隠レ蓑

お山の記録と、日々の懊悩

房総・土沢~キンダン川、清澄山~三石山

2/10日帰り単独、房総のロングな沢歩き+山歩き。

  • 亀山湖の滝原地区湖畔公園(P)・滝尻橋が起点
  • 小櫃川左岸支流の遡下降[土沢~四郎治沢源頭~無名沢(下降)~湯ヶ滝(廃村)~キンダン川]→関東ふれあいの道に抜ける
  • 関東ふれあいの道から縦走[清澄山~元清澄山~三石山]
  • 杣道で戻る[桑の木沢左岸尾根の山道~猪峯橋~林道加瀬線~土沢左岸尾根の山道]→滝尻橋・P

 

 

地形図を見ていると、亀山湖から小櫃川左岸の支流をつないで関東ふれあいの道まで沢歩きで行けそうだと思いつき、さっそく行ってみることにした。せっかくなので清澄山まで足を運んで一区切りとし、さらに元清澄山、三石山までトレイルを縦走。そこから日没を過ぎるようなら国道465号線経由で戻る、日没に間に合いそうなら昔の山道を拾って戻る、というハイキングプランにした。日出6:30ごろ、日没17:15ごろなので、約10時間で行動を終えるのが目標である。前日は大寒波で房総もすこし雪が付いていたが、懸念したほどではなく、冬日和のなか行動することができた。

 

【土沢】6:55出発。トイレ付きの綺麗な滝原地区湖畔公園から、地形図には載っていない滝尻橋を渡った。山道を少し登ると薄く土沢に下りる踏み跡があり、それを拾って入渓した。土沢は砂岩の沢だからかすごい滑る!大寒波で凍結の心配も少しあり、チェーンスパイクを持ってきたのですぐに履いた。これで安心。尖端のなめたスパイクでも快適な歩行になった。多少の倒木帯もあるが、土沢は幅狭な沢床がしばしば高い砂岩の側壁で囲まれる、なかなか特徴的な渓相。まさに土の沢。両門の二俣を越えると、ひと際高い側壁の見所を迎える。その後似たような二俣が3~4回続くので注意。8:08に地形図で青線になっている190m二俣につき、左俣へ。雪交じりの詰めをわずかにこなすと、すぐにしっかりした踏み跡になっている尾根についた。

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滝尻橋を渡ると山道あり/土沢入渓点から出合を振り返った
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つるつるの砂岩の沢床/ごく短い倒木帯/顕著な両門の二俣
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土沢の一番の見所
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190m二俣を左に/しばらく沢床は埋まっていた
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詰めではすぐ尾根が見える/しっかり踏み跡の付いた尾根/190mあたりのつるつる数mナメの下降

【四郎治沢の源頭部】尾根から地形図青線の四郎治沢右俣を目指して下降。ちょうど青線末端の190mあたりに3~4mのナメがあり、チェーンスパイクを効かせて何とかクライムダウンしようとしたが、フリクションゼロで滑落必死。補助ロープは持っていたがハーネスもATCもなし、という装備だったので懸垂は面倒。右岸からぐずぐずの斜面を慎重に巻き下って、最後はジャンプだった。沢歩き的にはこれが核心⁈だった。順調に下降し、8:45ごろ176m二俣。左俣に入り、190m付近右岸の顕著なルンゼ状を登った。踏み跡もあった。途中で2mほどの登れそうにない滝を右から巻くと、赤テープが付いた尾根についた。

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苦労したナメを前方から。グズグズの斜面を巻き下った/四郎治沢の風景
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190m付近を左俣に(踏み跡あり)/途中の2m滝は右巻き/赤テープの付いた尾根

【無名沢の下降】四郎治沢を詰め上げたあたりは、枝尾根が入り乱れており地形が判然とせず、また荒れ気味であった。ハンターの銃声が2発聞こえ、やべーやべーと思いながら、よさそうなところを見つけ下降した。倒木帯はすぐに終わった。時間は9:30ごろ、小さな流れを下降していると、朝日が沢床まで届くようになったようで、水面が光り輝いている。そして木々の葉っぱに付いた雪が融け、輝く雨となって降り注いでいる。なんて美しいんだろ。ごく平凡な名前のない沢が、極上の沢になった。

