隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

栃ヶ森山塊・小出川中流

 

9/2~3、栃ヶ森山塊・小出川中流域をうろうろ・・。

非常にマイナーな山域というだけで惹きつけられる魅力がある。とちがもり、というネーミングもすごくよい(どれがトチノキなのか全然分からなかったけど)。そういうわけで、横浜の出発時間が22時30分で、道の駅の到着予定時間が4時30分という辛すぎるタイムスケジュールでも頑張って来た。

もっとも、当初は仙北街道からアプローチして、「小出川本流から東山沢遡行→稜線越え→桑木沢へ下降して遡行→栃ヶ森山→栃川を下降」という沢満喫プランだったが、どう考えてもそんなに頑張れないので、小出川中流域で釣りして山奥生活を送って帰る、というイージーなプランに変更になったわけだが。

でもそれでもとっても楽しかった。

 

栗駒焼石ほっとラインからGoogleマップに載っていない大寒沢沿いの林道が若干不安になるほど奥へと伸びている。車で軽く藪を漕ぐ。突き当たりに駐車。

 

栗駒山・栃ヶ森山周辺森林生態系保護地域」の看板。ここから1000年以上昔に拓かれたという仙北街道へ向け歩き出す。ブナの原生林にいきなり感動してしまう。

 

タマゴタケを見つけた。

 

自然に感動していたのは最初の10分くらいだけで、くそ暑い登りにゼェゼェ苦しむ。尾根道に上がると風が吹きちょっと気が楽になる。小雨が降ってきた。大胡桃山直下でピークルートと巻きルートとの二俣となり・・、せっかくだからとピークルートを選び登る。やがて小雨で真っ白になった空が広く開けた空間に、バッと出る。大胡桃山のピークを踏んだ。

 

そこからややワイルドになった古道を下る。ちなみにピンクテープが頻発しているので登山難易度は特に高いわけではない。ツナギ沢に出てからは沢沿いに歩き、栃川落合。石碑にピンクテープはちょっと・・笑。

 

栃川の渡渉点で休憩。

 

小出川についた。すごい渇水のようで、うーむ。とりあえずよさそうなテン場を探しながら、竿を出して遡行することに。不活性の時間帯で、しかも水位が低いため遠くから見つかってピュンと逃げられる。それでも名手のMさんが釣った。でも全然釣れない。

 

この印象的な側壁をもつところを通過し、

 

柏沢の手前、右岸に小さな台地状の適地を見出す。焚火跡もある。急いでタープを・・、2枚のタープを真ん中に隙間ができるように張り合わせる。タープを張るのはOさんとMさんは実に上手で、全国でも彼らほど上手な人は少ないと思っている。僕は大量の木を集め仕分けとノコで切断・・、ギコギコ、普段使わない動きで右手をやられる。Oさんから、片方を持ち上げて切ると重みで自然と切り口が開いていくからやりやすい、という方法を教えてもらい目から鱗。そして幕営の下準備ができたところで、本格的に釣りにでかける。OさんとMさんは柏沢へ、僕は本流筋へ。下の写真は左岸支流の柏沢出合。

 

そこから2~3分で右岸支流に東山沢を分ける。本流は支流より入口が小さい。ここでも先に見つかり逃げられた・・。

 

本流は小さな滑りそうなゴルジュ。腰までつかって通過。

 

ここでも釣れない。

 

次に出てきたこの釜で、

 

やっと釣れた。この先はやや本格的な滝の巻きが必要になるため、プロ級のOさんとMさんがうまく釣っていると信じ、僕はここで引き返すことに。

 

イマイチな釣果だったが腹を満たすには困らない。火を熾すのは大抵僕の仕事なので、今宵も最高に安定した火床を作った。焚火はむろんタープの下。焚き木はよく乾いた広葉樹なので煙は少なく、何度か分からないけれど温度は極めて高い。僅かな水蒸気とともに、ガスと熱気がタープ下を循環し、隙間から抜けていく。日中はブヨがとてつもなくぶんぶんしていて気が狂いそうだったわけで、夜は夜で間違いなく蚊がとてつもないはずだったが・・、この循環によって虫が寄ってこれない低酸素やガスのバリアを作り出せているようで、タープに虫はまったく近寄ってこない。標高600mかそこらなので、ちょっと暑いな~って感じだけど、野営時に半袖半ズボンになったのはいつぶりだろうか。タープの下で焚火をしない人が多い気がするが、個人的にはメリットしかないと思ってる。まぁ、夜寝苦しくて、2時くらいに起きてイワナの焼き枯らしを一個もそもそ食べながらワイン飲んで、それでまた暑くて寝ずらかったけど・・。

 

翌朝、今度は東山沢に出かけたが、すぐに出てきたこの淵がドボンの確率高しと思って引き返した。ドボンは無理だー。

 

それでまた本流に行った。昨日釣った小滝を右岸から巻き登り、また小滝。こちらも右岸のスラブ面をフリクションライミングで通過。すぐ上は倒木で埋まった小滝。

 

その次の多段滝の釜で終わりにした。何回か反応があったが、釣れたのは25cmくらいのが一匹だけ。

 

テン場に戻り撤収。小出川を戻る。帰りは栃川を釣り上がるつもり。昨日は渇水で釣れないしちょっぴりイライラモードで時間に追われて幕営地を決めて支度して急いで再度釣りにでかけて・・と慌ただしかったが、改めて歩く小出川本流の中流域もなかなか優美だ。

 

右岸支流の栃川出合。

 

栃川もとても美しくてかわいらしい。おそらくそこだけ水温が低いのでは、という小さな落ち込みの連続があり、いきなり釣れまくって驚いた。あとは逃げられたり、誘いに乗ってこなかったり。

 

栃川の渡渉点でおわりにし、来た仙北街道を戻る。30m級のブナの巨木がそこかしこに屹立していて、あー、やはり東北はいいなぁと満喫して歩いた。昔からの仲間であるOさんとMさんと久々に一緒に山に入れたことも、とてもよかった。

 

 

ルート☟