隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

2020.4〜2021.3クライミングの忘備

意外なことに秋ごろに急にクライミングがしたくなり、数年ぶりに湯河原幕岩に通った。早起きしたくないし、遠くへ行くのも面倒くさいので、1時間半で行ける湯河原。ロープやハーネスを付けるのも面倒くさいのでボルダリングがメインである。

これまで数か月間ジムもほとんど通っていなかったため、痛めていた肩も腰もかなりマシになっていた。 ジムも少しずつ再開し、また登ることが楽しめるようになっていった。

 

11/3(火) Yくんと

仕事で遅れてくるYくんを待つ代わりに、思い付きで悟空スラブから山頂までワーッと登った。悟空スラブは100mくらいで、5.7くらいか。登山道を下山して2度目の朝食。そのうちYくんがやってきて、スタートクライミング

気持ちのよいロケーションの桜岩でアップで簡単なのをいくつか触ってから、「のっぺり」という3級のスタートがまったく出来ず敗退。「3級くらいなら」と思っていた3級に遠く及ばないらしい現状に暗澹たる思いを抱えながら、米粒岩に移動。

そこでも「米粒」というスラブの4級が怖くて小さなスタンスに立ち込むことができない。敗退かと思ったが、Yくんがサクッと登るのをガン見してスタンスの位置を暗記してから、ブルブルする足を抑えつけながら登った。スラブは得意なはずだったがなぁ・・・(涙)。

そのあと「米櫃」3級。カンテを4~5手辿ってから、両足スメアかランジでリップを取りにいくと思われたが、ランジは絶対無いので両足スメアか・・・、その体勢までなんとか持っていけるが、リップへの一手が怖くて出せない。長身のYくんはスメアしなくても手が届いてまたサクッと登った。えーマジかと思って、内心ドッキドキだったが、4回目か5回目でリップ取りに成功して、なんとか登れた・・。

3級ってこんなに難しいのか! こりゃ湯河原のめぼしい3級を沢山登るのが目標だなぁ、と考えを改めざるをえなかった。ホントは初段を一本!!と思っていたのだけど・・・。まあ分不相応な妄想であったな。

 

11/8(日)Yくんと

また一人早朝に悟空スラブから山頂まで登って下りて、Yくんと合流し桜岩へ。

先日全然登れなかった「のっぺり」はスタート位置が違っていたらしく、正しい(と思われる)スタートで何回か触ると登れた。

その後、正面壁エリアに移動して超久しぶりにロープを結び、「●●●●」(名前忘れた)という11cをなんとワンテンでトップアウトできた。ダラダラしてから喜望峰エリアで「ダイヤモンドヒップ」11c。Yくんの目標ルートらしく核心の練習を繰り返していた。「ダイヤモンドヒップ」はやっていなかったので、どうせダメだろうけどやってみるか、と思って取り付くと、核心は意外に労せず抜けられ、上部で疲れてテンション。ムーブを確認して2テンでトップアウト。にわかにやる気が出てきてRPトライしてみたが、すでに疲れ切った体では核心をこなせず敗退。

湯河原の細かい足置きが必要なバランスクライミングができたので、頑張ればもっと登れるかも、とすこーしだけポジティブマインドになった。

 

12/19(土)~20(日)Fさんら4人で

前回から時間が空いたけど、実に久しぶりにお泊まりクライミングでまた湯河原。初日はロープで2日目はボルダリング

初日。飽きもせず一人アップで悟空スラブから山頂。登山道も駆け下りたので足が朝から微妙にお疲れモードになってしまった。みんなと合流してちょっとダラダラタイムを過ごしてから喜望峰エリアの「サンセット」10aでまたアップ。 

