隠レ蓑

お山の記録と、日々の懊悩

奥秩父 釜ノ沢東俣~甲武信ヶ岳

行程:西沢渓谷駐車場~東沢左岸の登山道~山ノ神から入渓~釜ノ沢出合~両門ノ滝から東俣~ポンプ小屋~甲武信ヶ岳~徳ちゃん新道で下山

 

鶏冠谷で左岸に渡り、沢沿いの登山道を歩き出した。f:id:Kakuremino:20200327021414j:image

白い花崗岩の沢床が美しい。昨日鶏冠谷でも沢山歩いたので、朝からお疲れモードな感じ。
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ホラノ貝ゴルジュ。いままで2回来て2回とも敗退・・。1回目は晩秋で寒すぎて、2回目は降雨で敗退した。
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山ノ神から入渓した。といっても登山道が断続的に伸びているので適当に拾いながら歩いた。
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乙女ノ滝。時期的に中途半端に凍ってる。
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奥ノ乙女沢の出合の滝。
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そして影ノ乙女沢。ここは7ピッチにも及ぶマルチピッチのルートがあるようで、それを下見したかったのだ。出合から荒れたゴーロを100~150mほど登って、スラブ面が露出しているところまで来た。見上げると、まぁスラブが伸びてはいるが・・、うーむそそられない。スラブなら、また東のナメに行けばよいかな、といった感想。でもまぁもし何かの機会があったら、来ようかなぁ。f:id:Kakuremino:20200327021344j:image

いつもドーンと出てきて圧倒される大壁。これ誰か登っている記録などあるのかしら。
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東のナメ沢。写真が下手すぎて、大きなスラブがつづいているようには全く見えない・・。この大スラブはまた来てもいいなぁ。
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東沢といえば、この水際の斜めの岩肌をフリクションで歩いていくのが醍醐味。
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西のナメ沢。
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やっと釜ノ沢出合。至るところにこの青い案内板が付けられていて、いよいよ釜ノ沢も丹沢の水無川本谷みたいなゲレンデになったなぁと感じさせられる。あとホラノ貝ゴルジュはライジャケ持っていけ、という看板も登山道に3か所あった。
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釜ノ沢最初の滝は、12m魚止メ滝。左から巻きあがった。
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そしてこれ。名前は無いが、勝手にウォータースライダー滝としよう。何年か前に、嫁を連れてきたなぁ。なんてことはない場所だけど、思い出になっている場所。
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千畳のナメ。この早春もいいけど、やはり新緑の時の美しさには敵わないなぁ。それはまぁ分かり切ったことだけど。
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千畳のナメの上はナメ滝がいくつか連なっていて、白い花崗岩がとても美しい。釜ノ沢の前半のハイライト。(後半は原生林の台地だな。)
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が、一か所枝沢からの崩落で沢が塞がれていた。これがキレイになるまでは相当時間がかかるだろう。ゴーロ区間が増えるかも。
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丸い釜を持った6m滝は右巻き。
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その後すぐに両門ノ滝へ着いた。朝10時過ぎなので、光の当たり具合がイマイチであるが、いつ見ても両門ノ滝はすごい立派。
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登りながらまぁるい釜を見下ろして一枚。
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マヨイ沢(右俣)との二俣。滝はヤゲンの滝?右から巻いた。
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その上は8m斜め滝。左巻き
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そして沢はほとんど伏流し、ゴーロに埋め尽くされた。ここからが長~~~い。
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左岸の原生林の台地を歩いたが、ときどき赤テープが見られた。日陰は凍結しているのでチェーンスパイクを履いた。昨日の鶏冠谷でラバーが切れてしまったが、まぁ釜ノ沢くらいなら持つだろ、と思った。
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この原生林の台地は一番楽しみなポイントだったが、冬枯れの色濃いまだ早春の今日。緑が映える頃の美しさと比べれば、そりゃ期待しすぎだったろ。お疲れモードになってきて、よさそうな岩に腰掛け休憩タイム。結構疲れたけど、まだ長いので頑張らないとなぁ。10分休んで補給してまた歩き出した。長いからこまめにちゃんと補給を心掛けた。
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粛々と登ると、沢が狭くなり水流が復活した。標高が1900mを越え積雪も見られるようになってきた。と思っていたら・・
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沢が積雪に埋まってしまった。がーん。日陰面だからとはいえ、これは想定外。寡雪の今シーズン、もうなくなっているんじゃないかと思っていた。沢靴の足が冷たくなっちゃうよ。それに沢床の雪の下はゴーロ状なので、踏み抜くとずっこけたり足を痛めたりする可能性がある。そのため安全第一で、右岸の斜面を巻き進むことにした。
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なかなか沢に戻れない。
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ミズシ沢(左俣)との二俣が日当たりがよく、ようやく沢床に戻ってとりあえず休憩タイム。二俣の真ん中にあるという看板は見られなかったが、なくなったのか。
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その後も積雪と凍結だったが、巻き進むのも面倒なので、沢を普通に歩くことにした。そうなればそうなったで、積雪面も凍結面もそつなく足を置いて歩けるのだから、不思議なものだ。雪に足を突っ込んでても冷たいのだから、沢でも同じことだ、と思った。
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積雪で気が付かないうちに、木賊沢との二俣の手前にあるナメ滝群に差し掛かっていたらしい。これまでよりも斜度が増した、半分が積雪に埋まったナメ滝になった。右の積雪面をステップをきって登ったが、15mほどでアイスが露出するようになり、チェーンスパイクでは危うい。わずかに出ていた岩やブッシュをつないで登るが、それも行き詰まってしまった。目の前は完全アイスとなり不可能。巻き登りたいが手掛かりがなく・・、と、フィックスロープが目に入った。f:id:Kakuremino:20200327021433j:image

