with Sさん、Fさん
濁沢出合から即入渓できるアプローチゼロの沢。
ちょっと歩くとあっという間に大滝に出る。上中下の3段が見える。遡行図には40mと記載されているが、50~60mはある感じ。里沢で集水域が狭いとはいえ、昨日の激しい雨でそれなりに増水していた。
下段は歩き以上登り未満。が、登るにつれヌメリが強くなってくる。
中段はヌメリがかなり激しい。Ⅲ級の範疇にも思え、ついついワーッと登ってしまったが、スリップすれば終わりなのでフリーで取り付くのはあまり勧められない。自分でしっかりアンカーを作って登るか巻いたほうがよいと思う。落ち口右岸に一個だけ残置ハーケンがあった。
中段は右岸から登り、斜度が上がるポイントで左岸に移った。すごいヌメってた。フリーで登ってしまった私は後続を確保しようと思ったが、ロープを分担していなかったので、フリークライマーのFさんが流石のクライミングでサクッと登ってくるのを待って、最後のSさんだけ確保した。山行役割が「CL」だったらロープをザックに入れてなきゃダメだね。
上段は左岸の泥壁をトラバース。ここもⅢ級かⅣ級マイナスかといった程度にも思えたが、ヌメリに加えて土壌がズルズルでえらく悪く感じた。あー、入渓していきなりの登攀だから悪く感じたのかね。心の準備ができてなかったのかね。
大滝の上もすぐに12m滝が架かる。遡行図ではなぜか右巻きと書いてあるが、水流左がⅣ級くらい。ここは安心感のある登攀ができる。
さらにすぐ10m滝が続く。遡行図ではこれも巻いているが、水流右側がⅡ級程度でロープもいらないくらい。
その後小滝をはさみ、圧巻の2条の20m滝。増水しているときに来てよかったと思った。紀伊半島の大滝を見ているような気分になる。左岸から高巻きしたが、斜面はやはり土壌がズルズルなので注意。
20m滝落ち口に降りた。休憩タイム。
そこからはナメと小滝が連続している。明るいブナの沢なら癒し区間になりそうだが、この濁沢は谷が深く、しかも両岸が植林なので日差しが沢床にあまり届かない。あと土が黒い感じ。そう、奥多摩的に薄暗い印象。そして今日は空気がじっとりしている。まぁ陰惨な雰囲気を軽く醸し出している癒し区間もぜんぜん悪くないけど。
この5mほどの小滝の上で沢が左カーブし、両岸が迫ってくると・・、
白竜の滝20m。強烈なトイ状を形成していて、こちらも圧巻の眺めである。
遡行図のとおり右岸のバンドを登高して巻いた。バンドはグズグズでやや悪いので注意。枝尾根まで登って、踏み跡を拾って沢に戻った。
手前が5m、奥がトイ状。ここに降りた。
と、このあたりの左岸に立派な石垣がありみんなで驚いた。山仕事の杣道というより、もっと立派でどこか生活くささを感じなくもないが、往時はどのような風景だったのだろう。
小滝を2~3越えると裏見の滝12m。はちゃぐFさん。左岸から巻いた。
裏見の滝からはのんびりとした沢歩きになった。
途中、一か所だけ倒木で軽く埋まっていたが、通過は問題ない。
「くの字ナメ滝」はどこだ?と読図タイム。
前衛の小滝の上に架かるこれがおそらく「くの字」だったのだろう。見た目的には普通に2段15mって感じ。
登り出しで乗越しムーブがあるが、そこから上は快適。乗越しでⅣ級+か。
それからはまた小滝が続く。一瞬だけ両岸が狭まり、ゴルジュの小滝登りになる。
790mに出てくる、右岸支流からの印象的な2段8m滝。それの向こうがさらに二俣になっているのが見える。
15mスラブ滝。黒々としており、いかにもスラブ滝。
登攀は水流すぐ左のカンテ状の泥斜面を無理やり登ったが、もっと左から登ったほうがラクでしょう。木まで登り、あとは心もとない枝と根っこを掴んで落ち口までトラバース。沢登りって感じの泥臭い登攀。
870m。奥ノ二俣。
10m滝は簡単そうなのでフリーで登った。
最後となる12m滝。朝は増水していたが、もう源流が近いし時間がたつにつれ平時の水量に戻った感がある。チョロチョロである。滝の真ん中を真っすぐ登った。Ⅳ級-。
水はなくなり詰めとなる。最初はガレ。そのあとザレになり、沢形がなくなってからはグズグズの土斜面となる。どこも滑りやすくて歩きにくいが、距離は短いので少しの我慢である。
稜線が近くなった。
私はストレートな枝を1本拾ってピッケルスタイルで登ったが、アルパインクライマーのSさんは短めを2本でダブルアックススタイル、フリークライマ―のFさんは素手。三者三様で面白い。
キレイな登山道に出て少しだけ歩き、1128mピークに伸びる踏み跡を拾った。なかなか感じのよいピーク。
小高山、というプレートがあった。
下山は濁沢左岸尾根。踏み跡、というか山道が断続しているが、何も考えずに歩けるほどに明瞭ではなく、ある程度読図が必要。1050mの尾根分岐、700~650mで尾根が北に向きを変えるポイントで濁沢方面に下降してしまわないように注意。それ以降は山道が割と明瞭になる。550mあたりで廃屋?畑?がある平らかな台地に出て、そこからは地形図の点線を辿れる。
途中で往年の階段の残骸があった。
550mあたりの台地ではタイヤがゴロゴロ転がった生活の跡。
駐車スペース・起点(7:40)~40m滝上(8:40)~20m滝(9:25)~白竜の滝(9:55)~裏見の滝(10:20)~くの字滝(10:50)~15mスラブ滝(11:50)~12m滝(12:40)~稜線登山道(13:45)~1128mピーク(14:00)~起点戻り(15:20)
遡行図:東京起点沢登りルート120
装備:ダブル50m、ハンマー・ハーケン、カム小さめ1セット、ボールナッツ
ルート☟