「帰還兵」10c、「コンケスタドール」12a、「テレフォンクラブ」12a(なんと自分の初12ルートはこれ笑)を再登。なんだか慣れてきた感がある。

2日目。昨日の疲れを引きずっている。「木漏れ日」1級をダダ打ちしている皆を見やりながらダラダラタイムを過ごしたが、やがてボルダリングやるからには3級を1本と思って「アイアンメイデン」を触った。スタートからして厳しいが、核心の小さなカチが全然保持できない。試行錯誤してそのカチをスキップするムーブを作って、なんとか登れた。難しい課題が登れてちょっと嬉しくなってしまった。

そのあと、仲間の希望で「椿」という初段に移動。同じ岩に設定されたマントル3級とトラバース4級を登ってから、皆のトライを見学。初段なんて自分は及びじゃないだろー、と思っていたが・・、冷やかし気分で触ってみたら、1か所を除いてムーブがあっさりバラせてしまった。その1か所も練習すればできそうな予感。・・なんと初段が登れるかも⁈ むむむ、となった。バカみたいだけど、自分に対する肯定的な感情で頭がいっぱいになった。

 

12/28(月)単独

いつものように桜岩で適当にアップ。ボルダリングで難しそうな課題が登れるかも、と思うと、もう悟空スラブには興味が湧かない。「桜花」という1級が設定されているのを知ってアップ代わりに触ったが、うーむ、1級にしては簡単めか。リーチがある人ならさらに簡単に感じるだろう。お買い得ってやつか。

早々に「椿」に張り付き練習。低空トラバース課題で、悪いスローパーを保持して動けるかが核心。何度も失敗を重ねたが、しだいにムーブの理解度が高まったらしく、核心はできた。バラしは完成。つなぎは・・・、3回本気トライを重ねたが、ダメだった。3回目はヨレていて勝負にならず。深追いせずに早めに撤収した。間違いなく登れるだろ、と確信できたのが収穫だった。

  

1/5(火)単独

前々日に房総でロングな沢歩きをしたため未だ体に疲れが残ってしまっていて、「椿」に行く気になれない。簡単めな課題を適当に触ることにしてブラブラした。

正面壁エリアの大山岩で「男坂」「女坂」という2級と3級を登り、茅ヶ崎エリアに移動してTR岩で「ロッキー」3級を登った。ロッキーは湯河原にしては高さのある課題で、5便ほどかけてこわごわと登ったが、トップアウトしたときは思わずガッツポーズをしてしまった。こんな怖い系の課題がまた登れるようになるとは。思い出の課題になった。

 

1/9(土)Fさんと

桜岩でアップし椿へ移動。気温が低くて岩が冷たいため、以前に触ったときとスローパーの持ち感が違くて、保持できる気がしない。それでもムーブの確認をして、トライ。1回目は全然ダメで、2回目はスローパーはギリギリ保持できて動けたが次のムーブで落ちた。そのトライで、自分のなかで何かムーブに納得いく感触がつかめて、3回目のトライで登れた。ちょっと落ちそうだったけど・・。

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湯河原にきた当初は3級を登るのでいっぱいいっぱいで、初段なんて無理無理、3級を沢山登るのが目標でしょ、と考え直したが、意外なことに妄想が現実となった。

そのあと梅林ボルダーに移動して、トラバース課題の「秋晴れ」初段。2本目の初段をと欲を出してみたら、ムーブはすぐバレた。つなぐには体がヨレていたが、次回フレッシュな状態でトライすれば登れるだろう。

収穫の多い一日で、ひさびさに色々話せて一緒に楽しく登ってくれたFさんにいつもながら感謝。

 

1/17(日)単独

梅林ボルダーで「ガンバレ西村君」5級を3回登ってアップし、「秋晴れ」トライ。2回目のトライで登れた。そしてそのまま「木漏れ日」1級を触ると、6トライで登れた(5トライ目で核心を抜けたが上部で怖くなって、限定のカンテを使ってしまったので、6トライ目で登りなおした)。

