ずいぶん久しぶりに五郎山を訪れた。
Aさんと2人、年の差おっさんコンビで、いつもどおり他愛もない話で盛り上がりながら急登をあえぎ、マキヨセの岩壁基部を藪こぎでトラバース。
以前偵察したときに目を付けていた、ピラミダルな山容が臨めるポイント。登山道の"マキヨセの頭"は地形上のピークではなく、実際にはこのピラミッドの奥がマキヨセのピークになるのを確認済みなのだ。壁は見た目よりも難しくなさそうで、ついついニヤニヤしてしまう。リハビリにちょうどいいじゃん。
さっそくお仕度タイム。あー、じゃんけんで負けた。
Aさんが1ピッチ40mくらいでピラミッドのてっぺんまで伸ばした。フォローで登る。
簡単ではあるが、軽石のような心もとない岩のリッジ。ピラミッドのてっぺんは山ツツジのつぼみにあふれるテラスだった。
テラスから上を見やるともう終わりが近い。歩き以上クライミング未満な感じで地形上のマキヨセのピークへ抜けた。
振り返れば素敵なピラミッドテラス。これは思い出になるよ。
登山道に出て荷物を回収し、そのまま五郎山南壁のコルへ。
登山道の途中でさきほどのピラミッドテラスが見えた。ホントいいところじゃん!
コルで少し休憩し、南壁を偵察。以前登った「どまんなかルート」から登り出し左にトラバースして、触っていない壁の範囲にラインを引こうという話になった。今度は私が先にリード。20mほど伸ばし洞窟状テラスで切った。
そこからAさんがトラバース開始。じりじりと出ていくロープの感触にパートナーの息遣いを感じた。たぶん結構難しいんじゃないか。やがて解除のコール。
核心はデシマルで言えば5.7とかそれくらいか。しかしやはり"Ⅴ級"のほうがしっくりくる。そんなピリリとしたアルパインなトラバースクライミングだった。40mくらいと長さもあって登りごたえがあった。
フォローしている途中にもう自分もリードで登りたい!とものすごく思っていて、懸垂で降りて今度は私がリードで登り、Aさんを終了点に迎え入れた。いやートラバースを満喫した!
印象的な終了点の岩。奥は広々したテラス。初見でこれをきっちり登るAさんはやっぱり私にとってレジェンドである、などと言って五郎山に初めて連れてきてくれたAさんに改めて感謝の意を伝えた。
Aさんと私は五郎山に詳しくなりすぎた感があり、最初のときに感じていた新鮮さが失われているのを自覚している。クライミングゲレンデにいるような感覚を覚えるのである。今日来るときになんとなく話していたのだが、私たちのなかでは五郎山はこれで一区切りとなった。