隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

2017.11~2018.3クライミングの忘備

2017

11/26(日) 兜岩

12/3(日) 兜岩

12/16(土) 城ヶ崎・ファミリー

12/23(土) 城ヶ崎・日蓮

2018

2/24(土) 伊豆海金剛・スーパーレイン

3/11(日) 昇仙峡

 

通年でお山に、というか沢登りに行きたいなぁとは思っていたが、クライミングを全然やってなかったので、冬くらいちゃんと登らなきゃ、と思い直し、一般に沢シーズンオフとなるこの時期に乾いた岩場に何度か行った。難しいルートは登れる気がしないし、通う気も全く無いのでさわらない。数回で登れるくらいの課題がせいぜいだが、兜岩で足慣らし的に久々のスポーツクライミングをしてから、やっぱりトラッドクライミングにもっと慣れたいなぁと思って、計4回だけだが城ヶ崎、海金剛、昇仙峡に行った。トラッド、というかクラッククライミングは本当に怖い。よく沢のほうが危険で怖いでしょう、と言われるが、自分としてはクラックのほうが全然怖い。ジャミングなどの技術が全然低レベルだからだろう。

兜岩は大好きな岩場で、生まれて初めて「クライミング」を体験したのが兜岩だった。ハーネスというのを初めて履いて、「はじめの一歩10a」をなんとか登って有頂天になったが、スメアリングというのが全くできなくて「薫風10a」で撃沈した、という思い出。当時は車を持っておらず、帰りの電車では指がヒリヒリして缶コーヒーが開けられなかった。そういうわけで、兜岩にくると、なんとなく初心に返れる気がしてよい。2日間だけだったが、「てんとう虫のレクイエム11c」という自分の初11を5便くらいかけて再登して、いろいろ登って、そのあと「祝開店11d」というのをたしか4便くらいで登った。クライミングに夢中になっていた2年くらい前からすると、体重も5~6kgほど増えてしまったが、久しぶりでもなんとかこれくらいなら登れるらしい、ということが分かった。登れた課題はどちらも簡単めだとは思うが・・。

城ヶ崎のエリアは全然行ったことがなかったのだが、経験豊富な知り合いに連れて行ってもらって、ファミリーと日蓮崎に行けた。ファミリーでは、「ファーザークラック10b」と「ブラザークラック10c」が登れた。どちらも結局トラッドとはいっても、ジャミングを一手もしないでフェースムーブだけで登れるので、登れたのだろう。その証拠に、ハンドジャム入門といわれる「アンクルクラック9」は中間部でさんざん力を使って悩んだ挙句ふんぎりがつかなくて結局落ち、グダグダでトップアウトしたから。そして日蓮崎では3本の10+をひょっとしたら1日で、などと自分に過度の期待をして行ったが、「インディアンドール10d」でジャミングの手順がうまくできなくてすぐ諦め、結局「スーパーシリアスジャム10ç」1本だけ登れた。しかし、それもジャミングは一手もせずにフェースムーブだけで登ったので、充実感はゼロだった。(いや正確には抜けの角度が変わるところでラップとフィンガージャムの間みたいな感じで持ったかな?)

年末から1月はいろいろな家庭の大事なイベントが重なり、クライミングどころではなかったが、2月末にWさんに誘っていただいて海金剛のスーパーレインを登った。Wさんとは前年も一緒に行っており、毎年1回一緒に来たいですね、と話していたのだ。前年は奇数ピッチを登ったので、今年は偶数ピッチを登った。晴れていたが、風が強く少々寒かった。2回目とはいっても、1年経ってきれいさっぱり忘れているので、全体的に十分しびれた。5p目のO.W.が一番難しく、そして怖く感じるのは、やはり技術がないからだろう。それでも危うい感じもなく一手一手きちんと決めて登れたので、よいクライミングだった。思い起こせば、昔、雑誌でスーパーレインを登っている写真をみて、いつか自分もこんなところに行けるようになりたい、とクライミングで最初に夢にみたルートだった。きっと来年もWさんと登りたい。ちなみに、前年と同様に今年も、帰りに赤井浜露天風呂という程近い無人の温泉に入ったが、ぬるぬるで体がむしろ冷え、修善寺で入りなおした。それでも来年もまた入ろうと思わせる魅力?がこの露天にはある(いやない?)。

さて、城ヶ崎や海金剛でほそぼそとトラッドクライミングをしたが、基本的にフェースムーブでなんとかなってしまったので、これではイカン。クラックシステムを登る経験があまりなかったので、それをやらなきゃダメだろうと思い、昇仙峡に詳しいO君と1回だけだが行った。水辺クラックエリアというところだったが、アプローチで渡渉があり、平水と比べるとだいぶ増水している雰囲気で、O君は腰まで濡らして、僕は飛び石で渡った。O君は「カサンドラクロス12b/c」という高難度にチャレンジするという。僕はその下部の10cを目標にした。初めてフィンガージャムをしてみたが、利かせ方がよくわからず何度も手が滑って落ちた。やっとムーブやプロテクションの手順が固まったが、最後の1便という時間だったので、当然ながらO君に譲った。上部は相当難しいらしく、色々やって掃除だけ念入りにして下りてきた。帰りの渡渉では驚くことに朝よりも増水していて、川を歩くのはちょっと・・という水量。飛び石したボルダーを登って渡ろうとしたが、ボルダーのすぐ下は水流の落ち込みになっており、派手にボイルしていて、落ちたら悲惨だ。しかし、こんな危険をO君に負わせるわけにはイカン、と思って死ぬ気で登り、長スリングでO君を確保した。どっと疲れた。

結局、何か登れたような気もするし、何も登れなかったような気もする。クライミングは奥深いものだ。とりあえず年末からジムには足しげく通うようにしていて、得意系ならたまに1級が登れるくらいまで戻したが、クラックは別物。モチベーションの持続に難をかかえている今日この頃ではあるが、いままでどおり、ほそぼそと登り続けて、少しずつでも上手になっていきたいものだ。