難しい課題を2つも登れたことに、ちょっとびっくり。同時に色気が出てくる。湯河原に新しく追加されたサンセットボルダーに「ファンタジスタ」という2段があり、動画を見たことがあった。ひそかにいつか湯河原で2段を登れたらいいなぁと思っていたのだった。今までは淡い妄想だったが、急激に実現可能な目標に変わっていく。行こう。

ザレザレの悪い斜面登りを経てやっとサンセットボルダーに辿りついた。かっこいいボルダーだなー。一番簡単な課題が「サンセットダディ」という1級。スタートに悩んで2回失敗したが、3回目で登れた。

そして「ファンタジスタ」。2手目の甘いカチがとれない。足位置も定まらない。まーそんなに簡単じゃないよなー。そして、マット1枚では思い切ってトライ出来そうにないゴツゴツ岩の下地。うーむ、また次回がんばろう。

 

1/22(金)単独

平日休んで来た。いつも人混みなので触ったことがなかった貝殻岩を初めて触ってみることに。アップ代わりで「貴船」初段。3トライかけてよいホールドに足位置を定めることができ、登れた。

ファンタジスタに移動してムーブの練習。2手目の甘カチから3手目はダイナミックな右手出し。練習を重ねているとやがてコツが分かり3手目が止まった。4手目はよせるだけなので簡単。5手目が・・・、難しい一手なのに加え、マット1枚なので色々なムーブが試せない。結局真っすぐマットに落ちれるよう、スメアでサイファーという結論になったが、まったく出来る気がしない。マットに着地するだけのムーブになってしまった・・。しかし、他のムーブを試せれば解決できそうな予感。

帰宅してマットを速攻でネット購入してしまった。

 

1/30(土)

また桜岩でアップしてファンタジスタへ向かう。新しく買ったマッドロックのでかいマットは、複数のマットを重ねて運べる便利な仕様である。しかし、2枚担ぐとえらく重いし、ザレザレの斜面で何回も滑落しそうになって、登る前からお疲れモードになってしまった。

そしてサンセットボルダーにやっと着くと、強い若者の集団がいて、・・・なんだマット買う必要なかったじゃんという状況。まあいいでしょう。

出来なかった5手目は右手出しでマイクロホールドを取りに行くのをやめて、先に左手出しでカンテの奥のスローパーを取るムーブに変えた。6手目でマイクロホールド。足が強傾斜に両足スメアでバランスも悪い。7手目で落ちた。7手目が止まれば多分終わりだろ。

なぜだか今日登れることを確信した。休憩タイムを過ごしながら、ムーブの一連と7手目を取りにいくときの足位置とバランスを何回も何回も頭で繰り返した。その後いっとき頭をからっぽにしてボーっとした。そうすることで興奮していた気持ちがフラットになった。

そして次のトライであっさり登れた。

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この日以降、いったん湯河原から離れてほかの岩場にも行ってみようという気になり、2/7に豊田に、2/14に笠間に行った。が、なんとなくやる気が起きず、また超久しぶりの花崗岩ということもあって、2級が一本だけと、思うようには登れなかった。

2/27にまた湯河原にFさんたちと行って、ひさびさに一人悟空スラブを登ってから、皆で貝殻岩で「パイプライン」初段や「ローリングストーン」3級(3級だけどパイプラインより難しい)などを登った。3/14にも湯河原に行って、いろいろなエリアで2~3級を計10本登った。

しかし、何を登っても、「椿」に夢中になり、「ファンタジスタ」に夢中になったときのような気持ちにはなれなかった。

まぁそんなものだろ。

次にまた夢中になれる課題と会えるまで粛々と細々と登っていきましょう。

 

数年前クライミングにのめり込んでいたときは、クライミングは奥深い探究で、限界へのチャレンジだった。

いまはクライミングは日常のストレスから少しだけ自分を救ってくれ、元気にしてくれるストレス解消法のようなもので、いわば普通の生涯スポーツのようになっている。

 

登ることの意味は人生のときどきで異なるものになっているが、生きることと同じで、とても自然でかけがいのないものである。ありがとう。クライミングに感謝しています。