隠レ蓑

お山の記録と、日々の懊悩

奥日光 赤岩滝登攀~柳沢川右俣

6/9~10「赤岩滝登攀の記録」と「柳沢川再訪の日記」

 

 

記録

赤岩滝(7段140m)・単独

 

下から1~4段90mの全景。奥に見える直瀑が4段目で、一見して水際は厳しそうな印象。ルートは終始左岸の乾いたスラブとした。1~3段は歩行以上登攀未満といった感じである。特に1~2段は普通の小滝なので、遠目に4段目の大きな流れを目にしながら近づいていくと、気が付かずに踏み跡から1段目落ち口のテラスに達してしまうだろう。なお、先行パーティが登っていたので、到着してから1時間ほど休憩とした。

 

1~3段の約40~50m?くらいは、左岸の緩傾斜のスラブをフリーで登った。Ⅲ級に満たないスラブである。その後、4段目に入り斜度が立ってくるあたりで、リングボルトの残置終了点があったので、そこからロープを出した。なお、終了点ぽい2点残置が3か所も4か所も狭い範囲に乱打されていた。

 

1p:50mⅣ級。完全なる乾き登攀でありフリクションもよい。クライミングシューズであれば、難しさはさほど感じないだろう。フリクションライミングというほどではなく、乗れるスタンスは豊富にある。しかしフェルト靴だったら痺れるかもしれない⁈ 登り始めは、残置ボルトが乱打されたスラブ。登るにつれて草付きが多くなる。

 

上部では2箇所、短いが斜度がさらに立った垂壁近い箇所の通過がある。写真の上のほうが一つ目で3mくらい。たぶん多くの記録によって核心とされている箇所が、ここなのだろう。通常右側がルートのようだが、私は水流近めにと思って左側を登った。遠いガバと枝をつないだパワー系な2手くらいであった。下部のスラブと比べると、なぜか残置もみられなくなる。

 

二つ目の2mくらい。これを抜ければ落ち口である。右側の凹角がよく登られているとみられ、ここは私も同じように登ったのだが、水流近い左側に行ったほうがよかったかもしれない。

 

4段目落ち口。終了点は残置もあるが、クラックも木もある。なお、終了点から5段目基部へは、4段目の落ち口を渡渉して移動する。終了点は水流から一段上がっており、クライムダウンして水流に入る必要があるので、注意が必要である。

 

5段目30m。先行パーティに追いつき、ここからは先に行かせてもらうこととなった。ルートはいかようにも取れそうに見え、濡れたくなければ右でも左でも乾いたところを登ればよさそうである。濡れ登攀の可能性からは、左壁のほうが落ち口への抜けがよさそうだったので、左壁の濡れたところから取り付くことにした。

 

2p:30mⅣ級+。ルートは左壁を水際沿いに上がり、落ち口にダイレクトに抜けた。全体的にぬめっているので、タワシは必須である。また残置はまったくみられない。プロテクションはハーケン主体。

 

下部はぬめっており、ところどころもろいが、Ⅲ級の範疇だろう。多少飛沫を浴びるが、避ければそれほど濡れないでも済む。

 

上部では水を浴びながらとなる。水流の角度が変わる箇所付近では、すぐ左を見やれば乾いた岩にエスケープできる。厳しければ左に逃げればよいだろう。

 

落ち口直下。左に行けば乾いたエスケープ、右に行けばこちらである。バランシーな2歩程度で水流に近づき、ステミングとプッシュで体を上げた。右足は水流中、左足を垂壁にいくつかある棚状のスタンスである。タワシで磨くのは忘れてはならない。全力で引いたら抜けそうなブッシュを大事に押さえつけながらもって、ハイステップで落ち口に抜けた。左岸の木で切った。

 

5段目落ち口。非常に楽しい濡れ登攀となった。しかし、明らかにばんばん濡れそうだったのに、雨具も着ずに真夏仕様で30分ほど浴びまくっていたので、寒くて仕方ない。基部に下りてから、先行パーティの方と談笑しながら、ひたすら震えていた。

 

先行パーティの方のご厚意で、写真をもらった。自分が登っているところを見れる時がくるとは・・。乾いた左に抜けるほうが合理的に見えなくもないが、不合理でも落ち口を目指すのがよい、と思い返す。

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3p:40mⅣ級-(6段目と7段目はいずれも短いので、つなげて一気に登った。)5段目落ち口から左に角度を変え、6段目の10mほどのスラブ滝が流れる。ルートは水流の左側で、一見、簡単そうに見えるが、ぬるぬるで微妙にもろく、怖いⅢ級といった感じである。

 

6段目のスラブ滝の落ち口にあった残置で1本とって、対岸に渡った。7~8mくらいの7段目は右側の草付きから登り出して、木で支点をとりながら落ち口へトラバースした。落ち口手前の、草付きから岩に体重移動する箇所では、スメアリング的な足使いを求められ、ややバランシーである。落ち口の木で切った。

 

大滝上はふつうの沢の様相だが、日当たりもよくスペースもあるので、登攀を振り返りながらゆっくり過ごせるだろう。赤岩滝は3pだけではあったが、5段目を濡れ登攀にしたことにより、充実した内容となった。4段目を濡れ登攀にできたら、さらに充実できることだろうが、パッと見した限りでは難しそうである。いずれにしても、通常の乾いたラインをトレースするだけならば、岩登りの練習くらいに感じたことだろう。濡れ登攀をしてこそ大滝登攀である。