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雪の付いた尾根から下降点を探す/荒れた山肌を下降/無名沢の下降
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朝日に照らされ平凡な無名沢が極上の沢に/融雪が輝く雨となり木々から降り注いだ

【無名沢から湯ヶ滝へ】 無名沢が小櫃川本流に合流する直前の蛇行部分から、右岸の斜面を拾って登った。ちょうど植林が目立つようになるポイントだった。植林の先は岩場記号を挟んで西側が尾根、東側が沢筋。沢筋を選んで下降気味に進んでいくと、9:55ごろ、151mピーク西の荒れ地記号の場所につく。ここは想像だが、廃田だろうか。幅広い泥土の湿地帯のような様相になっていた。それに足を踏み入れた瞬間、ズボッ!一気に両足とも股下まで潜ってしまい、悲鳴を上げながら四つん這いで、死に物狂いで抜け出した。泥土で全身ドロドロに汚れ、一瞬にして精神的に激しく消耗してしまった。いやー死ぬかと思った。泥土に入らないように藪をこぎながら進み、安定したところで10分ほど休憩した。

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小櫃川手前から右岸の沢形に入った/密な植林に/湯ヶ滝付近のルート

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湯ヶ滝付近の沢筋は泥土の湿地帯になっていて、場所によっては非常に危険!

【湯ヶ滝の廃墟からキンダン川入渓】心を落ち着かせて、10:10ごろ再開。地形図上のオレンジ四角の廃墟までのよい登路がない。どうやら沢筋ではなく尾根を選択するのが正解だったようだ。遠回りするのは嫌だったので、少し悪そうだが急峻なトイ状から洞窟状のルンゼを突っ張りで登り切り、台地状に出た。廃墟は一応写真を撮って素通りし、キンダン川へ下りるポイントを探した。台地は綺麗に管理されている雰囲気。キンダン川の川廻しになっている尾根状の次の尾根状がナイフリッジになっており、なんと明らかな杣道が付けられていた。これを拾い、10:30、快適にキンダン川に降り立つことができた。

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湯ヶ滝の廃墟/台地状を進むとナイフリッジに付けられた杣道/キンダン川に降り立った
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ゆったりとしたキンダン川の流れ

【キンダン川】明るい流れがどこまでも続いている。穏やかな気持ちで沢歩きができる、よい沢である。11:10ごろ、よく写真を見る圧倒的な側壁に挟まれたゴルジュ帯を通過した。一番の見所ポイントはとても短いが、一見の価値はある。その後も土の壁を楽しく見ながら歩き、ガイドブックでは遡行終了点と書かれていた池ノ沢歩道を通り過ぎ、本流と思われた沢筋を詰めた。詰めの荒れ具合はなかなか激しい。もう少しかな、と見上げると唐突にコンクリートの壁が現れ、それを登ると関東ふれあいの道に出た。時間は12:02、沢歩きは終了になった。 

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キンダン川のハイライトはとても短いが濃い

 

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水がなくなり間伐材のジャングルを越えると、唐突にコンクリートの壁が現れ、関東ふれあいの道に詰め上げた

【清澄山】詰め上げた関東ふれあいの道は、ちょうど鴨川方面へ下る林道との分岐であった。沢歩きに所要5時間の予定だったので、まずまず予定通り。休憩もそこそこに、まずは一つ目の山頂を目指してダートの林道を歩いた。ゲートからアスファルト道を歩き、清澄寺の奥、清澄山の主峰とされる妙見山に12:48に着いた。お参りし、重兵衛というお店で缶コーヒーを買って駐車場で20分弱ほど大休止した。ここで沢歩きモードを完全に区切り、トレランシューズに履き替えた。恰好はドロドロのままだが・・。13:13に出発した。

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沢歩きは終わり。ちょうど鴨川へ下る林道との分岐に出たようだ
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関東ふれあいの道ゲート/清澄寺の入り口/妙見山のお宮

