時間。ヘロヘロながらもそんなに悪くないタイムだと思ったけど、いやー、まだまだ先は長いなー。そしてここからシャクナゲのジャングルを割って通した登山道になった。
f:id:Kakuremino:20210821000012j:image

f:id:Kakuremino:20210821000008j:plain

2115mの鶏冠山ピーク。このあたりで予報どおり雨が降りそうな空模様になってきた。

ところで私のミスで、山頂の先の細かい尾根の分かれ目で間違った踏み跡を辿ってしまいタイムロスした。たぶん鶏冠谷左俣へ降りていく踏み跡。日頃から獣道とか藪漕ぎとかばっかりだから、ついついピンクテープを追うのを忘れてしまう。Aさんが正しい登山道に修正してくれた。正しい縦走路のテープもそれなりにあるが、他の踏み跡もそこかしこに伸びているので、テープありきのルートファインディングをするのが吉ですね。

f:id:Kakuremino:20210821001242j:image

f:id:Kakuremino:20210821000019j:plain
f:id:Kakuremino:20210821000016j:plain
ちょうど間違えたところ付近に通せんぼロープが・・、まったく気が付かなかった・・・/正しいのはこちらですよ、という親切なピンクテープもあり

シャクナゲがうるさーいところから解放感のあるボロい岩場に出てレスト。この辺から植生が変わり、シャクナゲに代わってシラビソが主役になる。
f:id:Kakuremino:20210821000026j:image

美しいシラビソの森。尾根の釜の沢側を巻き進む登山道になっている。
f:id:Kakuremino:20210820235920j:image

この看板で尾根に復帰する。いよいよフィニッシュな感じがしてくる。登るごとに勾配が緩くなり、最後はほぼ平坦な広い尾根を歩くと、
f:id:Kakuremino:20210820235912j:image

一本道のような木賊山への登山道に出た。
f:id:Kakuremino:20210820235909j:image

f:id:Kakuremino:20210824001812j:plain

静謐なシラビソの森に拓かれた一本道を歩く。

f:id:Kakuremino:20210821000049j:plain

木賊山はこの界隈でかなり好きなピーク。人けがあまりなくて、人がいたとしても通り過ぎるだけで誰も立ち止まらない。展望もないし、不遇と言えなくもないピークだが、それも含めてよい。

Aさんと話し合い、時間的に天竺平尾根へ抜けるのは諦め、西沢渓谷に下山することに。人が多い徳ちゃん新道は最近あまり・・なので、破風山避難小屋の南尾根を下山することにした。途中のシラビソの立ち枯れをAさんに見てもらいたかったが・・、立ち枯れはかなり倒れてしまったように見える。ちょっと悲しい気分になる。そして横殴りの濃いガスだが、あとは下山だけなのでよいでしょう。
f:id:Kakuremino:20210821000056j:image

破風山避難小屋から南尾根。
f:id:Kakuremino:20210821000102j:image

あっと言う間にヌク沢左岸林道の末端に降り立つ。
f:id:Kakuremino:20210821000039j:image

あとはダラダラ歩いて駐車場まで・・。
f:id:Kakuremino:20210820235923j:image

きれいだったなー。
f:id:Kakuremino:20210820235930j:image

 

後談。今日はモンベルのモデルチェンジしたサワークライマーを履いた。靴下はウールだったけど・・。印象としては、普通の紐締めの旧モデルのほうが今のところ好きかな。コードロックだと爪先の締め感がなんか違う感じがする。足入れは文句なく新モデルがよい。カバーがある分か、剛性も新モデルのほうが高めか。いやそれは新しいから、というだけか。まぁ履いているうちに新モデルが好きになっていくでしょう。結局なんでもいいんですよ。でも旧モデルがセールで出たら買うかも。
f:id:Kakuremino:20210821220818j:image

 

道の駅みとみ(7:00)~鶏冠谷出合(7:45)~第三岩峰ピーク(10:15)~鶏冠山(10:50)~木賊山(13:30)~破風山避難小屋(14:30)~近丸新道登山口(16:00)~起点戻り(16:25)

ルート☟

www.yamareco.com