これで左岸の藪に上がることができた。クライムダウンは結構大変そうだったので助かった。まったくフィックスに助けられるなんてねぇ!
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そして沢を見やると・・、左が釜ノ沢東俣本流、右が木賊沢。左に行きたいが、そのためには完全にアイスになっている木賊沢を横断しなければならない。木賊沢は見る限りかなり急で、アイス面をチェーンスパイクで横断するのは非常にリスクが高い。岩が出ていてるなど横断するのに適したポイントを探すと、「あそこかなぁ」ってとこがあった。しかし、そこにたどりつくには、ポイントよりもかなり高く登ったあとトラバースで木賊沢に近づき、倒木や細いブッシュをつないでクライムダウンしないといけなさそう。滑落すれば結果は明らかなので、ちょっぴり緊張した。
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木賊沢から下方を見下ろした。このポイントで横断した。ここまで来るのは結構悪かった。
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同じところから木賊沢を見上げたの図。
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さらにそこから登り気味にトラバースして沢に戻った。積雪と凍結でよくわからなかったが、急なナメ滝を巻いて木賊沢横断を経て本流に戻る、というこの一連は通常の巻きルートにもなっているようで、横断の箇所から踏み跡を拾って歩けた。f:id:Kakuremino:20200327021312j:image

沢に戻って見下ろした。木賊沢横断が間違いなく核心だったなぁ。思わぬ核心だった。
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そこから上は、もうポンプ小屋までわずかだろ。沢は凍結や、つい先日まで雪渓の下でしたといった凍った土くれだった。
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やっとポンプ小屋が見えてきて、遡行が終わった。ポンプ小屋手前からは積雪が急に深くなり、ラッセルだった。
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あとは甲武信ヶ岳へ向け登山道を歩くだけである。振り返って釜ノ沢東俣に別れを告げた。と、あとは登山道、と思っていたが、誰も歩いていないのでここからもラッセル。しかも気温が高いので雪がゆるゆるで重い。疲れる。
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疲れたが登山道に出れば高速道路同然。甲武信ヶ岳はメジャールートだし、甲武信小屋に出て荷物をデポし、あっと言う間に山頂付近まで登っていった。
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甲武信ヶ岳山頂。天気予報どおり強風が吹き荒んでおり、開けた山頂は居心地が悪く、5分もおらずに下山開始。
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用のない甲武信小屋は素通りし、ラクしようと思って巻き道ルートを選んだが・・、巻き道はあまり歩かれていないようで完全ツボ足。スピード上がらないし疲れる。
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やっとのことで戸渡尾根分岐に着き休憩タイム。なんと途中から雪がちらつき始め、すぐに激しい降雪になった。風も相変わらず強く、横殴りの雪のなか休憩するのはちょっと辛い。それでも15分ほどぼんやりタイムを過ごし、仕方なく下山を開始した。
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雪が降ってる。戸渡尾根から徳ちゃん新道。雪は標高を下げると雨になり、さらに登山口に着くころには上がっていた。戸渡尾根の登山道は数多くの登山者に踏み込まれて凍結しており、歩きづらかった。原生林の藪漕ぎのほうがよい。
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雨上がりの西沢渓谷を駐車場まで戻った。
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ヌク沢、鶏冠谷右俣に続き、釜ノ沢東俣。3回連続で久しぶりに西沢渓谷の看板ルートをウロウロした。しかし、何故こんな時期に来たんだろ。寡雪とはいえまだ3月。衝動的な沢への欲求や積雪期の練習目的といったものはあったが、一番影響しているのは原全教「奥秩父」を入手したからか。なんとなく、奥秩父・・古くて新しい旅、という手垢にまみれたフレーズが頭に浮かび、釜ノ沢東俣のことを思い出した。

釜ノ沢東俣は、私がはじめて沢登りを経験した沢なのだった。雨の原生林での一泊は忘れられない思い出。この早春に、釜ノ沢をはじめ西沢渓谷の源流たちはどんな表情をしているのか、無性に見てみたくなったのだった。

ところでヌク沢、鶏冠谷よりも釜ノ沢のほうが内容的に歩き主体であり、遡行は容易だと思っていたが、逆だった。地形的にもっとも奥深い位置にあり、積雪はともかくアイスが露出した箇所の処理はそれなりにシビアだった。まぁ沢がダメなら尾根を藪漕ぎすればよいだけなのだが。  

あー、なんだか久しぶりに沢登りをした気になった。

あー、そうだ、あと原全教「奥秩父」はパラパラめくっただけで、まだ熟読するには至っていないので、時間がある時ちゃんと読もうかなー。

 

西沢渓谷駐車場(6:45)~鶏冠谷出合から東沢左岸登山道(7:20)~山ノ神(8:10)~釜ノ沢出合(9:40~50)~両門ノ滝(10:25)~ミズシ沢二俣(12:05~25)~木賊沢二俣の大巻き(12:40~13:00)~ポンプ小屋(13:20)~甲武信ヶ岳(13:55~14:00)~戸渡尾根分岐(14:55~15:10)~西沢渓谷・徳ちゃん新道登山口(16:45)~西沢渓谷駐車場(17:05)

装備:ヘルメット、チェーンスパイク

ルートは☟

www.yamareco.com