 

下降は右岸の尾根から。踏み跡も薄くついており、20~30m登ると尾根に出る。

 

尾根をある程度下ると、右に枝沢が見えるので、これを拾って柳沢川本流まで下降した。下降に要した時間は20分程度。同ルートを懸垂で降りるより、はるかに早い。

 

 

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日記

2回目の柳沢川と、ひさびさの一人の沢泊

 

柳沢川は数年前、腰痛で活動休止状態だったときに、癒し系を求めてリハビリ的に来たことがあった。しかし、ぼんやり歩いていたため、右俣との二俣を通り過ぎ、左俣右沢・左沢の二俣を「二俣」と勘違いし、左俣右沢を遡行し、左俣左沢を下降したのだった。肝腎の右俣のキレイなナメを見ることなく終わった柳沢川は、再訪しようと思う数少ない沢の一つとなった。

今回は重荷を背負った行動の練習も兼ねようと、無駄に2~3泊の幕営装備をザックに入れ、登攀具も節約しないで背負ってきた。20㎏弱程度となったザックを背負い、6時前に着いた西ノ湖バス停から、まず西ノ湖に立ち寄って、数年前見たより低くなっていた静かな水面を茫洋と眺めた。それから林道を戻って柳沢川へと歩を進め、入渓点付近で今宵のよさそうな幕営地を選定した。日帰りでもよかったのだが、せっかく背負ってきたので久しぶりに一人で泊まりたかったのである。翌朝は早々に下山しなければならなかったが。

さて、赤岩滝では記録に記したような、それなりに充実感のある大滝登攀をして、本流に戻った。空身で登って重い荷揚げ、と、重荷ユマーリング、が辛いことに改めて気づかされた。先行パーティの方と話したり、だらだらしたりして、結局8時半ごろから、14時前まで大滝に時間を使うことになってしまった。

本流に戻ってから、やっと忘れものを拾いに再訪した、右俣への小さな旅の再開である。ザックをデポすればよかったかもしれないが、せっかく重荷行動の練習で来たのだからと、背負い続けた。二俣手前では、かわいいワンワンにしか見えない朽ち木があり、頭をなでなでした。

右俣に入るとすでに14時半をまわっていた。行儀のよい登山者なら既に下山するか、山小屋に入る時間である。右俣を遡行して左俣を下降するのは時間的に厳しいので、右俣をよさそうなところまで進んで同ルート下降になるだろう。キレイなナメを歩き、黒岩滝まで行って戻ろうと思った。赤と黒でいいじゃないか。まもなく扇状に流れをひろげた、10m強の美しいナメ滝についた。

これが黒岩滝であろうか、と地図も遡行図も見ずに気分で思った。分かんないけど、きっとそうだろう、美しいから、と気分で結論し、ザックを下ろして撮影大会を開いた。時計を見ると15時前。そろそろ朝選定した幕営地点に戻り、今宵の寝床と焚火の準備を始めたい時間である。そこで右俣を終わりにし、下降した。美しい滝を見れたと満足して。

焚き火をしながら、黒岩滝がこの扇状10mの上の上の上くらいなのを知った。どうして遡行図を見なかったのだろう、と後悔する気もしたが、実際は後悔など全然していなかった。1回目に来た時もそうだったが、この2回目の柳沢川で、ここがとっても好きな沢であることを自覚でき、また訪れる口実ができたなぁ、とむしろ喜んでしまったのだった。

ひとしきり焚き火と夕飯を楽しみ、20時ごろ寝に入った。最高の寝床だと思っていたが、整地がいまいちだったらしく、背中がごつごつで最悪であった。なんとか2時間弱寝たが、以降まったく寝れなくなった。また21時前からいい感じで雨が降り出し、ツエルトの四隅からどんどん浸水してきた。外の焚火もあっと言う間に消えてしまった。もはや何もかも面倒くさく、ごつごつも浸水もほったらかしでモジモジしていたが、深夜2時前に突然、もう帰ろうと思った。全然寝れないんだったら、もういいや、このまま帰りましょう。どっちにしても朝は起きて下山するだけなのだから、今でもいいだろ。

パートナーがいないから、気ままである。4時12分に小田代原から赤沼駐車場に始発バスがあるのを確認し、霧雨のなか急いで撤収した。暗闇の登山道と林道をヘッ電を頼りに西ノ湖バス停まで歩き、そこからは舗装路を歩き、計8km?ほどで、4時前に小田代原バス停についた。雨も上がり少しずつ白み始めた空と、うっすら見渡せる小田代原の湿原を写真に撮って、バスに乗った。

駐車場に戻り、黒岩滝を検索してどんな滝か見てみた。いい滝だなぁー。次回いつ来るか分からないけど、次こそ遡行図どおりの右俣遡行・左俣右沢下降をしよう。余裕があったら、赤・黒の滝登りをしても・・・、いや、一人だったら赤岩滝はもう登らなくてもいいかな、と思うが、誰かと一緒だったらまた登ってもいいかなぁ。どちらにしても、次回こそ柳沢川右俣である。

 

 静かな佇まいの西ノ湖

 

二俣手前にいた、かわいいワンワンにしか見えない朽ち木

 

扇状に流れを広げる、美しい10mスダレ滝

 

最高と思っていたが最悪だった今宵の寝床

 

早朝4時の小田代原