2020/7/24~25 with Oさん、Mさん
スタート地点である横瀬林道ゲートにOさん、Mさんを下ろし、僕は下山予定地である猿倉温泉の登山口まで車を走らせ、チャリデポならぬ車デポ。そこから横瀬林道ゲートまでの標高差600m・距離15kmを折り畳み自転車でダウンヒル! 南八甲田の緑あふれる山中の林道を自転車で駆け下るなんて最高! 僕は自転車が大好きなので、はっきり言って沢登りよりもこの林道ダウンヒルのほうが楽しかったなぁ、となるんじゃないかと思うくらいであった。
が、むろんそんな思いは杞憂に過ぎず、黄瀬川は・・、期待どおり最初から最後まで素晴らしい渓流美だったなぁ。700km運転は大変だったが、ホントに来れてよかった。「いつか行けるときがあればいいなぁ」と思っていたこの渓流。梅雨空の隙間を縫ってたまたま北東北に目が行ったこのタイミングが、黄瀬川に行くタイミングだった。
- 初日
林道を歩き出すと早速Oさんは目を凝らして魚影を探していた。急ぐ旅でもないので、Mさんと僕がくっちゃべりながらダラダラ歩き、しばしば沢に見入って遅れているOさんを待つ、という案配。松見ノ滝への分岐は明確なので地図を見る必要もない。
踏み跡を下ると木々の隙間から立派な松見ノ滝が遠望でき、
滝見の広場へと降り立った。手前には竜神が祀られていた。思わずここで一日ぼんやりしていたくなる場所だった。が、さすがにそういうわけにはいかんので、撮影タイムを過ごしたら来た道を登り返す。
ガイドブックでは看板があるような書きぶりだったが、特にない。越すべき尾根がちょうどコルっぽくなっているポイントで、笹薮に踏み跡がみられたので少し進んでみると、間違いなくこれでしょうという濃い踏み跡になった。滑りやすい土斜面をバーッと下り、ようやく入渓を迎えた。
う~~む。心癒される渓流美。僕ら3人とも入渓して1分で「いやぁ来てよかった」と思ったに違いない。たおやかな流れを歩き出すと沢は優しいゴルジュ的な様相に変わり、ほどよく容易な小滝やへつりの連続となる。沢床は明るいが両岸はなかなか高く、そして結構ヌメっている。
最初の6mほどの幅広滝は左岸から。
こちらの4mは左岸をへつって水流脇を登った。最初水面の上をへつろうとしたら激悪で、半分水に浸かってへつったら簡単だった。
そして我慢できなくなった(?)OさんとMさんが竿を出し、ここからはのんびり釣り登る感じに。釣り師顔負けのOさんはあっと言う間に何匹も釣り上げ、小さいのを何回もリリースしていた。Mさんも粘って2匹ゲット。僕もOさんに借りて初めてテンカラ体験させてもらい、一回当たりが来たがバラシてしまった。
やがて出てきたこの6mを右岸から登ると、
えらく深そうなでかい落ち口になっていた。
長根沢出合についた。このあたりで幕営適地を探す。両岸とも適地には事欠かないが、出合を少しだけすぎた左岸に最高の場所があった。多くの人がここに泊まってるのであろう。夜は初めてイワナの刺身や骨酒を振舞ってもらったりして、結局22時ごろまでくっちゃべって、久しぶりの焚火を燃やしまくって、やっと寝た。
- 二日目
いつもの通り軽く寝坊して、7時半すぎに出発した。長根沢出合に泊まると2日目の行程が長くなるので、早めに出発したほうがよいでしょう。遡行図はかなり簡略化されており一見距離的に短く読めるが、実際は長く小滝など色々な内容もある。ちなみに今日は午後から天気が崩れる予報なので、できれば雨になる前に登山道に上がっておきたい。相変わらずの渓流美をスタスタと進んでいった。
この沢で唯一ゴルジュらしい様相をしている場所。軽く薄暗い。右岸をへつって一段上がり、一応後続をロープでビレイ。あとは小さな落ち込みの上に軽くクライムダウンした。
ゴルジュを抜け少し歩くと柱状節理。とてつもなく長い年月をかけて、節理がほとんど90度に折れ曲がっていったのだろうか。