【元清澄山】関東ふれあいの道は、元清澄山登山道入り口までは林道。走ったり歩いたりで進んだ。登山道はとてもきれいにされており、走るのに最適。人も少なく、2組のパーティとすれ違ったのみ。陽のあたらない北面は軽く雪も残っており、変化があって楽しい。14:31に元清澄山山頂に到着。素朴な疑問だが、関東ふれあいの道の山頂にはちょいちょいごみ箱が設置されているが、誰がごみの回収などするのだろう。マナーとしてごみ箱があっても山では捨てないが・・。

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途中に鴨川方面の房総の自然を見やる/ゲートから登山道へ/きれいに整備されている
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元清澄山山頂/三石山へのトレイルもとても気持ちよい

【三石山】元清澄山~三石山のトレイルもまた気持ちのよいトレイル。基本はやせ尾根だが、高低差もなく走りやすい。時間も押してきており、気合を入れた。地蔵峠を過ぎ、大規模な発電施設を過ぎると、特徴的な登山口にたどり着き、楽しいトレイルが終わってしまった。15:42、三石山観音寺に到着。しかし、間に合ったと思ったら係の人に「今日はもう終わり」と言われ、敷地内の三石山山頂には行けなかった。

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大規模な発電施設/特徴的な登山口/三石山観音寺

【桑の木沢左岸尾根の山道から土沢左岸尾根の山道】どうやら時間的に大丈夫そうだ。予定どおり昔の山道を拾って駐車場に戻ることにする。アスファルト道を少し歩き、272mピーク手前のガードレールが途切れるポイントから山肌に入り、しばらくトラバース気味に下降する尾根まで進んだ。尾根につくと控えめに赤テープが貼ってあった。あとは赤テープを辿り、16:32、猪峯橋まで下りることができた。そこから舗装路を少し歩き、黒滝へのゲートがある分岐を左折し、林道加瀬線に入った。12、3分ほど林道を登ると大きく右にカーブするところに、青いテープで控えめに山道が示されていた。歩いてみると倒木で荒れたところもあるが、道は明瞭であった。やがて「あ、ここは朝土沢に入渓する時に通ったところだ!」と気が付き、暗くなってきた植林の隙間から、朝渡った滝尻橋が、そして愛車が見えた。17:15、長いようで短かったハイキングがついに終わりになってしまった。日出~日没の10時間20分、正直もっと歩きたかった・・。

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272mピーク手前から山肌に入った/しばらくトラバースすると下降する尾根に控えめな赤テープ
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赤テープを辿り猪峯橋の手前の橋に降り立った/舗装路を林道加瀬線へ左折
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青いテープで尾根沿いの山道が示されていた/倒木帯もあり少し荒れていた

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山道から滝尻橋、そして愛車が見えたときは嬉しい気持ちとともに、これでもう終わりかぁと残念な気持ちにもになった

 

<行程と沢メモ>

6:55滝原地区湖畔公園(起点)~7:08土沢入渓~8:08土沢190m二俣~8:47四郎治沢176m二俣~9:43無名沢136m右岸~10:23湯ヶ滝(廃村)~10:30キンダン川~12:02関東ふれあいの道~12:48清澄山~14:31元清澄山~15:42三石山~16:32猪峯橋~16:51土沢左岸尾根の山道入口~17:15起点戻り

  • 足を踏み入れた流域は砂岩で、衝撃的につるつるです。個人的にはチェーンスパイク必携です。山肌の地盤も緩いです。
  • 念のため下降用に20~30mロープがあると安心だと思います。
  • 湯ヶ滝付近の泥土の湿地帯は、場所が悪いとかなり潜るので大変危険です!沢歩きでは立ち入らないかもしれませんが、近寄る際は特に注意が必要です。
  • 分水嶺(源頭部)では地形が判然とせず、正確な読図はかなり難解です。
  • 冬日和とはいえ寒波の一日でしたので、さすがにヒルはその気配も皆無でした。
  • 山中に杣道が張り巡らされており、その観点からも非常に興味深い山域でした。房総の山は生活の場だったのだなぁと感じ入ります。