隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

表丹沢・新茅ノ沢

3/24 表丹沢 懸垂岩→新茅ノ沢(F5まで)→山岳スポーツセンターのトラバース壁

 

初めはクライミングにいくつもりでいたが、前日の15時くらいに突然沢登りがしたくなり、表丹沢に行くことにした。この時期、だいたいこの表丹沢の懸垂岩か、広沢寺か、三つ峠か、その辺の都合のよさそうな岩場で、ロープワークやいろいろなシステムの復習と確認をすることにしている。その練習を懸垂岩で午前中くらいでやって、昼くらいからどこかの近くの沢を軽く登れたらいいな、と思って行ったわけだ。近くの沢といっても、一番近いモミソ沢はちょっと陰鬱だし、セドノ沢とかの水無川本流筋はちょっと遠いから面倒くさい。自然に、行ったことがなかった新茅ノ沢へ足が向いた。

懸垂岩も思い出深い場所だ。随分前に、はじめて来たときはそれなりの岩場に見えたものだが、来るたびに小さくなって見て、傾斜もどんどんゆるくなっているように見えるのが、自分のなかの変化を感じさせられる。他に人さえ居なければ、一日中いてもよいくらいの場所だ。いや一日はさすがに飽きるか。ロープ径やデバイスなど条件を細かく変えて、同じルートを何度も登り下りしながら、ギアの相性やいろいろなシステムの手順などの確認と反復練習をした。こんなちょっとした川沿いの岩場でも、それなりに充実した時間を過ごせた。

 

午前中くらいを練習に費やし、ついぞ飽きが来た。ひとしきり休憩し、いらない荷物をまとめて車に突っ込み、新茅ノ沢へ入った。ふと思い出したのは、何年か前に、やはり懸垂岩で練習していて、そのときはモミソ沢へ行こうとしたのだが、周辺は大雨か何かの直後で倒木などで荒れに荒れており、出合い付近ではおそらく鹿の死骸があると思われ、腐臭がただよっていたことがあった。天気もどんよりしていて、雨が降ったり止んだりだった。陰惨な雰囲気と腐臭で、即撤退だった。新茅ノ沢は大丈夫だとよいのだが。むろん大丈夫だったが。

 

F1

F2

F3

F4

 

あっという間にメインのF5が見えてくる。

F5

F5は12mとガイドブックに書いてあったので、実際は小滝だが、ここでは大滝の扱いだ。なにしろ久々で、濡れるつもりもあまりなかったが、どうも水流すぐ右の明瞭なルートはびしょびしょになること必至のようだ。巻くという選択肢はなく、雨具は上しか持ってきていなかったが、とりあえず着て、慎重に登り出した。支点は残置サマサマである。また残置ハーケンに自分のスリングを通そうと思っても、すでに残置のロープスリングがぎっしり入っており、通らない。登り出してからすぐパンツまで濡らしていたので、とにかく寒い。じっくり登ろうなどと思っていたが、もう急いで登った。

 

落ち口にはそこかしこにボルトが打ち込まれている。ブルブルしながら回収して、ちょっと休憩してみたが、もはや遡行を続ける気が失せてしまった。滝も登れたことだし、引き返すことにする。出合いからF5まではすぐだったが、下山は10分だった。たった1時間ちょいで、久しぶりの沢登りは終わってしまった。

 

まだ時間があり、帰り途中の山岳スポーツセンターの人工壁でダラダラ登った。50m弱くらいのトラバース壁で、休みをはさみながら5往復した。表丹沢は流程の短い沢が多いので、帰りに軽くトラバースして帰る、というのがいいかも、などと思った。