柱状節理をすぎるとなんだか岩が青い色を帯びた感じになった。
と思ったら、左岸が崩壊しており、崩れ落ちた岩は赤っぽくて不思議な模様。
この滝を越えると、
1か所だけスノーブリッジが残っていた。左岸から巻いた。
これが30mナメ滝だろう。ちょっとしか写っていないが、左上のどでかい岩が黄瀬松島の巨岩? このあたりの岩はえらく赤かった。
両岸が高いのは変わらないが、これまでは両岸ともに緑にあふれていたが、黄瀬松島を越えるとスラブが多くみられるようになり、沢床もスラブ的なナメが増えた。次第に両岸のスラブは側壁というべき様相になり、なかなかの景観だった。
スラブの側壁は地形図のゴルジュ記号が示す通り920mあたりで終わりになる。そこからはゴーロ帯になり、一気に両岸が低くなってくる。ゴーロの岩も小さくなっていき、1010m付近の二俣に至った。
向こうに見えるのが「草付の台地」。もう源頭な感じ。
1050mの黄瀬沼への二俣。もちろん右の支流に入り黄瀬沼へ向かう。
この支流に入るとこれまでの渓流美は一変し、細い流れには藪が覆いかぶさり、岩はヌメヌメである。藪をかき分けながらになるのでなかなか進みづらい。が、沢が細くなりゆき湿原に消えていく行程はなんともかわいらしく感じられ、僕個人としてはとっても楽しい30分だった。OさんとMさんは久しぶりの藪漕ぎ半分の遡行できつかったらしいが。
黄瀬沼が見えてくる。天気はもってくれた。
ここからは地獄峠まで点線登山道。ガイドブックにもひどい藪漕ぎと書いてあったが、まぁ踏み跡があればそれほど大したものではないかな、と思っていた。が、結構大変だった・・。OさんとMさんに合わせてゆっくり目に歩いたが、2時間弱かかった。ガイドブックも昭文社マップも1時間20分と記載しているが、藪漕ぎに慣れていない人は2時間程度はみたほうがよいと思う。赤テープは頻発しており、北へほぼ真っすぐなので、迷うことはないと思う。
ぐったりしているOさんとMさんに「一応山頂行きたいんだけど・・」と言ってみて、もちろん一人で行くことになった笑。が、さすが南八甲田の登山道。しばらく普通の登山道を歩いたが、駒ヶ峯への分岐は藪に覆われていて、気づかずに1回通り過ぎてしまった。戻って藪に入ってみると・・、なるほど、山頂までまた藪漕ぎなんだぁ。時間も少々押しており、ついに小雨が降ってきたので、下山を優先し山頂は残念ながら諦めた。
帰りはだんだんと雨に。しかし雨の湿原もとてもよい。
くっちゃべりながらスタスタ歩き、やがて猿倉温泉についた。
猿倉温泉の登山者用スペースの看板。すごいなぁ。一般登山道の注意点で「ヤブこぎによる体力消耗に注意」なんて文言見たことない! 「樹木をなぎ倒すほどの突風」にはヤブが必要だな。ふむふむ。まさに青森・・・青の森なんだなぁ。みんなで何故か青森というネーミングに感動してしまった。
帰りは家までの700㎞以上、4~5回ほど軽い休憩を挟んだが、なんと僕一人で運転して帰った。一人で運転していけるか試してみたかったのだ。Mさんが話し相手になってくれて実に助かった。最後の50㎞くらいはかなり怪しかったが・・。
青森、黄瀬川・・・、奥入瀬渓流。そういえば初日の朝に自転車で走っていた時、奥入瀬渓流ぞいの星野リゾートを通り過ぎたが、数年前、家族旅行で来たんだよね。そのときは紅葉満開の秋で楽しかったなぁ。そこに今度は沢旅で来れた。いやぁ、とってもよかった。
7/24 猿倉温泉(7:40)~横瀬川林道ゲート・チャリデポ(8:20)~松見ノ滝(11:25)~巻いて入渓(12:20)~長根沢出合(16:00)
7/25 BP(7:35)~柱状節理(8:30)~黄瀬松島(9:35)~二俣(11:25)~黄瀬川沼(12:15)~地獄峠(14:30)~猿倉温泉(17:00)
遡行図:沢登り銘渓62選
装備:30mロープ、ハーケン・ハンマー
ルート☟