隠レ蓑

お山の日記と、日々の懊悩

西丹沢 トリキ沢・伝法沢

西丹沢 中川川 トリキ沢~伝法沢(下流部のナメ連瀑のみ)

with Junさん

 

トリキ沢は「丹沢の谷200ルート」を見なかったら、その存在も知らなかったところだが、たまたまJunさんの目に止まったようで、どうかな?と提案された。だいたい春にJunさんと旧交を温める?山行をご一緒するのが通例なので、行先はどこでもよい。見てみるとなかなかよさそうな気がするし、マイナーなだけに人もいなさそうなので、ここにしてみた。短い沢なので、時間があれば付近の沢を軽くのぞいてもよいと思った。

 

用木沢出合の駐車場から20分ほどでトリキ沢出合。出合いはすぐに堰堤がかかり、どこにでもありふれた様相だ。

堰堤を3つ階段で巻くと、小滝がいくつか出てきて、沢登りな感じになった。

↓は、4mほどの小滝。

それを越えると、すぐに核心とされているCSが出てきた。もう少し歩いてからかなーと思っていたが、あっという間についてしまった。このCSは、僕もJunさんも普通にフリーで登れると思っているのだが、今日はせっかくだからと、2番までのカム1セットとアブミもわざわざ持って来ているのだ。というのも、Junさんはたしかカムアブミで登攀をしたことがなかったと記憶していたので、この静かなCSで2人でちょっと練習してみましょう、という目的があったためだ。

僕が先にリードで取り付いた。CSの下は狭く、ザックがえらく邪魔になったので空身になった。隙間に一応1点カムを入れて、左壁のちょうど残置ボルトのすぐ上の棚状のガバをもって、棚の左端に左足をハイステップで上げて、あとはグイグイ乗り込むだけであった。もう少し大変なんじゃないかと思っていたが・・、ボルダリングで6級くらいかなぁ。Junさんも問題なくフリーで登れるだろうけど、せっかくこのためにカムもアブミも持ってきたので、カムアブミで登ってみることに。無駄に4か所くらいカムを入れて、架け替えていく様子は初めてにしては結構上手。意外によい練習になって、なかなかよい小一時間を過ごせた。

しかし、やはりリングボルトの存在は残念としか言いようがない。それなりにクライミングをやっていれば普通に越えられるし、駄目でもカムエイドすればよいし、カムもなければ巻く、巻けなければ敗退する、などきちんと判断すればよいだけだ。ボルトによって自らルートを判断し経験を積む機会を失ったといえるだろう。しょせん丹沢なので仕方ないなどと思ったりもするが、その一方で、自分も丹沢で沢登りを始めた神奈川県民の一人として、この丹沢を大事にしたい気持ちがある。過剰なルート整備は初心者の安易な入渓につながり、結果として安全を損なうことになりかねない。↓はCSを上から。

CSを過ぎてからはナメ滝といくつかのCSを通過した。ナメ滝は微妙にもろかったので、落ち葉を掃除しながら結構慎重に登った。

↓は、↑のナメを登る僕。ボロボロ崩れるので結構悪かった気がする。

同じくJunさんを上から。

↓このナメはたしか右から小さめに巻いたのだが、なかなかズルズルで悪かった。足がズルズル滑る前に次の足を出して・・と登った。

ナメとCSの連続。なかなか楽しく登れる。

↑は、いい感じに沢床にはさまったCS。↓で、Junさんが隙間に頭を突っ込んで抜けられないかズリズリしてみたが・・・、小柄ですごいスリムな人なら抜けられるかも笑。

↓910mの二俣。写真は左俣。

↓930mの二俣。

終わりが近いと感じさせられる渓相となってきた。

↑の滝を右に見て、少し先の970m二俣を右に進むのが本流だったようだが、見た目的に本流っぽく見えた左俣に進んでしまったようで、一気に水枯れし、ザレと土の急斜面になった。

ルートは最後で誤ったようだが、詰めでは、ここは南アルプス南部と言われたらそんな感じがしなくもない風景で、なかなかよい。

非常に感じのよいトリキ沢右岸尾根に出て、休憩。気持ちのよい尾根を下降した。トリキ沢は短い流程ではあるが、感じのよい沢登りができて、楽しかった。

 

下降してから、当初は、大理石でできているという白石滝を見にいこうかと思って白石沢を進もうとした。しかしよくよく遡行図を見てみると、たぶん行き帰りで2時間くらいかかりそうなので、止めにした。それでトリキ沢のすぐ下流の右岸にある伝法沢にある連瀑帯に行ってみることにした。↓は伝法沢の出合。堰堤のすぐ脇で合流する沢のため、最初は見過ごしてしまった。あれ、と思って引き返して見つけた。

12段40×80mというナメの連瀑。スケールがあるわけではないが、スラブ登りが好きな我々からすると、とても楽しい登りになった。

 上段のほうでは斜度が立ってくる。倒木がかかっているところの滝はほぼ垂壁で、登るなら上のほうの棚を持って足はスメアリングだろう。その上がどうなっているか分からないので、右から巻いたのだが、巻きはかなり悪かった。かなり頑張って巻いた。

連瀑帯の出口のナメ。ボロボロ崩れるところが多いが、全体を通じて楽しく登れてよかった。抜けたあとは、右岸の斜面から尾根につなげて下降した。

 

まだ時間があったので、僕が行ったことのなかったモロクボ沢のF1大滝を見に行くこととなった。昔キャンプ場だったというモロクボ沢出合から沢沿いの林道は、いまも綺麗にされていて、子供を連れてきたら静かに自然と親しめそうで、魅力的に感じた。橋を渡って歩いて、・・すぐ着くかと思ったらまだ歩くようだ。以前モロクボ沢に来たことがあるJunさんは、記憶がまったくないという。まだ歩きそうだったので、面倒くさくなってしまい、引き返してしまった。モロクボ沢出合に戻って、往時のキャンプ場を忍びつつ、お昼を食べながらダラダラと時間を過ごした。

そして、旧交もいい加減温まり終わり、温泉にでも行きましょうか、という話になり、下山した。

 

用木沢出合P(9:00)~トリキ沢出合(9:20)~CS滝(9:30-10:20)~右岸尾根(11:30)~伝法沢出合(12:45)~下部連瀑の終わり(13:05)~モロクボ沢出合(13:30-14:10)~用木沢出合P(14:30)